この記事の要点
偶力とは、大きさが等しく方向が反対で、作用線が平行な2つの力の組のことです。偶力は物体を回転させますが平行移動はさせません。偶力のモーメントは、どこを基準点にとっても同じ値になります。
この記事では、偶力とは何か、偶力のモーメントはどう求めるのか、作用点に関係なく一定になるのはなぜかを整理します。
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偶力(ぐうりょく)は、同じ大きさで、平行且つ反対向きの2つの力のことです。今回は、偶力の基礎知識を、実現象を交えて説明します。また、偶力の求め方やモーメントの和について考えます。
※今回の記事は、力のモーメントを理解するとよりスムーズに読めます。下記が参考になります。
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偶力は、同じ大きさで、平行且つ反対向きの2つの力です。この説明だけでは、何のことかサッパリだと思います。下図をみてください。
上図のように、偶力は2つの力が反対を向いています。さらに、力は平行で同じ大きさです。この2つを偶力と言いますが、なぜこのような力を敢えて「偶力」と定義するのでしょうか。それは偶力が、普通の力と違い物体を回転させる作用があるからです。
試しにペンを机の上に置いてください(横向きにする)。今度は、そのペンの両端を持って上と下向きに力をかけます。するとペンは回転します。
あなたが今、両手に加えた力が「偶力」です。また、偶力は「同じ大きさで、平行且つ反対向きの2つの力」なので、下図のように斜め向きの力でも偶力になります。
さらに、下図のように一見偶力でない力でも2つの成分に分解して、前述した条件を満たすのなら、それは偶力です。
偶力は「物体を回転させる力」で、物体を移動させることはありません。それは、互いの力の大きさが同じで、反対向きの力だからです。
下図の偶力を元に、モーメントを計算します。
偶力はPで、2つの力の距離はLです。この偶力によるモーメント(物体を回転させる力)は下式で計算します。
M=P×L
詳細は下記も参考にしてください。
偶力のモーメントの和を計算します。偶力が任意の点Oから、図のような位置に作用しています。偶力によるモーメントの和を計算します。
モーメントの和は、ある点に対するモーメントの合計です。偶力によるモーメントの和は、下式で計算します。
M=P(L-x)+ Px=PL
xは偶力から任意の点までの距離にも関わらず、モーメントの和はPL(定数)になりましたね。ちなみにxのことを「腕の長さ」といいます。これは、偶力によるモーメントの和は、任意の点に関わらず一定になる、ということです。
つまり、偶力の作用する距離と偶力の大きさを掛ければ、それがモーメントの和です。
逆に、モーメントから偶力を計算できます。任意点にモーメントMが作用しています。偶力同士の距離をLとします。
前述した偶力とモーメントの式から、モーメントと距離が分かっていれば偶力は計算できます。
偶力P=M/L
です。
最後にこれまで勉強した知識を使って、偶力の大きさやモーメントを計算します。
一見、偶力でないように見えますが、斜め方向の力を鉛直と水平の成分に分解します。45°方向に作用する力ですから、
鉛直・水平成分の力=14*0.707≒10kN
です。鉛直方向下向きに同様の力が作用しています。つまり、偶力の条件を満たしています。偶力とモーメントの大きさは、
偶力=10 kN
モーメント=10×2.0=20kNm
です。
混同しやすい用語
偶力
大きさが等しく方向が反対で、作用線が平行な2つの力の組のこと。物体を回転させるが、平行移動はさせない。
力のモーメント
ある点を基準として力が物体を回転させようとする大きさのこと。基準点の位置によって値が変わる点が偶力のモーメントとの違い。
偶力を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 偶力の定義 | 大きさが等しく、平行かつ反対向きの2つの力の組 | 物体を回転させるが平行移動はさせない |
| 偶力のモーメント | M=P×L(力×腕の長さ) | 基準点の位置に関わらず一定の値 |
| 力のモーメントとの違い | 偶力のモーメントは基準点によらず不変 | 力のモーメントは基準点で値が変化する |
今回は偶力について説明しました。偶力の定義は、言葉で覚えるよりも図で覚えた方が良いです。また、一見偶力に見えなくても、成分に分解することで偶力になります。注意しましょう。下記も併せて参考にしてくださいね。
力の3要素とは?大きさ・方向・作用点の意味と構造力学での役割
作用力とは?意味・反作用力との関係と力のつり合いの計算方法(ニュートンの第3法則)
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
偶力の特徴は「基準点をどこにとってもモーメントが一定」という点です。これは力のモーメントとの大きな違いです。偶力の考え方は、ボルト締め付けや構造物の捩りを考えるときに役立ちます。