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建築物の安全性を証明する構造計算で、最も基本となる計算手法が「許容応力度計算」です(建築の分野では、1次設計といいます)。
いや、建築どころか機械、航空機などあらゆる分野で行われているでしょう。許容応力度計算は何といってもは明快・簡便な計算であることがポイントです。
そのため建築の構造設計では、許容応力度計算の理解が必須(基本)です。ということで今回は許容応力度計算について説明します。許容応力度の意味は、下記が参考になります。
許容曲げ応力度とは?1分でわかる意味、fbの計算式、ss400の値
許容圧縮応力度とは?1分でわかる意味、求め方、鋼材の値、コンクリート
許容引張応力度とは?1分でわかる意味、求め方、鉄筋の値、ss400の値
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では具体的に許容応力度計算は、どんな計算でしょうか。実は、たった3つのポイント説明できます。
1つ目のポイントは「外力の算定・設定」です。建物を構造計算するとき、「床にどの程度の荷重が作用するか」または「風圧力や積雪荷重、地震力はどの程度作用するのか」という外力を設定します。
許容応力度計算では、まず外力ありきです。外力が分からなければ計算を進めることができません。外力の種類について、下記に参考になりそうな記事を集めました。
下記は長期荷重と短期荷重(常時作用する荷重と、風圧、積雪、地震のように短期的に作用する荷重)の違いを説明しました。
下記は積雪荷重の意味や算定方法について説明しました。
下記は風圧力、速度圧、風力係数について説明しました。
風荷重とは?1分でわかる意味、読み方、公式、見付面積との関係、フェンスの風荷重
風圧力とは?1分でわかる意味と計算、速度圧と風力係数、受圧面積との関係、風荷重との違い
風力係数とは?1分でわかる意味、計算例、cf、吹き上げ、風上、風下、独立上屋
地震力に関する記事なら下記が参考になります。
以上のように、外力を設定するだけでも相当奥が深いです。1つ1つ着実に積み上げていきましょう。
2つ目のポイントです。無事に外力の設定・算定が終わったあとは、応力と応力度を算定します。
前述したように建築物は長期荷重だけでなく、短期荷重も作用します。これらの荷重が作用したとき、どのような応力状態になるのか計算します。
構造力学は、まさしくこの「応力・応力度の算定」を行うために必要な学問です。例えば単純梁の曲げモーメントやせん断力の算定などは、ここで使うのです。
曲げモーメント、せん断力の算定が曖昧な人はおさらいしましょう。
曲げ応力とは?1分でわかる意味、公式と演習問題、単位、曲げ応力度との違い
せん断応力とは?1分でわかる意味、公式と計算法、記号、平均せん断応力
部材に作用する応力度を算定したあとは、部材の許容応力度を算定します。許容応力度とは、部材に設定した「超えてはならない耐力」と考えてください。
例えば、ある部材の応力度Aが100でした。これに対して、部材の許容応力度Bは200です。つまり下式が成り立ちます。
当たり前のことです。しかし、仮に応力度Aが210になると、
は成り立ちません。それは部材に設定した耐力を、応力度が超えてしまったということで、問題があるわけです。
建築の分野では許容応力度を2種類設定しています。1つは長期許容応力度、2つめは短期許容応力度です。例えば鋼材の引張部材などでは許容応力度を、下記のように設定しています。
156という値は235/1.5より算定され、1.5を安全率といいます。安全率に関しては下記の記事を参考にしてください。
235という値は、鋼材の降伏強度ともいいます。降伏強度の説明は、別の機会に行いますが、ともあれ建築では、この降伏強度を「短期許容応力度」に設定しています。そして、その1/1.5を長期許容応力度にしています。
このように許容応力度計算とは、応力度が許容応力度を超えないように部材断面を決定する計算手法と言えます。そして、「許容応力度」には「降伏強度」が採用されており、ゆえに許容応力度計算を「弾性設計」という方もいます。
許容応力度には色々な種類があります。下記に整理しました。
許容曲げ応力度とは?1分でわかる意味、fbの計算式、ss400の値
許容圧縮応力度とは?1分でわかる意味、求め方、鋼材の値、コンクリート
許容引張応力度とは?1分でわかる意味、求め方、鉄筋の値、ss400の値
許容応力度計算を、構造計算の実務では1次設計といいます。ちなみに2次設計という言葉もあり、これは部材の「塑性」という性質に踏み込んだ計算手法となっています。1次設計、2次設計の意味は下記が参考になります。
一次設計とは?1分でわかる意味、震度との関係、二次設計との違い
今回は許容応力度計算について説明しました。計算の流れは、たった3つのポイントを理解するだけです。つまり、
これだけです。
ただ、1~3つのポイント全て奥が深いものです。>これから構造設計に携わりたい方、許容応力度計算は基本のキです。しっかり理解して、自分のものにしましょう。
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