この記事の要点
横弾性係数(G)とは、せん断力に対する材料の変形しにくさを表す値です。せん断弾性係数とも呼ばれます。
横弾性係数は、縦弾性係数E(ヤング係数)とポアソン比νから、G=E/{2(1+ν)}で求めます。
鋼材では、E=205,000N/mm2、ν=0.3として計算すると、G≒79,000N/mm2になります。
縦弾性係数が引張・圧縮に対するかたさを表すのに対して、横弾性係数はせん断変形に対するかたさを表します。
この記事では、横弾性係数の意味、G=E/{2(1+ν)}による求め方、単位、縦弾性係数との違いを整理します。
横弾性係数は、せん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値です。
横弾性係数が大きいほど、せん断力に対して「かたい(変形しにくい)」といえます。
横弾性係数Gは、縦弾性係数E(ヤング係数)とポアソン比νを使って、次の式で求めます。
つまり、縦弾性係数Eとポアソン比νが分かれば、横弾性係数Gを計算できます。
なお、縦弾性係数は圧縮力、引張力に対するかたさを表す材料固有の値です。
今回は、横弾性係数の意味、求め方、計算式、単位、縦弾性係数との違い、鋼材など代表的な材料の値について説明します。
せん断弾性係数、ヤング係数の詳細は下記が参考になります。
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横弾性係数はせん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値です。ちなみに、横弾性係数は「せん断弾性係数」ともいいます。下図をみてください。
せん断力τが作用するとき、横弾性係数が大きいほど変形量ΔLは小さくなり、横弾性係数が小さいと変形量ΔLは大きくなります。
つまり
・横弾性係数が大きい ⇒ せん断力に対して、かたい材料
・横弾性係数が小さい ⇒ せん断力に対して、柔らかい材料
です。横弾性係数は材料固有の値なので、鉄筋コンクリート、鋼、木、ステンレス等に応じて値が変わります。
横弾性係数Gは、縦弾性係数Eとポアソン比νを使って、次の式で求めます。
G=E/{2(1+ν)}
Gは横弾性係数、Eは縦弾性係数、νはポアソン比です。この式を見ると、縦弾性係数Eが大きい材料ほど、横弾性係数Gも大きくなりやすいことが分かります。
一方で、ポアソン比νは分母に入っているため、ポアソン比が大きいほど横弾性係数Gは小さくなります。
上式より、横弾性係数は縦弾性係数に比例する、
すなわち、縦弾性係数が大きいほど横弾性係数も大きいことがわかります。また、GはEと比例関係にありますが、
前述したGの式より概ねEの値の半分以下になります。
さて、下図をみてください。せん断力を受ける箱状の部材があります。このとき、せん断力τが変形量はΔLです。
このとき、せん断力τと、横弾性係数G、せん断歪γによる関係式(フックの法則)も成り立ちます。
・τ=Gγ
上式は普通のフックの法則と同じ考えですが、せん断歪γは伸び縮みの量ではなく、角度で表します。
上図の例でいうと、
γ=ΔL/h
です。せん断ひずみの求め方、せんだん力のフックの法則も併せて理解しておきましょうね。
たとえば、鋼材の縦弾性係数Eを205,000N/mm2、ポアソン比νを0.3とすると、横弾性係数Gは次のように計算できます。
G=205,000/{2(1+0.3)}
G=205,000/2.6
G≒78,846N/mm2≒79,000N/mm2
このように、鋼材の横弾性係数は、建築構造ではおおむね79,000N/mm2として扱われます。
なお、横弾性係数は材料固有の値なので、材質が同じであれば部材の断面形状が異なっても横弾性係数は同じ値です。
横弾性係数の単位は「N/mm2」または「GPa」を用います。縦弾性係数と同じ単位です。
1N/mm2は1MPaと同じなので、材料表ではMPaやGPaで表されることもあります。
ヤング係数の単位の詳細は下記をご覧ください。
ヤング率の単位は?1分でわかる単位、意味、読み方、MPa、kgf/mm2との関係
横弾性係数と似た用語に「縦弾性係数」があります。横弾性係数と縦弾性係数の違いは下記の通りです。
・横弾性係数 ⇒ せん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値
・縦弾性係数 ⇒ 圧縮力、引張力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値
なお曲げモーメントは、引張と圧縮の組み合わせによる応力なので、縦弾性係数が対応する抵抗値です。
また、横弾性係数の記号は「G」、縦弾性係数は一般的に「E」とします。縦弾性係数は、単に「弾性係数」または「ヤング係数、ヤング率」ともいいます。
ヤング係数の詳細は下記が参考になります。
ヤング係数(弾性係数)とは?求め方と公式、単位、材料ごとの値【図解】
代表的な材料の縦弾性係数E、横弾性係数G、ポアソン比νを整理すると下表のようになります。
| 材料 | 縦弾性係数E | 横弾性係数G | ポアソン比ν |
|---|---|---|---|
| 鋼材 | 205,000N/mm2 | 約79,000N/mm2 | 0.3 |
| ステンレス | 約200,000N/mm2 | 約77,000N/mm2 | 0.3 |
| アルミニウム合金 | 約68,600N/mm2 | 約26,500N/mm2 | 0.3前後 |
| 普通コンクリート | 設計基準強度等により変わる | 概ねE/2.4程度 | 0.2程度 |
より詳しい材料別の横弾性係数は、下記に一覧で整理しています。
横弾性係数(せん断弾性係数)の一覧:材料別の値と縦弾性係数との関係
下図をみてください。せん断力τ、変形ΔLが生じています。
まずせん断力と横弾性係数には下記の関係があります。
τ=Gγ
γ=ΔL/h
また上図のように変形する物体は、見方を変えると(主軸を変える。下図参照)引張と圧縮力が作用しています。
このように応力は、主軸を変えることで値が変化するベクトルの要素を持っています。
上図のようにせん断力τが作用する部材も、主軸を45度回転させれば垂直応力度が作用すると考えてよいです。
では、どうやって主軸を回転させた応力が計算できるのか。これは「主応力」を計算する式を用います。下式は主応力の算定式です。
σθ=(σx+σy)2+(σx-σy)2×cos2θ+τsin2θ
θは任意の角度、σθは任意の角度を主軸として作用する垂直応力度、σxはX方向の応力度、σyはY方向の応力度、τはせん断応力度です。
今回、せん断応力度しか作用していないので
σx=0
σy=0
τ=τ
です。さらに、θ=45度=π/4なので、これらを代入すると、
σθ=τsin2θ=τsinπ/2=τ
です。さて、主軸を変えた場合の垂直応力度τが作用するとき、歪εは下式です。
ε=(ΔL/√2)/√2L
=ΔL/2L
=γ/2
また、σ=Eεの関係から歪εを計算します。
ε=σ/E
=(σ/E-σν/E)
=(τ/E+τν/E)
=τ/E×(1+ν)
なぜ、ε=(σ/E-σν/E)とするのか。σ/Eは主軸方向の歪ですが、主軸直交方向の歪も主軸方向の歪に関係するからです。
両方向から応力が作用するとき、縦と横、両方向の歪を考慮するからです。詳しくはポアソン比の記事で書いています。
ポアソン比 意味 縦弾性係数 ヤング率 材料特性 鋼 コンクリート
以上より、下記の2式を関係づけます。
ε=τ/E×(1+ν)
ε=γ/2=τ/2G
τ/2G=τ/E×(1+ν)
G=E/2(1+ν)
混同しやすい用語
横弾性係数(G)
せん断力に対するかたさを表す材料固有の値で、「G=E/2(1+ν)」で算定され、概ね縦弾性係数Eの1/2.6程度の値になる。
縦弾性係数(ヤング率)が引張・圧縮力への抵抗を表すのに対して、横弾性係数はせん断変形(平行にずれる変形)への抵抗を表す。
せん断歪(γ)
せん断力が作用したときの角度変形量で、「γ=ΔL/h」で表され、横弾性係数との関係は「τ=Gγ」(フックの法則のせん断版)となる。
通常の軸ひずみε(伸び量÷長さ)が伸縮変形を表すのに対して、せん断歪γは変形角度(ずれ角)を表す点が異なる。
今回は横弾性係数について説明しました。横弾性係数とは、せん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値です。
横弾性係数Gは、縦弾性係数Eとポアソン比νから、G=E/{2(1+ν)}で求めます。鋼材では、G≒79,000N/mm2が代表的な値です。
縦弾性係数は引張力・圧縮力に対するかたさ、横弾性係数はせん断力に対するかたさを表します。縦弾性係数はヤング係数、横弾性係数はせん断弾性係数ともいいます。
ヤング係数(弾性係数)とは?求め方と公式、単位、材料ごとの値【図解】
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