建築学生が学ぶ構造力学

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鉄筋コンクリートのjは、なぜ7d/8で求められるのか?

この記事の要点

鉄筋コンクリートのj(応力中心間距離)がなぜ7d/8で求められるのかを解説します。jは鉄筋の引張力とコンクリートの圧縮力の作用点間の距離です。

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以前、RCの断面算定式を誘導しました。この式は、

という簡易式でしたね。jは応力中心間距離と呼ばれ、7d/8で決められています。では、なぜ7d/8で算定されるのでしょうか。


おそらく実験や経験的に求められた式だとおもいますが、今回はjの数学的根拠について考えていきます。


下図のように設定しています。

上式を誘導するとき、コンクリートは引張力を負担できない。圧縮力はコンクリートだけで負担する、と仮定しました。Tは鉄筋のみで負担するので、作用位置は引張鉄筋の中心です。


次に、圧縮力はコンクリートのみで負担すると考えたので、中立軸から2/3に作用するハズです。数式で示すなら、

です。

混同しやすい用語

応力中心間距離jと有効せいd

有効せいdはRC断面の圧縮縁から引張鉄筋の重心までの距離です。応力中心間距離jは鉄筋の引張力とコンクリートの圧縮力の作用点間の距離で、j=7d/8(近似値)の関係があります。

中立軸と重心

中立軸はRC断面が曲げを受けたときに引張域と圧縮域を分ける軸で、この位置での応力はゼロです。重心は断面の面積中心で、均質な断面では断面の中央に位置しますが、RC断面では配筋によって重心位置が変わります。

一方、Tが作用する位置を数式で示すなら、

となります。

つまり、僕が求めた応力の中心間距離j'は、

です。一方、RC規準等で定められている値、

とは似ても似つかわしくない式になりました。dtが邪魔ですね。dtはコンクリート外面から鉄筋の中心位置です。梁のスターラップや主筋径で微妙に値が異なります。つまり、数式として決めることができません。

両者の式を比較しましょう。まず、算定したj'に具体的な数値を代入しましょう。

ちなみに、dtは下記のように算定しました。

STPの径はD10~D13が一般的です。仮にD13とします。次に、鉄筋径は様々ですが、D22と仮定します。梁のかぶりは40mmですから、

です。

となりました。

では、一方jは

です。

僕が誘導したj'の値は、規準式と違う結果となりました。536-469=67という結果です。つまり、圧縮鉄筋のほぼ中心位置になります。

よって、

という式は、圧縮側はコンクリートのみで負担すると考えているのですが、Cは圧縮鉄筋に近い位置に作用する、と考えるのです。

今回はRCのjに着目しました。j=7d/8は、引張鉄筋と圧縮鉄筋の中心間距離に近い値になりましたね。とはいえ、今回誘導した計算式は限定的な値ですか。やっぱりRCは奥が深いですね。

応力中心間距離jの計算例

条件
梁せいD500 mm
かぶり厚さ+鉄筋半径50 mm
有効せいd500 − 50 = 450 mm

応力中心間距離jの近似式: j = 7d/8

j = 7 × 450 / 8 = 393.75 mm ≒ 394 mm

この値は鉄筋引張力Tとコンクリート圧縮力Cの作用点間距離であり、断面の曲げ耐力Muを M = T×j = C×j として計算するときに使う。

答え:j ≒ 394 mm(有効せい450mmの約7/8倍)

応力中心間距離と関連寸法の比較表

寸法記号定義目安
D(梁せい)圧縮縁から引張縁までの全高さ設計値
d(有効せい)圧縮縁から引張鉄筋重心までD−かぶり等
j(応力中心間距離)圧縮力Cと引張力Tの作用点間距離≒7d/8
中立軸位置引張域と圧縮域を分ける位置≒d/3(矩形圧縮域の場合)

よくある誤解

一問一答

Q. 応力中心間距離jと有効せいdの関係式(近似式)は?

A. j=7d/8(≒0.875d)。圧縮応力度が矩形分布すると仮定したときの近似値。

Q. 有効せいd=400mmのRC梁でjを求めよ。

A. j=7×400/8=350mm。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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