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安全率ってなに?色んな材料の安全率と降伏強度との関係

この記事の要点

安全率は、材料が本来もつ降伏強度を一定の値(木1.8・鋼1.5・コンクリート2.0)で割ることで許容応力度を求めるための係数です。

常時荷重に対する長期許容応力度(降伏強度÷安全率)と、地震・台風などに対する短期許容応力度(降伏強度そのまま)の違いを理解することが重要です。

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物には強度があります。材料力学では強度をいくつかの種類に分けています。1つは破断強度、2つめは降伏強度です。


降伏強度とは、部材が降伏(弾性が塑性領域に移行すること)するときの強度です。そして、私たちの身の回りにある生活要因あるいは建築物、機械などはできる限り降伏しないよう設計されています。


しかし降伏強度ギリギリで設計すると、万が一降伏する可能性があります。そこで、一定の安全率を見込みます。今回は、そんな安全率について降伏強度との関係や、色んな材料の安全率について説明します。※降伏の意味については、下記が参考になります。

降伏点とは?意味・求め方・引張強さとの違い【鋼材の応力ひずみ解説】

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材料の降伏強度と安全率の関係

安全率とは、冒頭で説明したように材料が本来持つ降伏強度に対して、「安全をみて、降伏強度を低減する数値」のことです。


降伏すると材料は不安定になります。降伏強度ギリギリで設計すると、万が一予定より大きな力が加わると途端に不安定になるわけです。それを避けるための安全率です。


例えば、ある材料の降伏強度をAとします。一方、応力度はBです。

A>Bのとき

作用する応力度が降伏強度より小さいので、降伏はしません。


一方、A=BおよびA<B

の状態は、部材が降伏したということです。※応力度については、下記が参考になります。

応力度とは?種類・計算方法・応力との違い


設計するとき後者にならないよう部材の大きさを決めるわけですが、前者においても安全率をあらかじめ定めておけば、不足の自体が起きても対応できます(例えば予定より大きな荷重が載ったなど)。


つまり、下記のように降伏強度を一定の値で割ります。

Aは降伏強度、vを安全率、A'は許容応力度といいます。何度も言いますが、本当の降伏福強度はAです。しかしAの値を元に設計したのでは、万が一荷重が大きくなった時に耐えられません。


ですから安全率を見込んで、A'で設計を行います。これは建築に関わらず、様々な業界で共通することでしょう。

安全率の決め方

では安全率はどうやって決めるのでしょうか。建築に限って言えば、実は経験則で決められています。


「このくらい安全を見込んでおこうか」という程度のものです。あるいは、これまでの事故や経験的に作用した最大の荷重を元に決められることもあります。


建築材料の安全率は、材料の種類によって異なります。次に、色んな材料の安全率を説明しましょう。

木は後述する材料に比べて不安定な材料です。節もあるし、水分を吸って強度も落ちる。そんな材料だからこそ、安全率は多めに見込んであります。

が木の安全率です。

鋼の安全率は下記の通りです。

です。※鋼については、下記が参考になります。

鋼構造ってなに?よく分かる鋼構造と鉄骨構造、構造力学との関係

コンクリート

コンクリートの安全率は下記の通りです。

です。※コンクリートについては、下記が参考になります。

コンクリートの種類7選|普通・軽量・高強度など用途別の特性をわかりやすく解説

長期許容応力度と短期許容応力度の関係

最後にもう1つ安全率に関係する許容応力度について説明します。冒頭で安全率と許容応力度の関係は下式で示しました。

説明を省きましたが、このA'は長期許容応力度と呼ばれます。「長期」とは「常時使用する」という意味です。私たちが普段生活するとき発生する応力。これに対しては安全率で割ったA'を設計に用います。


一方、地震や台風などの災害時(短期時といいます)にも、安全率を見込むのは余りにもコストがかさみます。


地震や台風は毎日起きるわけでは無いからです。「通常使う荷重に対しては安全率を見込むけど、災害は毎日起きないし、そこまでしなくても良いでしょ」ということです。

そのため短期許容応力度は下式で示します。

要するに降伏強度そのまま使うわけです。※許容応力度については、下記が参考になります。

許容応力度計算 意味 外力 応力度 安全率 構造設計 一次設計

混同しやすい用語

長期許容応力度

常時荷重(自重・積載荷重など)に対して用いる許容応力度で、降伏強度を安全率で割った値です(A'=A÷v)。

短期許容応力度とは異なり、安全率を見込む分だけ小さな値になります。

短期許容応力度

地震・台風などの短期荷重に対して用いる許容応力度で、安全率を見込まず降伏強度そのままを使います(A'=A)。

長期許容応力度に対して安全率の分だけ大きな値になり、「毎日起きない荷重には見込みすぎない」という考え方に基づいています。

安全率を整理した表を示します。

項目内容備考
木の安全率v=1.8節・含水による強度低下を見込む
鋼の安全率v=1.5均質で安定した材料のため低め
コンクリートの安全率v=2.0圧縮には強いが引張に弱いため高め

まとめ

今回は安全率を説明しました。今回理解してもらいたいことは、安全率を考える意味と許容応力度との関係です。構造計算や設計の基本となる考え方ですから、しっかりと理解しておきましょう。下記も参考にしてください。

材料強度とは?基準強度F値との関係・許容応力度の求め方(コンクリート・鋼材一覧)

許容応力度計算 意味 外力 応力度 安全率 構造設計 一次設計

降伏点とは?意味・求め方・引張強さとの違い【鋼材の応力ひずみ解説】

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理解度チェック

Q.

安全率とは何か、許容応力度との関係を式で説明してください。

答えを見る

安全率とは、材料が本来持つ降伏強度に対して安全をみて低減するための数値です。許容応力度 A'=A÷v(Aは降伏強度、vは安全率、A'は許容応力度)で表し、降伏強度ギリギリでなく安全率を見込んだA'で設計します。

Q.

木・鋼・コンクリートの安全率をそれぞれ答えてください。

答えを見る

木はv=1.8(節や含水で強度が落ちる不安定な材料のため多め)、鋼はv=1.5(均質で安定した材料のため低め)、コンクリートはv=2.0(圧縮に強いが引張に弱いため高め)です。

Q.

長期許容応力度と短期許容応力度の違いを説明してください。

答えを見る

長期許容応力度は常時荷重に対して用い、降伏強度を安全率で割った A'=A÷v です。短期許容応力度は地震・台風など毎日起きない短期荷重に対して用い、安全率を見込まず降伏強度そのまま A'=A を使います。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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