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曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由と求め方

この記事の要点

曲げモーメントMを位置xで微分するとせん断力Qが得られます(dM/dx=Q)

この関係は梁の微小要素の力のつり合いから導かれます。

この関係を使うと、モーメント図(M図)の傾きがせん断力(Q図)の値になることがわかります。

逆に言えばQ図を積分するとM図が得られます。

構造力学の基本的な関係式の一つです。

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曲げモーメントの微分とせん断力Qxには下式の関係があります。下式より、曲げモーメントの式を微分すればせん断力Qの式が得られます。


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由1


曲げモーメントからせん断力を求める計算例を示します。微分を理解していれば簡単です。たとえばMxの式が「Mx=x^2+6x+2」のとき、せん断力を表す式Qxは


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由2


のように、Mxをxについて微分すればせん断力の式が得られます。上式より、xに支点からの任意の位置までの距離xを代入すれば、指定した位置でのせん断力が算定できます。


では、なぜ曲げモーメントを微分するとせん断力になるのでしょうか。

これは梁の微小部分に生じる応力のつり合いから導けます。

下図に示すように、梁に任意の分布荷重が作用して力がつりあっているとします。

このとき梁の微小部分を抜き出して応力のつりあいを考えましょう。

微小部分の長さをdxとします。


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由3


梁に作用する力はつりあっているのですから、微小部分においても力のつりあいは成立します。部材に生じる応力はせん断力、曲げモーメント、軸力の3つです。ただし、上図の梁には鉛直方向の荷重のみ作用するので軸力は0です。


以上より、梁の微小部分には下図のような応力および荷重が作用して力がつりあいます。


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由4


微小部分の右側では、分布荷重wxにより微小な応力が増加します。微小なせん断力、曲げモーメントをそれぞれdQx、dMx、左側のせん断力、曲げモーメントをQx、Mxとするとき


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由5


となります。鉛直方向の力のつりあいは


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由6


より


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由7


が得られます。上式より微小せん断力の大きさは、分布荷重と微小長さの積です。さらに両辺をdxで割ると


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由8


となり、上式はせん断力の1回微分したものが分布荷重になることを意味します。次に点Aにおけるモーメントのつりあいを考えます。


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由9


dx2、dQxdxは微小量の積のため無視できるくらい小さいと考えると


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由10


が求まります。上式より、微小曲げモーメントはせん断力と微小長さの積といえます。さらに両辺をdxで割ると


曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由11


になります。上式は曲げモーメントの1回微分がせん断力になること、すなわち、曲げモーメントの変化の割合がせん断力といえます。

混同しやすい用語

「曲げモーメントの微分」と「せん断力」

荷重強度w、せん断力Q、曲げモーメントMの間にはdM/dx=Q(MをxでミニするとQ)の関係がある。

「積分」と「微分」(荷重-せん断-曲げの関係)

dQ/dx=-w(せん断力を微分すると荷重の負値)、dM/dx=Q(曲げモーメントを微分するとせん断力)の関係がある。

これを使うと荷重→Q図→M図の順に計算できる。

曲げモーメントの微分とせん断力の関係を整理した表を示します。

項目内容備考
基本関係式dM/dx=Q(MをxでミニするとQ)梁の微小部分のモーメントつり合いから導出
せん断力と荷重の関係dQ/dx=-w(せん断力を微分すると分布荷重の負値)Qが一定ならば分布荷重なし
積分との関係分布荷重を積分→せん断力、せん断力を積分→曲げモーメント荷重→Q図→M図の順に算定できる

まとめ

今回は、曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由について説明しました。

曲げモーメントとせん断力の関係は、梁の微小部分に生じる応力のつり合いから導出できます。

導出までの過程は長いですが、応力のつり合いを整理できれば、あとは機械的に計算処理するだけです。

曲げモーメントの詳細は下記もご覧ください。

曲げモーメントとは?わかりやすい意味・正負の考え方と計算方法(図解)

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理解度チェック

Q.

曲げモーメントMとせん断力Qの微分関係を答えてください。

答えを見る

dM/dx=Q です。曲げモーメントMを位置xで微分するとせん断力Qが得られ、M図の傾きがせん断力(Q図)の値になります。逆にQ図を積分するとM図が得られます。

Q.

Mx=x2+6x+2 のとき、せん断力の式Qxはどう求めますか。

答えを見る

Mxをxについて微分して Qx=2x+6 となります。このxに支点からの任意の距離を代入すれば、指定位置でのせん断力が算定できます。

Q.

曲げモーメントを微分するとせん断力になる理由を答えてください。

答えを見る

梁の微小部分(長さdx)に生じる応力のつり合いから導けます。点Aでのモーメントのつり合いを考え、dx2やdQx・dxなど微小量の積を無視すると、微小曲げモーメントはせん断力と微小長さの積となり、両辺をdxで割ると dM/dx=Q が得られます。荷重とせん断力には dQ/dx=-w の関係もあります。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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