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2次元の四角形の物体には、各面にx軸およびy軸(2軸)の各軸方向に生じる垂直応力、各軸と直交する方向に生じるせん断力が生じます。この四角形から微小直角三角形要素を取り出し、三角形要素の斜辺に生じる垂直応力、せん断力を求めれば、任意の傾きをもつ断面に生じる応力が算定できます。今回は、2軸方向の応力状態、任意断面の応力の求め方と力のつりあいについて説明します。一次元物体の任意断面の応力、三次元物体の力のつりあいは下記が参考になります。
任意断面の応力とは?1分でわかる意味、主応力の計算、垂直応力とせん断応力の関係
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2次元の四角形の物体には、下図に示すように2軸方向(x、y軸方向)に生じる垂直応力、各面に平行に作用するせん断力が生じます。2次元物体に生じる応力状態を下図に示します。※ここでいう応力とは構造力学における「応力度(単位面積当たりの断面力)」とする。また、物理学などでは「断面力を合応力」、建築構造力学では「断面力のことを応力」という。
なお、四角形物体は平面でz方向(奥行)の長さは1、z方向の応力、ひずみは考えません。また、簡単のため力の矢印を1本で図示していますが、各応力は各面に「分布」しています。たとえば、σyに「面積(dz×dx=1×dx=dx)」を掛け算すれば「σydx」となり、断面力(※構造力学でいう応力)の値に変換できます。
当然、実際の物体は3次元(立体)ですが、2次元(面)の問題として扱うことで、比較的簡単に力のつり合いや、後述する任意断面に生じる垂直応力、せん断力などが算定できます。なお、構造力学では、一般に用いる構造部材の特性上、さらに変数を減らして1次元(線)の応力状態を考えることも多いです(梁、柱の応力)。1次元物体の任意断面に生じる応力の詳細は下記をご覧ください。
任意断面の応力とは?1分でわかる意味、主応力の計算、垂直応力とせん断応力の関係
さて、下図に示す四角形物体から微小な直角三角形要素を取り出します。三角形要素の斜面は鉛直線から任意の角度θ傾いており、θを小さくあるいは大きくすることで斜面の勾配も変わります(すなわち斜面は任意断面)。次に、斜面(任意断面)に垂直応力σ、せん断力τが下図の方向に作用すると仮定します。今回は、四角形物体を「土」と想定して応力の向きを仮定しました。
σ、τ以外の応力が既知とすれば、三角形要素に生じる応力のつりあいより、任意断面に生じる垂直応力σ、せん断力τが算定できます。
なお、応力の向きを上図のように仮定した理由を下記に示します。
・垂直応力σx、σyの向き ⇒ 物体を圧縮する方向とする(圧縮力と仮定)。「土」は引張強度が期待できない。ゆえに、引張応力、曲げ応力(引張と圧縮の合成応力)による力の伝達は考えない。地盤は必ず圧縮力を負担するような設計を行う(引張、曲げが作用する箇所に使わない)。
・任意断面の垂直応力σの向き ⇒ 同上
・せん断力τxy(τyx)の向き ⇒ 任意の向き
・任意断面のせん断力τの向き ⇒ 同上
必ず上図のように、応力の向きを仮定する必要は無いですし、参考書によっては垂直応力の向きが逆になることも多いです(引張力と仮定)。ただし、応力の組は「物体がつりあうような向き」とします。なぜなら、力のつりあいを考えるとき物体が静止した状態を考えるからです。下図のように応力の向きを仮定すると物体は「回転」や「移動」するため、応力の向きの仮定として誤りです。
以降、力のつりあいにより、任意断面の応力を算定しますが、「前述の応力の向きと仮定した場合の式」という点に留意しましょう。力はベクトルなので「大きさと向きはセット」です。仮定した応力の向きが変われば、当然、算定結果の符号も逆になります。ですから「参考書と計算式が合わない」と思う前に、まずは仮定した応力の向きを確認することも大切です。
下図に示す微小三角形要素について、x軸、y軸方向の力のつりあいを考えます。
要素は静止した状態であり、すなわち、要素に生じる応力を断面力に変換し、x、y方向ごとに合計すると「0」になります。また、三角形の斜辺の長さはds、角度はθなので
・y方向の長さ ⇒ dscosθ
・x方向の長さ ⇒ dssinθ
です。次にσ、τをx成分、y成分に分解します。下図より
・σのx成分 ⇒ σdscosθ
・σのy成分 ⇒ σdssinθ
・τのx成分 ⇒ τdssinθ
・τのy成分 ⇒ τdscosθ
です。
以上より
です。σx、σy、τxy、τyxは既知なので、上記の2式について連立方程式を解けばσ、τが得られます。さらに、τxy=τyxが成り立ちます。これをせん断力の共役性といい、説明は省略しますが、詳細は下記が参考になります。
まずσを求めましょう。τの項を消すために式①の各項にcosθを掛け算、式②はsinθを掛け算します。
上式を足し算してσについて求めると
が得られます。同様の流れでτを求めると(計算過程は省略)
になります。式③、④が平面(2次元)の物体の任意断面に生じる垂直応力、せん断応力です。なお、計算過程は省略しましたが、ここまで用いた三角関数の公式を下記に示します。
応力を表す式としては式③、④で十分ですが、後の議論に繋がる「主応力、主応力面の算定」において、式③を変形しておくと便利なので、より簡単な形で表します。ややテクニックが必要なので計算過程を示します。
一般に、参考書では式⑤が任意断面に生じる垂直応力を表す式として採用されます。平面の物体に生じる主応力の求め方は下記が参考になります。
主応力の求め方は?2次元要素の主応力の導出方法、最大主応力、最小主応力の求め方は?
主応力面とは?1分でわかる意味、方向、主応力度と主せん断応力度との関係
今回は2軸方向に生じる応力について説明しました。平面の物体にはx、y方向の2つの軸に応力が生じます。単に公式を導くだけでなく、応力の向きの仮定も理解しましょう。一軸方向に生じる応力と任意断面の応力の詳細、主応力の詳細など下記も勉強しましょう。
任意断面の応力とは?1分でわかる意味、主応力の計算、垂直応力とせん断応力の関係
主応力面とは?1分でわかる意味、方向、主応力度と主せん断応力度との関係
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