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仮想仕事の原理とは|不静定梁・不静定トラスへの適用方法を解説

この記事の要点

不静定梁の解法を覚えるとき、固定端条件を「仮想仕事で消す」感覚がつかめると計算がすんなり通る。たわみ角法や撓み法と並んで、仮想仕事の原理は実務でも教育現場でも出てくる基本手法だ。

この記事では仮想仕事の原理の意味・仮想変位の与え方・不静定トラスや不静定梁への適用手順を解説する。

不静定構造の変位計算や余剰反力の決定に活用できる。カスチリアーノの定理と双対の関係にある重要原理。

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仮想仕事の原理は、不静定構造物を解析するときに使う理論の1つです。不静定構造物に関しては下記が参考になります。

静定構造物と不静定構造物の違いと特徴


今回は仮想仕事の原理を、理論から勉強しましょう。また、他にも不静定構造物の解法として下記があります。併せて参考にしてください。

たわみ角法[1/3]

固定モーメント法-その1-

マトリクス変位法(トラス):剛性マトリクスの組み立てと解法

仮想仕事の原理と、理論

任意の弾性体に平面力が作用し、外力と内力は釣り合っている状態を考えます。



この弾性体に、ある変位が発生しました。この変位は外力によるものではなく、それ以外の事柄で発生したとします。


神様が物体に変形を与えたと考えても良いでしょう。このような変位を仮想変位と呼びます。


外力による変位では無いので、弾性体は変位が発生した状態で釣り合っています。このとき、外力と仮想変位との仕事、内力と仮想変位による仕事が発生しますね。


これらを仮想仕事と呼び、釣り合い状態にあるので、お互いの仕事量は等しくなります。


以上が、「仮想仕事の原理」です。仮想仕事の原理は不静定の問題を解く場合や、物体に作用する変位を求める際に利用されます。

つまり、「神様が変位を発生させた」という手順を、そのまま「神様が外力を発生させた」とすれば、各種の変位を求めることができます。

文章だけでは、わかりづらいので例題を通して使い方を勉強しましょう。

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トラス構造物

まず、仮想仕事の原理とは、外部仮想仕事と内部仮想仕事は等しいというものでした。例えば、トラス構造物を想定し、仮想外力を作用させます。その時の外部仮想仕事は、



です。外力Pに上添え字のバ―が付いていますね。これが「仮想」を意味しています。次に内部仕事は、部材力×部材の変形なので、


となります。Nバーは、仮想外力が作用したときに、トラス部材に発生する部材力を表しています。


Δlは仮想仕事を作用させる前の「外力に対する部材の変位」です。内部の仕事量は部材それぞれの総和なので、Σとしています。以上より、仮想仕事の原理を用いると


となります。あとは、適当な仮想外力を与えれば変位が求めることができます。一般的に仮想外力は1として、



とするほうが、計算が簡単ですね。

梁部材

梁部材に関しても考え方は全く同じです。まず、外部仮想仕事は、



です。次に、内部仮想仕事を考えます。本来なら、曲げモーメント、せん断力、軸力の影響を考える必要があるのですが、


梁では曲げが卓越することが多いのと問題を簡単にするために、せん断力、軸力を無視します。

梁に仮想外力が作用すると、その断面には



という仮想応力が作用しています。実際に発生しているひずみは、



です。内部に発生している仕事量は、応力×ひずみなので、



となります。この仕事量を断面全体と梁の長さ分だけ積分すると全体の仕事量となるので、



です。


なので内部仮想仕事は、



です。仮想仕事の原理より、

となります。また、たわみ角を求めようと思えば、仮想外力を仮想モーメントとして、


その時に発生するたわみ角で、仮想仕事の原理を適用させます。式は上記のものを使えば良いです。


仮想仕事の原理を用いて、不静定連続梁の不静定力を求めることが可能です。下記が参考になります。

不静定連続梁の解法|仮想仕事の原理を使った計算手順をわかりやすく解説

混同しやすい用語

仮想仕事の原理(仮想変位法)

仮想変位δuを仮定し、「外力×δu=内力(応力)×δひずみ」という等式を使う方法。

釣り合い条件を変形で表現したもの。

仮想力法(単位荷重法)

変位を求めたい点に仮想単位荷重を加え、その仮想力による応力と実際の変形を積算して実変位を求める方法。

仮想仕事の原理の応用。

実際の仕事(実仕事)

実際の力と実際の変位の積。

W=(1/2)Pδ(荷重が0から漸増する場合)。

外力の仕事はひずみエネルギーに等しい。

仮想仕事(δW)

仮想力または仮想変位を使った仕事。

仮想量は「ゼロ」ではないが微小と考える。

仮想仕事の原理では実際の変形と仮想力、または実際の力と仮想変形を組み合わせる。

試験での問われ方|管理人の一言

仮想仕事の原理は一見難しく見えるが、本質は「仮想力×実変位=内力×ひずみ の積分」。

まず単純梁のたわみを仮想力法で求める練習から始めよう。

カスチリアーノの定理と同じ答えが出ることを確認すると理解が深まる。

仮想仕事の原理と関連定理の比較
定理・原理内容用途
仮想仕事の原理仮想力×実変位 = 内力×ひずみの積分不静定構造の変形・反力計算
カスチリアーノの定理δ = ∂U/∂P(ひずみエネルギーの偏微分)任意点の変形計算
単位荷重法(仮想力法)単位荷重による仮想系と実系の仕事積分梁・トラスのたわみ・変位

まとめ

今回は仮想仕事の原理について説明しました。難解な原理で、理解に時間がかかると思います。


コツは数式を丁寧に追いかけることです。とにかく公式を導出する過程を大事に勉強しましょう。


仮想仕事の原理を勉強したあとは、マトリクス変位法について勉強しましょう。

マトリクス変位法(トラス):剛性マトリクスの組み立てと解法

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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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