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固定モーメント法-その2-

この記事の要点

固定モーメント法その2では、固定端モーメントの不均衡分を剛度比に応じて各部材に分配し(モーメント分配)、伝達モーメントを加えて最終的な材端モーメントを求める

分配と伝達を繰り返すことで不均衡が収束する。実務でも使われる手順なので、ステップごとの計算を確実に理解することが大切。

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今回は、固定モーメント法を実際の計算を通して行う実践編として学びましょう。固定モーメント法の考え方については、下記を参考にしてください。

固定モーメント法-その1-

固定モーメント法の計算方法

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①剛性の分割率

作用する曲げモーメントは部材の剛性によって分配されます。


この、剛性によってどの程度分配されるのか?ということを表したものを『分割率』と呼びます。


分割率は節点ごとに求め、次のように算定します。


※曲げモーメント、剛性については、下記が参考になります。

曲げ応力とは?1分でわかる意味、公式と演習問題、単位、曲げ応力度との違い

剛性とは?変形しにくさの意味・強度との違い・計算式・単位を解説


②、③の計算過程は、水平力が作用したときに用いるものですが、一般的に準備計算として算定します。とりあえず、ここでは省略します。

④C,M,Qの算定

次に、部材のC,M,Qを算定しましょう。C,M,Qとは、学生の皆さんには聞きなれないかもしれませんが、


それぞれ、両端固定時の固定モーメント、両端ピン時の中央曲げモーメント、支点に伝えるせん断です。


実際に固定法を進める場合Cのみ求めれば良いのですが、C,M,Qの算定は構造設計の基本中の基本ですのでクセにしておきましょう。

固定端モーメントとは?1分でわかる意味、片持ち梁とC、両端固定梁

せん断応力とは?公式・計算法・せん断応力度との違いを解説

⑤固定モーメントの解放→分配→到達

固定法のキモとなる計算過程です。基本的に、この計算を誤差が小さくなるまで繰り返すことになります。


まずは、前述の『計算のイメージ』をよく読んでください。


まず始めに断っておくことがあります。固定法はあくまでも鉛直荷重に対する応力解析の手法です。


また実際の設計では多層多スパンの構造物を相手にするため、コンピューターを駆使したマトリクス変位法が主流となっていますが、


固定法を経験すると力の流れを経験的に把握することに大変役立ちます(というのも、実務では様々な方との打合せがあります。


そのときに、アドリブで対応できるかどうかが重要です。相手の要望に対して、『解析するから待ってください』とは言えませんよね)。


先人達も、通ってきた道ですので私達もプログラムを作れるから、そんな時代じゃないからといわずに、手計算で解く事を覚えてみましょう。※鉛直荷重については、下記が参考になります。

鉛直荷重(垂直荷重)とは?意味・種類・求め方・鉛直力との違い

例題

さて、準備計算で求めたCがそれぞれの部材の両端に作用すると仮定します。

C= wl2/8=(10*62)/8 = 45kN・m

M= wl2/12=(10*62)/12 = 30kN・m

Q= wl/2=(10*6)/2 = 30kN


梁のみに作用するとした固定端モーメントは仮定ですので、実際には柱にもモーメントは作用します。これは、下図のように分割率によってモーメントを分配します。


固定法で応力解析する場合は、下のような計算表を用います。それぞれの記号は

DF:分割率

FEM:固定端モーメント

D1:分割モーメント

C1:到達モーメント

D2:2回目の分割モーメント

を表しています。


例えば、赤線で囲った部分を抜粋してみてみましょう。まず、求めた固定端モーメントCおよび、剛性の分割率を書き込みます。ここでは曲げモーメントの正負の符号に気をつけましょう。



次に、固定端モーメントを部材の持つ分割率によって『解除』します。梁に反時計回りに作用していた曲げモーメントを解除する必要があるので、時計回りの曲げモーメントを考えます。


また、赤線で囲った部材の曲げモーメントは0となっています。これは、2つの梁と1つの柱がつく節点では、節点に作用する合計の曲げモーメントが45-45=0となるからです。


次に、到達モーメントについて考えます。到達モーメントとは、分割モーメントの半分の値とします。


これは、分割された曲げモーメントは、どちから一方の端部に作用させていますが実際には反対の端部(左なら右、右なら左)にも曲げモーメントを作用させます。


最後に、到達したモーメントを『解除』して部材の分割率によって分割させます。


さらに、固定端モーメントFEMからD2までの値を足し合わせ実際に作用する曲げモーメントを算定します。


今回は、例題としてラーメン構造の2層目左側を取り出しましたが、本来なら1層目の応力も考慮して(1層柱の到達モーメント)計算しなければ意味がありません。


また、節点に作用する曲げモーメントを考慮して『解除』→『到達』→『解除』を繰り返すので、ミスが無いように注意しましょう。


合計の応力を求めたら演算の妥当性を確認するために、柱と梁に作用する曲げモーメントを合計して0になるかどうか(釣り合うか)確かめましょう。

混同しやすい用語

分配モーメント

節点の不均衡モーメントを、各部材の剛度比(分配率)に応じて分配したモーメント。

分配率=k/Σk×不均衡モーメント。

伝達モーメント(キャリーオーバーモーメント)

分配モーメントの1/2が他端の固定端へ伝達されるモーメント。

伝達率は固定端の場合1/2、ピン端の場合0。

不均衡モーメント

節点に集まる各部材の固定端モーメントの合計が釣り合っていないときの差分。

この不均衡分を分配・伝達によって解消していく。

収束(繰り返し計算)

分配・伝達を繰り返すと不均衡モーメントが徐々に小さくなり、最終的に収束する。

実務では2~3サイクルで十分なことが多い。

試験での問われ方|管理人の一言

固定モーメント法その2のポイントは「不均衡モーメント→分配→伝達」の繰り返し手順を表形式で整理すること。

試験では繰り返し回数が少ない単純な問題が出る。

分配率と伝達率(1/2)を正確に使えるよう練習しよう。

固定モーメント法の計算手順
手順作業内容ポイント
各部材の固定端モーメントを求める荷重条件に応じた公式を使用
節点の不均衡モーメントを求める節点に集まる全端モーメントの合計
分配率で各部材に分配分配率 = 剛度 / 全剛度の和
隣接節点へ伝達(伝達率1/2)反対端固定の場合は1/2を伝達

まとめ

今回は固定モーメント法について勉強しました。実際の計算を通して、固定モーメント法を理解しましょう。


下記の記事は、固定モーメントを利用して不静定梁を計算しています。併せて参考にしてください。

不静定梁を固定モーメント法で解く方法|手順と計算例をわかりやすく解説


固定モーメント法以外の、不静定構造物の計算は下記の記事が参考になります。

マトリクス変位法(トラス):剛性マトリクスの組み立てと解法

不静定連続梁の解法|仮想仕事の原理を使った計算手順をわかりやすく解説

たわみ角法[1/3]

固定モーメント法-その1-

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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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