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横弾性係数はせん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値です。
横弾性係数が大きいほど、せん断力に対して「かたい(変形しにくい)」といえます。横弾性係数Gを求める式は
で、Eは縦弾性係数(ヤング係数)、νは材料のポアソン比です。横弾性係数が大きいほど、せん断力τに対してΔLが小さくなります。
なお、縦弾性係数は圧縮力、引張力に対するかたさを表す材料固有の値です。
今回は、横弾性係数の意味、縦弾性係数との違い、単位、ステンレス、鋼の値、求め方、ポアソン比との関係、導出方法について説明します。
せん断弾性係数、ヤング係数の詳細は下記が参考になります。
せん断弾性係数とは?ヤング率との関係、一覧とコンクリートのせん断弾性係数の計算、単位、導出方法は?
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横弾性係数はせん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値です。下図をみてください。
せん断力τが作用するとき、横弾性係数が大きいほど変形量ΔLは小さくなり、横弾性係数が小さいと変形量ΔLは大きくなります。
つまり
・横弾性係数が大きい ⇒ せん断力に対して、かたい材料
・横弾性係数が小さい ⇒ せん断力に対して、柔らかい材料
です。横弾性係数は材料固有の値なので、鉄筋コンクリート、鋼、木、ステンレス等に応じて値が変わります。
一方、材質が同じであれば部材の断面形状が異なっても横弾性係数は同じ値です。
なお、横弾性係数は「せん断弾性係数」ともいいます。
横弾性係数と似た用語に「縦弾性係数」があります。横弾性係数と縦弾性係数の違いは下記の通りです。
・横弾性係数 ⇒ せん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値
・縦弾性係数 ⇒ 圧縮力、引張力に対する(変形のしにくさ)を表す材料固有の値
なお曲げモーメントは、引張と圧縮の組み合わせによる応力なので、縦弾性係数が対応する抵抗値です。
また、横弾性係数の記号は「G」、縦弾性係数は一般的に「E」とします。なお、縦弾性係数は単に「弾性係数」または「ヤング係数、ヤング率」ともいいます。
ヤング係数の詳細は下記が参考になります。
さて、横弾性係数を求める式は
・G=E×1/2(1+ν)
です。Gは横弾性係数、Eは縦弾性係数、νはポアソン比です。上式より、横弾性係数は縦弾性係数に比例する、
すなわち、縦弾性係数が大きいほど横弾性係数も大きいことがわかります。また、GはEと比例関係にありますが、
前述したGの式より概ねEの値の半分以下になります。
下図をみてください。せん断力を受ける箱状の部材があります。このとき、せん断力τが変形量はΔLです。
まず、せん断力τと、横弾性係数G、せん断歪γによる関係式(フックの法則)を示すと下記になります。
・τ=Gγ
上式は普通のフックの法則と同じ考えですが、せん断歪γは伸び縮みの量ではなく、角度で表します。
上図の例でいうと、
γ=ΔL/h
です。
横弾性係数の単位は「N/mm2」または「GPa」を用います。つまり、縦弾性係数と同じ単位です。ヤング係数の単位の詳細は下記をご覧ください。
ヤング率の単位は?1分でわかる単位、意味、読み方、MPa、kgf/mm2との関係
前述したように、横弾性係数はポアソン比と関係します。下式をみてください。
G=E/2(1+ν)
ポアソン比が大きいほど、横弾性係数は小さくなります。ポアソン比が大きいと、主軸直交方向の変形が大きいからです。
コンクリートと鋼の横弾性係数は下記となります。
・ステンレスの横弾性係数 ⇒ G=E/2.60≒74300N/mm2
・鋼の横弾性係数 ⇒ G=E/2.60≒79000N/mm2
・コンクリートの横弾性係数 ⇒ G= E/2.33
横弾性係数の求め方を示しましょう。鋼の弾性係数は2.05×105N/mm2、ポアソン比は0.3とすれば鋼の弾性係数は
G=(2.05×10^5)/2(1+0.3) =(2.05×10^5)/2.6=78846≒79000N\/mm^2
です。各材料の横弾性係数の一覧は下記をご覧ください。
横弾性係数の一覧は?3分でわかる値、単位、縦弾性係数との違い
横弾性係数とポアソン比の関係を下記に示します。下式の通り、ポアソン比νは分母にあるので、
ポアソン比が大きいほど横弾性係数は小さくなり、ポアソン比が大きいほど横弾性係数は大きくなります。
・G=E×1/2(1+ν)
下図をみてください。せん断力τ、変形ΔLが生じています。
まずせん断力と横弾性係数には下記の関係があります。
τ=Gγ
γ=ΔL/h
また上図のように変形する物体は、見方を変えると(主軸を変える。下図参照)引張と圧縮力が作用しています。
このように応力は、主軸を変えることで値が変化するベクトルの要素を持っています。
上図のようにせん断力τが作用する部材も、主軸を45度回転させれば垂直応力度が作用すると考えてよいです。
では、どうやって主軸を回転させた応力が計算できるのか。これは「主応力」を計算する式を用います。下式は主応力の算定式です。
σθ=(σx+σy)2+(σx-σy)2×cos2θ+τsin2θ
θは任意の角度、σθは任意の角度を主軸として作用する垂直応力度、σxはX方向の応力度、σyはY方向の応力度、τはせん断応力度です。
今回、せん断応力度しか作用していないので
σx=0
σy=0
τ=τ
です。さらに、θ=45度=π/4なので、これらを代入すると、
σθ=τsin2θ=τsinπ/2=τ
です。さて、主軸を変えた場合の垂直応力度τが作用するとき、歪εは下式です。
ε=(ΔL/√2)/√2L
=ΔL/2L
=γ/2
また、σ=Eεの関係から歪εを計算します。
ε=σ/E
=(σ/E-σν/E)
=(τ/E+τν/E)
=τ/E×(1+ν)
なぜ、ε=(σ/E-σν/E)とするのか。σ/Eは主軸方向の歪ですが、主軸直交方向の歪も主軸方向の歪に関係するからです。
両方向から応力が作用するとき、縦と横、両方向の歪を考慮するからです。詳しくはポアソン比の記事で書いています。
以上より、下記の2式を関係づけます。
ε=τ/E×(1+ν)
ε=γ/2=τ/2G
τ/2G=τ/E×(1+ν)
G=E/2(1+ν)
今回は横弾性係数について説明しました。横弾性係数とは、せん断力に対するかたさ(変形のしにくさ)を表す材料固有の値です。
横弾性係数が大きいほど、せん断力に対してかたい、横弾性係数が小さいほど、せん断力に対して柔らかいと言えます。
なお、縦弾性係数は圧縮力、引張力に対するかたさを表す材料固有の値です。縦弾性係数はヤング係数、横弾性係数はせん断弾性係数と言います。
せん断弾性係数とは?ヤング率との関係、一覧とコンクリートのせん断弾性係数の計算、単位、導出方法は?
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