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せん断弾性係数とは、せん断力に対する材料のかたさ(材料の変形のしにくさ)を表す値です。横弾性係数ともいいます。よって、せん断弾性係数の値が大きいほど、せん断力に対して変形しにくく、逆に、せん断弾性係数が小さい材料ほどせん断力に対して変形しやすいのです。なお、せん断弾性係数はヤング係数に比例するため、ヤング係数が大きい材料はせん断弾性係数も大きくなります。
今回は、せん断弾性係数の意味、ヤング率との関係、一覧とコンクリートのせん断弾性係数の計算、単位、導出方法について説明します。横弾性係数、ヤング係数の詳細は下記が参考になります。
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せん断弾性係数とは、せん断力に対する材料のかたさ(材料の変形のしにくさ)を表す値です。せん断弾性係数は記号Gで表し下式で求めます。Eはヤング係数、νはポアソン比です。
上式より、せん断弾性係数はヤング係数Eに比例しており、ヤング係数の大きい材料はせん断弾性係数も大きいことがわかります。なお、せん断弾性係数は材料固有の値のため、鋼、コンクリート、木など材料ごとに値が変わります。一方で、部材の断面形状が異なっても、材料が同じであればせん断弾性係数は変わりません。また、せん断弾性係数を「横弾性係数」ともいいます。
下図をみてください。せん断弾性係数の値が大きいほど、せん断力による変形が小さく、逆に、せん断弾性係数が小さい材料ほど、せん断力による変形は大きくなります。
横弾性係数、ヤング係数の詳細は下記が参考になります。
せん断弾性係数の一覧を下記に示します。
・コンクリートのせん断弾性係数 ⇒ G≒ E/2.4
・鋼のせん断弾性係数 ⇒ G=E/2.60≒79000N/mm2
・ステンレスのせん断弾性係数 ⇒ G=E/2.60≒74300N/mm2
コンクリートのせん断弾性係数を計算しましょう。コンクリートのポアソン比は鉄筋コンクリート構造計算規準より平均的な値としてν=0.2です。コンクリートのヤング率をEとすれば
です。なお、コンクリートのヤング係数は、コンクリートの設計基準強度Fc、コンクリートの気乾単位体積重量γと影響します。各材料の横弾性係数の一覧は下記をご覧ください。
横弾性係数の一覧は?3分でわかる値、単位、縦弾性係数との違い
せん断弾性係数の単位はN/mm2またはGPa、MPaを用います。建築では力の単位にN(またはkN)、長さの単位にmmを用いるので、せん断弾性係数の単位として「N/mm2」を用いることが多いです。
せん断弾性係数Gの公式を導出します。下図をみてください。せん断力τ、変形ΔLが生じています。
まずせん断力とせん断弾性係数には下記の関係があります。
τ=Gγ
γ=ΔL/h
また上図のように変形する物体は、見方を変えると(主軸を変える。下図参照)引張と圧縮力が作用しています。
このように応力は、主軸を変えることで値が変化するベクトルの要素を持っています。上図のようにせん断力τが作用する部材も、主軸を45度回転させれば垂直応力度が作用すると考えてよいです。
では、どうやって主軸を回転させた応力が計算できるのか。これは「主応力」を計算する式を用います。下式は主応力の算定式です。
σθ=(σx+σy)2+(σx-σy)2×cos2θ+τsin2θ
θは任意の角度、σθは任意の角度を主軸として作用する垂直応力度、σxはX方向の応力度、σyはY方向の応力度、τはせん断応力度です。
今回、せん断応力度しか作用していないので
σx=0
σy=0
τ=τ
です。さらに、θ=45度=π/4なので、これらを代入すると、
σθ=τsin2θ=τsinπ/2=τ
です。さて、主軸を変えた場合の垂直応力度τが作用するとき、歪εは下式です。
ε=(ΔL/√2)/√2L
=ΔL/2L
=γ/2
また、σ=Eεの関係から歪εを計算します。
ε=σ/E
=(σ/E-σν/E)
=(τ/E+τν/E)
=τ/E×(1+ν)
なぜ、ε=(σ/E-σν/E)とするのか。σ/Eは主軸方向の歪ですが、主軸直交方向の歪も主軸方向の歪に関係するからです。両方向から応力が作用するとき、縦と横、両方向の歪を考慮するからです。詳しくはポアソン比の記事で書いています。下記を参考にしてください。
以上より、下記の2式を関係づけます。
ε=τ/E×(1+ν)
ε=γ/2=τ/2G
τ/2G=τ/E×(1+ν)
G=E/2(1+ν)
以上より、せん断弾性係数の公式を導出できました。
今回は、せん断弾性係数について説明しました。せん断弾性係数とは、せん断力に対する材料のかたさ(材料の変形のしにくさ)です。せん断弾性係数はヤング係数に比例するため、ヤング係数の大きな材料はせん断弾性係数も大きくなります。なお、せん断弾性係数は横弾性係数ともいいます。ヤング係数、横弾性係数の詳細など下記も勉強しましょう。
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