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幅厚比は、局部座屈に対する抵抗性を表す値です。幅厚比は、鉄骨部材の幅と板厚の比率で計算できます。幅厚比の大きさによって部材の変形性能が決まるため、大切な値です。今回は、そんな幅厚比の意味、読み方、計算方法、告示による制限や、ルート2との関係について説明します。
幅厚比と似た用語に、径厚比があります。径厚比、座屈の意味は下記が参考になります。
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幅厚比は、局部座屈に対する抵抗性を表す値です。幅厚比が小さいほど、局部座屈に強いことを意味します。逆に値が大きいと、局部座屈に弱いです。局部座屈は下記が参考になります。
幅厚比は下式により計算します。
bは幅、tは板厚です。この2つの値がパラメータとなるわけです。
なお、幅厚比に関わらず、AB比という言葉は、
という関係があります。
鉄骨は強く固い材料です。そのため下図のような中空材料(中が空洞)が多く用いられます。部材自重をより軽くするためです。
鉄骨は強く固いので、中まで詰まった部材を使わなくても大丈夫です。これらを「板要素で構成された部材」といいます。
但し、板要素は板厚が薄ければ薄いほど座屈しやすくなります。例えば紙をイメージしてください。その紙を筒状に丸めてみましょう。
次に、その筒を上から手で押します。筒の外側がぐしゃっと凹んだり、膨らんで潰れませんでしたか?これが板の座屈です。局部座屈と言います。
板は板厚が大きくなるほど、潰れにくいです。逆に板が薄く、あるいは幅に対して板厚が薄いほど潰れやすくなります。これを数値化したものが幅厚比なのです。
幅厚比=幅/厚でしたね。幅厚比は大きいほど座屈がしやすく、小さいほど座屈がしにくいのです。下図をみれば直感的に分かると思います。
幅厚比は、「はばあつひ」と読みます。前述した計算式b/tより、実務では「ビーバイティー」とローマ字読みすることもあります。
鉄骨造の構造計算ルート2では、「幅厚比をFAランクにしなさい」という告示があります。計算ルートは、下記が参考になります。
FAランクを部材ランクといいます。FA~FDまでランクがあり、FAに近づくほど「局部座屈が起きにくい」と考えて下さい。※部材ランクは下記が参考になります。
部材種別とは?1分でわかるFA、FB、FC、FDの違い、トラス梁の部材種別
では、具体的にFAランクとなる幅厚比の値はいくらかでしょうか。下記が、告示による幅厚比の制限値です。柱、梁によって値は変わります。
H形鋼―フランジ b/t=9.5√235/F
H形鋼―ウェブ b/t=43√235/F
角形鋼管 b/t=33√235/F
円形鋼管 b/t=50√235/F
H形鋼―フランジ b/t=9√235/F
H形鋼―ウェブ b/t=60√235/F
上式をみてわかるように、F値により制限値は変わります。400級鋼を用いれば、
です。よって、角形鋼管のb/t=33となります。490級鋼はF値=325です。角形鋼管のb/t=33×0.85=28のため、板厚を厚くしないとFAランクになりません。
簡単に幅厚比の計算方法を説明します。冒頭で説明した通り、下式より幅厚比は求めることができます。
例えば、角型鋼管で下記部材の幅厚比を求めます。
・□-300x300x12
・□-250x250x9
・□-200x200x6
幅を厚で割ればよいので、それぞれ下記の値となります。
・□-300x300x12 幅厚比=300/12=25.0
・□-250x250x9 幅厚比=250/9=27.8
・□-200x200x6 幅厚比=200/6=33.3
上記より、仮に柱の大きさが小さくても板厚が大きければ座屈に強い(すなわち幅厚比が小さい)ことがわかります。
これらの値と前述した告示の制限値を比較し部材ランクが決定します。ただ実務では、鋼材表にFA~FDまでのランクが示してあるので、その対応を確認して部材を選定します。
部材ランクと幅厚比の関係は、ルート2やルート3の計算でも大切です。今回は概要のみ説明したので、下記から詳細を理解しましょう。
幅厚比は構造設計に欠かせない情報です。しかし、今回説明した小難しい言葉や数字を知らなくても、分かることがあります。
それは「薄くてペラペラの材料は弱い」ということ。とても当たり前のことですよね。幅厚比という難しそうな言葉の本質も、結局はそこにあります。
また幅厚比=幅/厚と理解していれば、幅厚比の値が大きい、小さいの違いが、部材の強さにどう影響するか一瞬で分かるはずです。径厚比の意味も併せて勉強しましょうね。
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