建築学生が学ぶ構造力学

建築学生が学ぶ構造力学
  1. HOME > 水理学の基礎 > 浮体とは?安定性・復元力の原理とメタセンターの意味

浮体とは?安定性・復元力の原理とメタセンターの意味

この記事の要点

浮体とは水中に浮かぶ物体であり、浮力と重量がつり合うとき静止し、傾いたとき復元力が働けば安定な状態となる

浮体の安定性は浮心と重心の位置関係によって決まり、傾いたときの浮心の移動方向が安定・不安定を左右する。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット


浮体(ふたい)とは、水中に浮かぶ物体のことです。浮体には上向きに作用する浮力と、浮体の重量が下向きに作用します。


浮体が静止状態にあるとき浮力=浮体の重量の関係にあります。また浮心と重心は同一直線状にあるため安定しています。


一方、浮体が少し傾くと浮心だけがずれるのでモーメントが生じます。これに抵抗するモーメント(復元力)が生じれば、その浮体は安定しています。


今回は浮体の意味、安定性と原理、復元力について説明します。浮心、浮力など下記も参考になります。

浮心とは?1分でわかる意味、求め方と定義、重心との違い

浮力とは?建築基礎への影響と浮き上がり検討の考え方

浮体とは?

浮体(ふたい)とは、水中に浮かぶ物体です。下図に浮体を示します。


図 浮体


また浮体が水面で切られる面を浮揚面(ふようめん)、浮揚面から浮体の底面までの距離を喫水(きっすい)といいます。喫水の詳細は下記が参考になります。

喫水(吃水)とは|読み方・水深との違い・求め方


さらに浮体が水を押しのけている部分の体積の中心を「浮心(ふしん)」といいます。浮力は浮心に作用します。

浮心とは?1分でわかる意味、求め方と定義、重心との違い


下図をみてください。浮体には重心位置に重量が作用し、浮心に浮力が作用します。重心と浮心は同一線上にあるため、外的な要因が無い限り「傾き」などは生じません


図 浮体と浮心、浮力


その代わり、浮体は浮体の重量と浮力の影響で水中を上下します。浮体の重量をW、浮力をBとします。


物体を水中に浮かべた瞬間はW>Bの状態で、浮力が小さいので浮体は沈みます。


浮体が沈むと浮力が大きくなるためW<Bの状態となり、浮体は浮き上がるでしょう。


やがてW=Bとなり浮体は静止します。※ただし常にW>Bの状態であれば水中に沈みます。また非常に軽ければ水中に沈みません。


浮力や浮心の関係は下記も参考になります。

浮力とは?建築基礎への影響と浮き上がり検討の考え方

浮心とは?1分でわかる意味、求め方と定義、重心との違い

100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事

浮体の安定性と原理、復元力

さて、海では風や波の影響で船が揺れています。下図のように、浮体が傾くと安定性にどう影響するでしょうか。


図 浮体の安定性と原理


浮体が風を受けて右に傾きます。すると、水を押しのけている体積が歪な形になりますね。


このとき浮心は右側に移動します。なぜかというと右側の方に体積が偏っているからです。


※計算では断面二次モーメントなどを用いて算定します。


重心位置はそのままです。重心位置には下向きに重量が作用し、右側に移動した浮心には上向きの浮力が生じます。


よって、反時計回りにモーメントが生じます。このモーメントは右に傾いた浮体を左側に押し返す力です。


つまり元に戻ろうとする力で、これを「復元力(ふくげんりょく)」といいます。


図 浮体と復元力、安定


さらに、このとき浮体は「安定である」といえます。


一方、浮体が傾くとき体積の形状によっては浮心が傾いた方向に対して、反対方向に移動することもあり得ます。


浮心が重心より左側にあるとき、時計回りのモーメントが生じます。これは右側に傾いた浮体を、さらに傾かせる力です。


図 浮体の不安定


この状態のとき、浮体は「不安定である」といえます。これが大まかな浮体の安定の原理です。


今回、安定・不安定の計算は省略しますが、前述したように傾いた時の浮心、


メタセンターと呼ばれる「傾いた浮心の鉛直線と浮体の鉛直軸の交点」が重要になります。

混同しやすい用語

復元力

浮体が傾いたとき、元の姿勢に戻ろうとする力。

浮心が傾いた方向(重心より外側)に移動することで生じる。

浮体が不安定な場合は傾きが増す方向のモーメントが生じるのに対して、復元力は傾きを打ち消す方向に働く点が異なる。

浮揚面

浮体が水面で切られる面のこと。

浮体の喫水(底面から水面までの距離)を把握するための基準となる面。

浮心が浮揚面以下の体積の中心であるのに対して、浮揚面は水面そのものを表す平面を指す。

浮体を整理した表を示します。

項目内容備考
静止状態浮力=浮体の重量、重心と浮心が同一鉛直線上外的要因がなければ傾きは生じない
安定(復元力あり)傾いたとき浮心が傾いた方向へ移動し復元モーメントが生じる元の姿勢に戻ろうとする力が働く
不安定(復元力なし)傾いたとき浮心が反対方向に移動し転倒モーメントが生じる傾きがさらに増大する危険状態

まとめ

今回は浮体の意味、浮体の安定性について説明しました。浮体の安定性は浮心と重心位置の関係が大切です。


浮体が傾くとき、浮心の位置はどうなるか考えてみましょう。考え方自体は難しくないはずです。


計算をする前に考え方を理解しましょうね。浮力、浮心の意味など下記も参考になります。

浮力とは?建築基礎への影響と浮き上がり検討の考え方

浮心とは?1分でわかる意味、求め方と定義、重心との違い

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

理解度チェック

Q.

浮体が静止しているときの条件は?

答えを見る

浮力=浮体の重量です。かつ浮心と重心が同一鉛直線上にあるため、外的要因がなければ傾きは生じず安定します。

Q.

復元力とは何ですか?

答えを見る

浮体が傾いたとき元の姿勢に戻ろうとする力です。浮心が傾いた方向(重心より外側)へ移動し、復元モーメントが生じることで働きます。

Q.

浮体が安定・不安定になる違いは?

答えを見る

傾いたとき浮心が傾いた方向へ移動し復元モーメントが生じれば安定、反対方向へ移動し転倒モーメントが生じれば不安定です。メタセンターの位置が重要になります。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

▼用語の意味知らなくて大丈夫?▼

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

▼調べるたびに検索するのをやめたい人へ▼

▼過去問の答えは見たけど、解き方がわからない人へ▼

プロフィール

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

Topへ >>

  1. HOME > 水理学の基礎 > 浮体とは?安定性・復元力の原理とメタセンターの意味
  2. 1級の過去問(計算)解説
  3. わかる建築構造の用語集・図解集
  4. 1頁10円!PDF版の学習記事