この記事の要点
RCスラブの設計は、まず荷重の流れ方向を把握することから始まります。
一方向スラブか二方向スラブかによって支配的な曲げモーメントの向きが変わり、配筋の主筋方向も変わります。
実務で5つのポイントを意識するようになってから、スラブ厚の決定や配筋検討でミスが減りました。
特に「スラブが長辺方向にはほぼ力を伝えない」という荷重伝達の特性は、初心者が混乱しやすい部分なので、計算前に図で確認する習慣をつけることをお勧めします。
自由辺のあるスラブは四辺固定版より最大応力が5倍増大するなど、支持条件の違いが設計に大きく影響する点が重要。
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梁に比べてスラブは力を多方向へ伝えることができる部材です。反力は辺で伝え、周辺の固定度が剛ならば、四辺が固定となりとても固い部材となります。
一般的にスラブ面積は15~25㎡(t=150のとき)で、真四角のスラブだとすれば5m×5mの版が、梁もなく力を伝えられることは、中々すごいことです。
今回は、そんなスラブに関するポイント(TIPs)について紹介します。
当HPで理論式を導出しているように、スラブは2方向の梁と仮定し、中央の変位が同じ(同一変位)であることを利用して解いています。
つまり、スラブの長辺方向、短辺方向の長さが荷重の大きさに大きく影響します。正方形の場合、2方向均等に力が分担されるので、一方向梁のCに比べ半分になります。
一方向版の梁は、両端固定の中央曲げはCの半分でした。しかし、スラブの場合、それよりもやや大きいことに注意が必要です。
M1=1/24×l^2
M2=1/36×l^2
です。
短辺と長辺の長さは、スラブ応力を決める重要なファクターです。例えば、短辺と長辺で2倍スパンが異なるとwxは16/17倍、つまり全荷重の94%となります。
応力に着目すると、長辺方向の曲げMyは短辺方向の曲げMxの概ね半分に近づきます。
ですから、2倍以上の長辺比であれば一方向版として検討されます。短辺方向の半分程度の応力なら、計算外で鉄筋を配置すれば問題ないからです。
しかし、床荷重が大きくなると、残り5%の荷重も決して無視できないかもしれません。
3番と似た話題です。長辺比が1.25倍のとき、Myの値はMxの7割程度となります。1.5倍のとき、Myの値はMxの6割程度です。
スラブの配筋リストをみたとき、これを覚えておけば、大方の予測はつくでしょう。
例えば、スラブ長辺比が1.25倍程度であれば、MxがD13@200、MyがD10D13@200程度が妥当な配筋です(長辺方向が概ね短辺方向の7割程度の配筋)。
片持ちスラブの応力が大きいことは周知の事実ですが、三辺固定版1辺自由のスラブは前社に比べ最大曲げが5倍程度大きくなります。
これは2隣辺固定他辺自由版でも同じです。つまり、三辺固定しているから・・・と過信してはいけません。
1辺でも荷重を支持していない(支点が無い)ことは大変なことだ、と改めて感じます。
混同しやすい用語
四辺固定スラブ
4辺がすべて梁や壁で支持された(固定された)スラブで、最も剛性が高く曲げ応力が小さい。
自由辺を持つスラブに対して、四辺固定スラブは支持条件が最良で、同じスパンでも厚さを薄くできる。
自由辺を持つスラブ(片持ちスラブ・三辺固定スラブ等)
1辺以上が支持されていないスラブで、自由辺付近の応力が集中し最大曲げが四辺固定の5倍程度になる場合がある。
四辺固定スラブに対して、自由辺を持つスラブは配筋量の増加や厚みアップが必要で、設計上の要注意部位となる。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験ではスラブの支持条件(四辺固定・二辺固定など)と曲げ応力・たわみの関係が出題されます。
「自由辺=危険」と直感的に覚え、スパン・厚さ・支持条件の三者関係をセットで整理しましょう。