【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!大好評の用語集と図解集のセット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット(※既に26人にお申込みいただきました!)
断面二次モーメントを積分で求める理由は「あらゆる断面形状(任意断面)の断面二次モーメントを算定できるから」です。また、四角形や円形、三角形の断面二次モーメントの公式は「積分を行うことで導出」できます。
断面二次モーメントを積分で求める定義式を下記に示します。
では、どのような考え方で上式を導くのか詳細に解説します。まず、断面二次モーメントは「物体の回転のしやすさに着目」して定義されます。
下図に示すように、点Oを中心に物体を回すことを考えます。物体A、Bのどちらが回しやすいか考えましょう。
直感的に質量の大きい物体Aの方が回しにくい、と感じる方が多いと思います。では下図に示す条件はどうでしょうか。回転中心から物体の中心までの距離が違います。よって、距離の長いBの方が回しにくいと感じたはずです。
このとき、物体の質量をm、回転中心から物体の中心までの距離(回転半径)をrとするとき、mとrの2乗の積を慣性モーメントといいます。
上式の慣性モーメントを、断面の回転のしやすさに置き換えて考えます。断面について考えるのですから、m(=ρAL)の密度ρと長さLを無視すれば、質量mは断面積Aに置き換えできます。また、回転中心を任意のx軸、y軸と考え、軸から断面の図心までの距離をx、yとすれば、x軸、y軸まわりの回転のしやすさ、すなわち曲げやすさ(曲げにくさ)を表す下式が得られます。
上式より、Iはx、yの2乗に比例するので、断面積の大きさよりも軸から図心までの距離を離すほうが、効率的に曲げにくい断面とできることがわかります。
次に、回転軸を図心として任意断面の曲げやすさを考えましょう。?
任意断面はアメーバーのようにグニャグニャと書いて表現するのですが、これは「任意断面の形状は決まっていない。あらゆる断面形状を想定」しているのです。四角でも三角でも円形もよいですし、ドーナツ型でも空に浮かぶ雲の形でもよいのです。だから、グニャグニャとした何となくの形状として表現します。
前述したように、断面の曲げにくさは「断面積×座標軸から断面図心までの距離」でした。これを任意断面について算定する場合、任意断面の微小断面積dAの曲げにくさについて求め、この微小断面の曲げにくさを「任意の断面形状の範囲まで総和すなわち積分すればよい」のです。実際に計算しましょう。
任意断面の微小断面積をdAとし、x軸から微小断面の図心までの距離をyとします。このとき微小断面の曲げやすさは下式で表します。
さて、積分とはある領域の面積を求めることです。繰り返しますが、微小断面の曲げにくさを「任意断面の曲げにくさとなるよう積分」すればよいので
が得られます。同様にy軸まわりの断面二次モーメントは
となります。
また、矩形断面や矩形を組合せた断面形状では下式の方が実用的です。
なお、図心に近い断面は断面二次モーメントの大きさにあまり寄与しません。このことから、図心に近い断面は削ぎ落して軽量化し、図心からできるだけ離した位置に断面を配置する(せいを大きくする)と効率的な断面が得られる、という発想が生まれます。
鋼のような加工性に優れた材料では、箱形やH形、I形など様々な形状の断面があります。また、断面二次モーメントは梁のたわみ、座屈、曲げ応力度などあらゆる場面で使います。
断面二次モーメントとは?1分でわかる意味、計算式、h形鋼、公式、たわみとの関係
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
h型の断面二次モーメントを求める計算式を下記に示します。
h形鋼の断面二次モーメントの詳細は下記をご覧ください。
h形鋼断面の断面二次モーメントは?5分でわかる求め方、弱軸と強軸の違い、一覧
今回は、断面二次モーメントを積分で求める理由について説明しました。断面二次モーメントの定義式に積分を用いる理由は「任意の断面形状における断面二次モーメントを算定するため」です。断面二次モーメントの考え方も併せて勉強しましょう。断面二次モーメントの詳細は下記も参考になります。
断面二次モーメントとは?1分でわかる意味、計算式、h形鋼、公式、たわみとの関係
断面二次モーメントの導出方法は?式の意味と考え方、慣性モーメントとの関係
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!大好評の用語集と図解集のセット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット(※既に26人にお申込みいただきました!)
有料メルマガを無料で見てみませんか?⇒ 忙しい社会人、学生のためのビルディング・アップデート