この記事の要点
モールの応力円は任意断面に作用する垂直応力σとせん断応力τの関係を円で図示したものであり、円上の点が各断面方向の応力状態を表す。
最大・最小主応力は円の両端(τ=0の点)から読み取れ、主応力面の角度もモールの応力円から幾何学的に求めることができます。
この記事では、モールの応力円とは何かを整理します。
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モールの応力円とは、縦軸にせん断応力、横軸に垂直応力をとり、断面に生じる垂直応力とせん断応力の関係を表す円です。
モールの応力円を描くことで、簡単に断面の任意の角度に生じる垂直応力、せん断応力がわかります。
なお、モールの応力円の方程式は、2軸方向に生じる応力のつりあいから求めます。
今回はモールの応力円の意味、導出方法、主応力の求め方について説明します。
二軸応力のつりあい、主応力の求め方は下記が参考になります。
2軸方向に生じる応力の計算方法|任意断面の応力と力のつりあい
主応力の求め方は?2次元要素の主応力の導出方法、最大主応力、最小主応力の求め方は?
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モールの応力円とは、縦軸にせん断応力、横軸に垂直応力をとり、断面に生じる垂直応力とせん断応力の関係を表す円です。下図にモールの応力円を示します。
上図のように、応力円を描ければ断面の任意の角度(2θ)における垂直応力、せん断応力が簡単にわかります(※なお、モールの応力円では、角度は2θが主値となる)。このように、モールの応力円を使えば
・視覚的に断面に生じる応力状態がわかる
という利点があります。
一方で、現在は計算プログラムおよび、その結果を表示する視覚化プログラムが優れており、建築構造の実務でモールの応力円をあえて使う機会は、そう多くありません(応力円を使わなくても任意断面の応力が簡単にわかる。
例えばFEMソフト等)。
さて、上図に示したモールの応力円を眺めると、モールの応力円には下記の特徴があることがわかります。
・応力円のy座標の中心はx軸(σ軸)と一致する、すなわち円の中心は(a,0)となる(aは任意の値)
・せん断応力τ=0のとき、σは最大値(σ1)、最小値(σ3)をとる
・円の中心となる座標で、τは最大値(τmax)、最小値(τmin)をとる
・τmax、τminの値は、応力円の半径に相当する
・σ1とσ3の差は応力円の直径に相当する、すなわち、(σ1-σ3)/2はτの極値(最大値、最小値)となる
上記はモールの応力円に共通した特徴です。また、上記における垂直応力の最大値、最小値を併せて「主応力」といい、σ1を最大主応力、σ3を最小主応力、τmax、τminを主せん断応力といいます。
主せん断応力とは?求め方・公式とモールの応力円・主応力との関係(図解)
さて、平面(2次元)の断面に応力が生じる場合の、モールの応力円の方程式を下記に示します。σ、τは断面の任意の角度における応力、σx、σyはx軸、y軸に生じる垂直応力、τxyはせん断応力です。
上式の導出方法は下記リンクあるいは後述を参考にしてください。
主応力の求め方は?2次元要素の主応力の導出方法、最大主応力、最小主応力の求め方は?
式①よりモールの応力円は
です。つまり、σx、σy、τxyの値が既知であれば、応力円を描けることがわかります。具体的にσx、σy、τxyが既知の場合における、モールの応力円の描き方の例を示しましょう。まず、下図のように縦軸にτ、横軸にσをとる直交座標を描きます。
次に、σ軸上にσx、σyの点および垂直線を描きます。
次に、(σ,τ)=(σx,τxy)、(σ,τ)=(σy,-τxy)となる点を定めて線を結び、この線が直径となる円を描けば、応力円の外形が描けます。
以上のように、σx、σy、τxyからモールの応力円が描け、あらゆる断面の垂直応力、せん断応力の関係が得られる点はとても便利です。
前述したモールの応力円の方程式(式①)の導出は、平面(2次元)に生じる応力のつりあいを理解すれば簡単です。2軸方向に応力が生じる物体における任意断面の垂直応力、せん断応力を下記に示します。
ここで円の方程式を思い出してください。円の方程式は
です。σとτの関係を円の方程式で表すことを目標に式を変形しましょう。式②の右辺を一部移項すると
です。次に式④の両辺を二乗、式③の両辺を二乗して足し算します。すると
なので
が得られます。さらに右辺を平方根の2乗の形に変形すると
です。上記のように、σとτの関係が円の方程式として得られました。これがモールの応力円の方程式です。二軸方向の応力のつりあいの詳細は下記が参考になります。
2軸方向に生じる応力の計算方法|任意断面の応力と力のつりあい
主応力の求め方を下記に示します。主応力の求め方は前述したモールの応力円の方程式から簡単に算定できます。モールの応力円よりτ=0のとき主応力σ1、σ3を得ます。つまり、式④にτ=0を代入すれば下式が算定できます。
主応力の求め方の詳細は下記が参考になります。
主応力の求め方は?2次元要素の主応力の導出方法、最大主応力、最小主応力の求め方は?
混同しやすい用語
「主応力(σ₁、σ₂)」と「法線応力度(σx、σy)」
主応力は特定の断面(主応力面)に垂直に作用する応力度で、そこではせん断応力がゼロになる。
「モールの応力円」と「最大せん断応力面」
モールの応力円上の最高点・最低点が最大・最小主応力。
応力円の最上点・最下点(水平軸から90°)が最大せん断応力面を表す。
モールの応力円を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 横軸(σ) | 垂直応力(法線応力) | 引張を正、圧縮を負 |
| 縦軸(τ) | せん断応力 | 下向きを正とする場合もある |
| 主応力 | 円とσ軸の交点の値(σmax・σmin) | このとき τ=0 |
今回はモールの応力円について説明しました。
モールの応力円とは、縦軸にせん断応力、横軸に垂直応力をとり、せん断応力と垂直応力の関係を表した円です。
モールの応力円を使うことで、視覚的に垂直応力、せん断応力の関係が明らかになります。
モールの応力円の方程式を理解する場合、下記も勉強しましょう。
2軸方向に生じる応力の計算方法|任意断面の応力と力のつりあい
主応力の求め方は?2次元要素の主応力の導出方法、最大主応力、最小主応力の求め方は?
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モールの応力円とは何ですか。
縦軸にせん断応力τ、横軸に垂直応力σをとり、断面に生じる垂直応力とせん断応力の関係を表す円です。円を描くことで断面の任意の角度(2θ)における垂直応力・せん断応力が視覚的に簡単に分かります。
モールの応力円から主応力はどう読み取れますか。
せん断応力τ=0のとき、σが最大値(σ1=最大主応力)・最小値(σ3=最小主応力)をとります。円の両端(σ軸との交点、τ=0の点)から読み取れ、(σ1-σ3)/2 がτの極値(主せん断応力=応力円の半径)になります。
σx・σy・τxyからモールの応力円を描く手順を答えてください。
縦軸τ・横軸σの直交座標を描き、σ軸上にσx・σyの点と垂直線を描きます。(σ,τ)=(σx,τxy)と(σy,-τxy)の2点を結び、この線を直径とする円を描けば応力円が完成します。σx・σy・τxyが既知なら円を描けます。
