この記事の要点
斜め荷重とは水平・鉛直部材に対して斜め方向に作用する力で、計算時は必ず水平荷重と鉛直荷重に分解して扱う。
斜め荷重が梁を圧縮する方向に作用する場合は軸力による座屈の検討が必要となる。
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斜め荷重とは、水平、鉛直の部材に対して斜め方向に作用する荷重です。斜め方向のまま応力や反力を求めるのは面倒なので、普通は水平、鉛直方向の荷重に分解して計算します。斜め方向の力を分解する計算は、トラス部材の検討でも良く使います。今回は、斜め荷重の意味、分解と計算、片持ち梁の応力について説明します。力の分解、合成は下記の記事が参考になります。
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斜め荷重とは、水平、鉛直の部材に対して、斜め方向に作用する荷重です。下図をみてください。これが斜め荷重です。
普通、部材に生じる反力や応力は、鉛直、水平方向の力です。よって、斜め荷重は水平、鉛直に分解することが望ましいです。
斜め荷重は、鉛直や水平方向の荷重に比べて、生じる応力が複雑になります。下図をみてください。片持ち梁の先端に斜め荷重が作用しています。鉛直、水平方向の荷重に分解します。鉛直方向が作用すると、曲げモーメントが生じます。水平力により、梁に軸力が生じます。
梁が圧縮される方向に斜め荷重が作用すると、水平力により座屈の影響を考慮します。片持ち梁は、座屈長さが大きいので注意が必要です。
斜め荷重の分解は、ベクトルの計算と同じです。ベクトルとは、量と向きを表す用語です。矢印の方向が向き、矢印の長さで量を示します。※なお、構造計算では、荷重の値を直接書くことが多いので、矢印の長さで量を表現しません。
下図をみてください。斜め荷重が45°方向に作用しています。この斜め荷重を、鉛直、水平方向に分解します。
45°をなす三角形の斜辺と高さ、長さの関係は、
です。よって、斜め荷重の大きさが10kNのとき、鉛直、水平方向の荷重は下記です。
鉛直荷重 10*1/1.41=7.1kN
水平荷重 10*1/1.41=7.1kN
また、注意したいのが分解後の荷重の方向です。下図をみてください。左下斜め、右下斜め、左上斜め、右上斜めで、分解後の荷重の向きが違います。
荷重の向きにより、圧縮力、引張力の影響が違うので注意してください。力の分解は下記が参考になります。
斜め荷重が作用する片持ち梁の応力を計算します。下図をみてください。斜め荷重の大きさが20kN、45°方向に荷重が作用しています。曲げモーメント、梁に生じる軸力を計算しましょう。
まずは、斜め荷重を分解します。鉛直、水平荷重は下記です。
鉛直荷重=14kN
水平荷重=14kN
片持ち長さが2.0mなので、曲げモーメントは
です。軸力は、
ですね。「-」符号なので、圧縮力を意味します。今回、断面算定を省略しますが、圧縮力が生じる梁は、座屈の検討も必要です。下記も参考にしてください。
斜め荷重の作用する片持ち梁とは?3分でわかる計算、たわみ、モーメント、反力の求め方は?
混同しやすい用語
斜め荷重(ななめかじゅう)
水平・鉛直のどちらにも傾いた方向に作用する荷重。計算するには三角関数で水平分力と鉛直分力に分解する必要がある。
偏心荷重(へんしんかじゅう)
部材の重心や断面中心からずれた位置に作用する荷重。ねじりモーメントや偏心曲げを生じさせる。斜め荷重とは作用方向・原因が異なる別概念。
斜め荷重を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 斜め荷重の分解 | 水平分力=Pcosθ、鉛直分力=Psinθ | 三角関数(sin・cos)で分解する |
| 片持ち梁への影響 | 鉛直分力→曲げモーメント・せん断力、水平分力→軸力 | 圧縮軸力が生じる場合は座屈を検討 |
| 45°斜め荷重の計算例 | P=10kNのとき水平・鉛直とも約7.1kN | 1:1.41の関係(√2)を用いる |
今回は斜め荷重について説明しました。意味が理解頂けたと思います。斜め荷重は、水平、鉛直の部材に作用する斜め方向の力です。斜め荷重のままでは、応力や反力が計算しづらいので、必ず分解します。力の分解、合成の方法を理解しましょう。斜め荷重の分解後の、鉛直力、水平力の向きにも注意してくださいね。下記の記事も併せて参考にしてください。
斜め荷重の作用する片持ち梁とは?3分でわかる計算、たわみ、モーメント、反力の求め方は?
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試験での問われ方|管理人の一言
一級・二級建築士の試験では、斜め荷重を水平・鉛直に分解した後の応力計算が頻出です。特に片持ち梁に斜め荷重が作用するケースでは、水平分力が軸力(圧縮または引張)、鉛直分力が曲げモーメントとせん断力を生じさせる点を押さえておきましょう。力の分解にはsinとcosをきちんと使い分け、「鉛直=Psinθ、水平=Pcosθ」の関係を確実に覚えてください。