建築学生が学ぶ構造力学

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せん断力によるひずみエネルギーの公式と導出手順

この記事の要点

せん断力によるひずみエネルギーは、部材内のせん断応力がなす変形エネルギーの総量だ。公式はU = ∫Q²/(2GA)dx(Q:せん断力、G:せん断弾性係数、A:断面積)で、梁全体をスパン方向に積分して求める。

通常の梁設計では曲げのひずみエネルギーが支配的で、せん断エネルギーは無視できることが多い。ただしスパンが短く断面が大きい(深い)梁では無視できなくなる。仮想仕事法による変位計算の精度を上げる際に、せん断項を加える場面で使う。

通常の梁では曲げによるひずみエネルギーの方がはるかに大きく、せん断の寄与は小さい。ただし短くて太い部材ではせん断が無視できない。

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応力には軸力、曲げモーメント、せん断力の3つがあります。当然、3つの応力に対応したひずみエネルギーがあります。


今回はせん断力によるひずみエネルギーの求め方、公式の誘導について解説します。なお、本記事を読む前に下記を読むことをおすすめいたします。

外力の仕事について

ひずみエネルギーとは?公式(U=σ²/2E)の求め方とせん断との関係


また、曲げモーメントによるひずみエネルギーの公式、誘導など下記が参考になります。

曲げモーメントによるひずみエネルギーとは?公式U=M²/2EIの誘導と仮想仕事の原理への応用

せん断力によるひずみエネルギーの求め方は?公式の誘導

片持ち梁に外力Qを加えます。梁には曲げモーメントとせん断力が生じます。曲げモーメントによるひずみエネルギーは、下記が参考になります。

曲げモーメントによるひずみエネルギーとは?公式U=M²/2EIの誘導と仮想仕事の原理への応用


外力により部材はずれるような変形(例えば、長方形が平行四辺形になるような変形)をおこしますが、


弾性範囲内であれば、力を取り除くと変形も元の状態に戻ります。これは部材に生じるせん断力が、ズレるような変形を元に戻すからです。


これがせん断力によるひずみエネルギーです。


では、下図を見てください。



物体にせん断力を作用させたときのつり合い状態を考えましょう。また、考えやすいように微小要素を抜き出します。



さらに、せん断力は部材断面に生じていますから、任意断面に関する微小面積を考えます。


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微小要素でせん断力τによって、変位γdxだけ生じていますから、微小面積dAの仕事は、以下のように



ですね。以上の式は微小要素の微小面積なので、断面全体に適用させます。すると、



となります。「梁のせん断応力度」でせん断応力度の式を求めました。また、せん断応力度とせん断弾性係数の関係式を、それぞれ代入します。



ですね。※せん断応力度の求め方、せん断弾性係数の詳細は下記が参考になります。

梁のせん断応力度の計算方法|断面形状別の分布と許容値

横弾性係数の基礎知識と、縦弾性係数との関係


また、


としています。kは断面形状で決まる係数です。難しそうな式ではありますが、


長方形、円形、三角形など基本的な形状を使う場合は、あえて計算する必要はありません。気楽に構えてください。


さらに、部材全体の仕事は積分によって求めることができるので、



となります。軸力や曲げモーメントによるひずみエネルギーと比べてやや複雑な式ですが、係数が多いだけで計算の流れは変わりません。

混同しやすい用語

せん断によるひずみエネルギー(U_Q)

U=∫κQ2/(2GA)dx。

κは断面形状係数(矩形断面では1.2)。

せん断剛性GAが大きいほどUは小さい(変形しにくい)。

曲げによるひずみエネルギー(U_M)

U=∫M2/(2EI)dx。

通常の細長い梁ではU_M≫U_Qとなり、せん断ひずみエネルギーは省略されることが多い。

せん断剛性(GA)

せん断変形に対する抵抗。

Gはせん断弾性係数(剛性率)、Aは断面積。

曲げ剛性EIとは別物。

曲げ剛性(EI)

曲げ変形に対する抵抗。

Eはヤング係数、Iは断面二次モーメント。

せん断剛性GAよりも構造設計での活用頻度が高い。

3種類の応力とひずみエネルギー公式の比較
応力の種類ひずみエネルギー公式使用剛性
軸力 NU_N = N2L / (2EA)EA(軸剛性)
曲げモーメント MU_M = ∫M2/(2EI) dxEI(曲げ剛性)
せん断力 QU_Q = ∫κQ2/(2GA) dxGA(せん断剛性)

まとめ

今回はせん断力によるひずみエネルギーについて説明しました。部材には軸力、曲げモーメント、せん断力が生じます。


まずは外力の仕事、次に軸力によるひずみエネルギーの計算方法を勉強しましょう。下記が参考になります。

外力の仕事について

ひずみエネルギーとは?公式(U=σ²/2E)の求め方とせん断との関係

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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