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応力の平衡方程式

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応力の平衡方程式は、弾性体の応力がつり合い状態にあるとき、それぞれの座標軸に対しての応力関係を表した式です。


有限要素法の式を導出する際に用いる場合があり、また弾性力学のなかでも重要な式の一つとして知られています。

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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せん断応力の共役性

さて、この直六面体の重心を通るx3軸周りのモーメントのつり合いを考えてみましょう。


重心がモーメントのつり合い点なので、せん断応力をモーメントに直してつり合いを考えることになりますね。


せん断応力をモーメントに直してのつり合い


よって重心点での、モーメントのつり合いは次のように、


重心点での、モーメントのつり合い


整理すると、


重心点での、モーメントのつり合いを整理


であり同様のことは他のせん断応力についても成り立つので、


他のせん断応力について


です。これをせん断応力の「対称性」または「共役性」と呼んでいます。

応力の平衡方程式

さて、下図に示すように3次元の物体を考えてみます。弾性体にはそれぞれの座標面に対して垂直応力及びせん断応力が作用しています。


また、物体には重力、遠心力等、質量に比例して「物体力」という力が働き、これをFとして表します。


3次元の物体


以上の図のように、赤丸を基準とします。


この点から座標面に対する応力を考えると、例えばこの位置でのx1軸に関する応力はそれぞれ、σ11、σ12、σ13とします。この位置から、dx1離れた位置での応力は以下のように示すことができます。


座標面に対する応力


と・・・教科書では説明がしてあると思います。しかし、皆さんは結構ここで躓くようなので、簡単に説明します。


まず、変化率は数学で習いましたね。おそらく数学で習ったものは2次元なので、偏微分を行う必要がなく下記の式で表したと思います。


変化率


しかし、変化率を考える場合、この問題では3次元を考えているのでσ11はxyzの変数を含んでいると考えれば、微分ではなく偏微分を行う必要があるのです。


変化率を3次元で考える


また、これだけでは、dx1離れた距離での変化量を表しているわけではないので、その変化率と基準点から離れた距離dx1を掛けた以下の式を元の応力に足し合わせるわけです。


dx1離れた距離での変化量


さて、以上のように、基準とする点での応力または基準から離れた位置での応力のつり合い式を、それぞれの座標軸に対して考えます。


つり合い状態にあれば、当然、これらの応力を足し合わせたものは0となるはずです。


x1方向の力のつり合いは


x1方向の力のつり合い


です。


x1方向の力のつり合い2


この式を整理すると、


x1方向の力のつり合いを整理


以上の関係をx2,x3軸のつり合いを考えて整理すると


応力の平衡方程式


となります。また、この式を応力の平衡方程式をまたはつり合い方程式と呼びます。

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