この記事の要点
地震時に建物がどこから崩壊するかを示す「崩壊形」は、耐震設計の重要な概念です。
望ましいのは「全体崩壊形」で、梁に塑性ヒンジが分散して形成され、柱は弾性を保つ状態です。
これを実現するために「強柱弱梁」の設計原則があります。
このページでは全体崩壊形と部分崩壊形の違い・判定方法・塑性ヒンジ形成の考え方と、建築基準法の要求(柱の全塑性モーメント条件)を解説します。
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崩壊形の判定とは、平成19年の告示から鉄骨造の保有水平耐力計算で崩壊形を確認する事が義務付けられました。
崩壊形の判定とは、建物がどのように壊れるか?ということです。
但し、壊れ方と言っても、非常にざっくりとした決め方で、例えば天井、内装や建具の破壊は考えませんし、一般的な建物は外壁の崩落ですら詳細に検討することはありません。
東日本大震災では、構造体の被害はありませんでしたが、むしろ外壁や天井材の被害が目立ちました。仕上げは躯体よりも軽いといっても、金具込みのALCで100kg/㎡、一般的な天井でも20kg/㎡あります。頭に落ちてきたら、と思うとぞっとします。
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さて崩壊形とは、柱、梁、接合部の崩壊についての議論です。
この構造的な崩壊形のケースは、構造的に3つ定義されています。下記のとおりです。
・全体崩壊形
・部分崩壊形
・局部崩壊形
この3つのうち、構造的に最も望ましいとされているのが全体崩壊形です。各階で梁にヒンジを発生させることで、高いエネルギー吸収が期待できます。ただ、部分・局部崩壊形を禁止しているわけではなく、最終的に保有水平耐力を満足していれば問題ありません。
部分崩壊形や局部崩壊形は、いわゆる柱崩壊や壁のせん断破壊など脆性的な崩壊を意味します。特定の層で柱ヒンジが発生し、崩壊メカニズムに至るパターンも、この分類です。
さて、鉄骨造の設計では、全体崩壊形かそれ以外の崩壊形かを判定し、それ以外の場合を、部分崩壊形とします。部分崩壊形の場合には、柱の全塑性耐力を低減して塑性ヒンジの耐力とします。
柱の耐力が低下すれば、増分解析で柱に早くヒンジが発生し、層間変形角で耐力を規定している建物は、さらに耐力が低下します。
崩壊形の判定方法、例題は下記が参考になります。
崩壊形の判定方法|塑性ヒンジと仮想仕事法による終局荷重の求め方
混同しやすい用語
全体崩壊形と部分崩壊形
全体崩壊形とは、梁に塑性ヒンジが先行して生じ、建物全体がバランスよく崩壊するメカニズムです。
部分崩壊形とは、特定の柱に塑性ヒンジが集中し、一部の層だけが変形する崩壊メカニズムです。
設計では全体崩壊形を目標とします。
崩壊形と崩壊機構
崩壊機構とは、塑性ヒンジが形成されて建物が崩壊するときの変形のパターンを指します。
崩壊形は崩壊機構の種類を分類した概念です。
全体崩壊形や部分崩壊形は崩壊機構の代表例です。
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崩壊形の3つの分類を答え、最も望ましいものを説明してください。
全体崩壊形・部分崩壊形・局部崩壊形の3つです。最も望ましいのは全体崩壊形で、各階で梁に塑性ヒンジを発生させることで高いエネルギー吸収が期待できます。
全体崩壊形と部分崩壊形の違いを塑性ヒンジの位置から説明してください。
全体崩壊形は梁端・パネルゾーンに塑性ヒンジが先行して生じ建物全体がバランスよく崩壊するメカニズムです。部分崩壊形は特定の柱(柱頭・柱脚)に塑性ヒンジが集中し一部の層だけが変形する崩壊メカニズムで、脆性的な崩壊になりやすく望ましくありません。
部分崩壊形と判定された場合、設計上どう扱いますか。
部分崩壊形の場合は柱の全塑性耐力を低減して塑性ヒンジの耐力とします。柱の耐力が低下すると増分解析で柱に早くヒンジが発生し耐力が低下します。最終的に保有水平耐力(Qu≧Qun)を満足すれば問題ありません。
