この記事の要点
長方形断面の断面一次モーメントとは、断面の各微小面積にその参照軸からの距離を掛けて積分した値だ。
軸の取り方によって公式が変わるため、「どの軸まわりか」を最初に確認する習慣が大切だ。
底辺を基準軸にとると、微小要素 b・dy を積分して断面一次モーメントSy = bh²/2 が得られる。これを断面積Aで割ると重心位置 ȳ = h/2 が導かれる。重心軸まわりのSは定義上ゼロになる。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
断面一次モーメント(長方形)の公式は
です。上式より、長方形の断面一次モーメントは幅と高さの二乗の積を2で割り算した値です。
断面一次モーメントの公式は「断面積×x(y)軸から断面図心までの距離の総和(Sx=∑yA、Sy=∑xA)」です。また、定義式は下記の通りです。
以上より、長方形の断面一次モーメントについて、積分を用いた導出と積分を使わない導出方法の2つを解説します。
まずは積分を使わずに、長方形の断面一次モーメントを求めます。断面一次モーメントの公式は「断面積×x(y)軸から断面図心までの距離の総和」ですが、長方形は単一の図形のため、単に、長方形の断面積と図心までの距離の掛け算を計算すれば良いです。
長方形の断面積Aは
です。長方形の図心は断面の真ん中になるので、x軸から長方形の図心までの距離yoは
です。以上より、長方形の断面一次モーメントは
です。次に、下記の定義式より積分を用いて断面一次モーメントを求めます。
dAは下図に示す長方形の微小断面積、yはx軸からdAの図心までの距離です。さらに、dAは微小高さdyと幅bの積なのでdA=bdyです。
あとは断面一次モーメントの定義式にあてはめると
です。以上より、積分を用いて長方形の断面一次モーメントが算定できました。考え方さえ理解していれば、積分を用いない「Sx=∑yA、Sy=∑xA」の計算式がより簡単です。
なお、一見、複雑にみえる断面図形も、分割すれば1つ1つの長方形であることも多いです。下図に示す複雑な断面図形も3つの長方形に分割すれば、「断面積×x(y)軸から断面図心までの距離の総和(Sx=∑yA、Sy=∑xA)」を計算するだけです。
似た用語に「断面二次モーメント」があります。断面一次モーメントと断面二次モーメントは、考え方、公式など全く異なります。両者の違いは下記をご覧ください。
断面二次モーメントの公式は「断面積×x(y)軸から図心までの距離の二乗の積の総和」です。長方形の図心軸(gx軸)における断面二次モーメントは積分を用いて、下式のように算定します。
断面二次モーメントの公式の導出は下記をご覧ください。
断面二次モーメントの導出方法は?公式の意味と慣性モーメントとの関係
混同しやすい用語
断面一次モーメント
図心位置やせん断応力度の算定に用いる値。bh2/2の公式で求め、単位はmm3やcm3(長さの三乗)。
断面二次モーメント
曲げ剛性・たわみ・座屈の算定に用いる値。bh3/12の公式で求め、単位はmm4やcm4(長さの四乗)。
長方形の断面一次モーメントを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 公式 | Sx=bh2/2 | 幅×高さの二乗÷2 |
| 用途 | 図心位置の算定・せん断応力度計算 | 断面二次モーメントと異なる |
| 求め方 | 断面積×図心距離 | 積分でも算定可能 |
今回は、長方形の断面一次モーメントの求め方について説明しました。長方形の断面一次モーメントは「bh^2/2」で算定できます。断面一次モーメントの意味、図心と断面一次モーメントの関係など下記も勉強しましょう。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
▶ 建築士試験ではどう問われる?
この論点は建築士(構造)で出題されます。実際の問題と解き方は 構造力学・荷重・耐震の過去問解説(分野別・全年度)(無料)で確認できます。
長方形断面(底辺を基準軸)の断面一次モーメントの公式を答えてください。
Sx=bh2/2 です(bは幅、hは高さ)。幅と高さの二乗の積を2で割った値で、断面積×図心までの距離(A=bh、図心距離yo=h/2)から求められ、積分でも同じ結果が得られます。
断面一次モーメントから長方形の図心位置はどう求めますか。
断面一次モーメントを断面積で割って求めます。底辺基準では Sx÷A=(bh2/2)÷(bh)=h/2 となり、図心は断面の真ん中(高さの1/2)です。なお重心軸まわりの断面一次モーメントは定義上ゼロになります。
断面一次モーメントと断面二次モーメントの違いを公式・単位とともに説明してください。
断面一次モーメントは図心位置やせん断応力度の算定に用い、長方形では bh2/2、単位はmm3やcm3(長さの三乗)です。断面二次モーメントは曲げ剛性・たわみ・座屈の算定に用い、長方形(図心軸)では bh3/12、単位はmm4やcm4(長さの四乗)です。
