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偶力の基礎知識と、モーメントの関係

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偶力(ぐうりょく)は、同じ大きさで、平行且つ反対向きの2つの力のことです。今回は、偶力の基礎知識を、実現象を交えて説明します。また、偶力の求め方やモーメントの和について考えます。


※今回の記事は、力のモーメントを理解するとよりスムーズに読めます。下記が参考になります。

力のモーメントってなに?本当にわかるモーメントの意味と計算方法

偶力のモーメントとは?1分でわかる意味、公式、正負、力のモーメントとの違い

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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偶力の基礎知識

偶力は、同じ大きさで、平行且つ反対向きの2つの力です。この説明だけでは、何のことかサッパリだと思います。下図をみてください。


偶力


上図のように、偶力は2つの力が反対を向いています。さらに、力は平行で同じ大きさです。この2つを偶力と言いますが、なぜこのような力を敢えて「偶力」と定義するのでしょうか。それは偶力が、普通の力と違い物体を回転させる作用があるからです。


試しにペンを机の上に置いてください(横向きにする)。今度は、そのペンの両端を持って上と下向きに力をかけます。するとペンは回転します。


あなたが今、両手に加えた力が「偶力」です。また、偶力は「同じ大きさで、平行且つ反対向きの2つの力」なので、下図のように斜め向きの力でも偶力になります。


斜め方向の偶力


さらに、下図のように一見偶力でない力でも2つの成分に分解して、前述した条件を満たすのなら、それは偶力です。


一見、分からない偶力


偶力は「物体を回転させる力」で、物体を移動させることはありません。それは、互いの力の大きさが同じで、反対向きの力だからです。

偶力によるモーメントの求め方

下図の偶力を元に、モーメントを計算します。


偶力とモーメントの関係


偶力はPで、2つの力の距離はLです。この偶力によるモーメント(物体を回転させる力)は下式で計算します。


M=P×L


詳細は下記も参考にしてください。

偶力のモーメントとは?1分でわかる意味、公式、正負、力のモーメントとの違い

偶力によるモーメントの和

偶力のモーメントの和を計算します。偶力が任意の点Oから、図のような位置に作用しています。偶力によるモーメントの和を計算します。


偶力のモーメントの和


モーメントの和は、ある点に対するモーメントの合計です。偶力によるモーメントの和は、下式で計算します。


M=P(L-x)+ Px=PL


xは偶力から任意の点までの距離にも関わらず、モーメントの和はPL(定数)になりましたね。ちなみにxのことを「腕の長さ」といいます。これは、偶力によるモーメントの和は、任意の点に関わらず一定になる、ということです。


つまり、偶力の作用する距離と偶力の大きさを掛ければ、それがモーメントの和です。

モーメントから偶力を求める

逆に、モーメントから偶力を計算できます。任意点にモーメントMが作用しています。偶力同士の距離をLとします。


前述した偶力とモーメントの式から、モーメントと距離が分かっていれば偶力は計算できます。


偶力P=M/L


です。

例題 偶力とモーメントの関係

最後にこれまで勉強した知識を使って、偶力の大きさやモーメントを計算します。


偶力とモーメントの関係


一見、偶力でないように見えますが、斜め方向の力を鉛直と水平の成分に分解します。45°方向に作用する力ですから、


鉛直・水平成分の力=14*0.707≒10kN


です。鉛直方向下向きに同様の力が作用しています。つまり、偶力の条件を満たしています。偶力とモーメントの大きさは、


偶力=10 kN

モーメント=10×2.0=20kNm


です。

まとめ

今回は偶力について説明しました。偶力の定義は、言葉で覚えるよりも図で覚えた方が良いです。また、一見偶力に見えなくても、成分に分解することで偶力になります。注意しましょう。下記も併せて参考にしてくださいね。

力の3要素とは?1分でわかる意味、力の大きさ、作用点、方向

作用力とは?1分でわかる意味、反作用力、力のつりあい、計算方法

偶力のモーメントとは?1分でわかる意味、公式、正負、力のモーメントとの違い

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