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細長比とは?公式・求め方・座屈長さ・制限値をわかりやすく解説

この記事の要点

細長比は、名前の通り「部材が細長いか、短くて太いのか」を表す比率です。値が大きいほど細長く、座屈しやすい部材になります。

細長比は、座屈長さを断面二次半径で割って求めます。公式で表すと、λ=Lb/i です。λは細長比、Lbは座屈長さ、iは断面二次半径です。

計算では、座屈が起きやすい弱軸まわりの断面二次半径を使います。建築基準法では、柱の細長比はλ≦200、柱以外の部材はλ≦250とされています。

この記事では、細長比が何を表す値なのか、どうやって求めるのか、座屈長さや断面二次半径をどう見ればよいのかを整理します。

細長比は名称の通り、「部材が細長いか、あるいは短くて太いのか」を表す値(比の値)です。

というイメージになります。まずは、細長比が大きい部材と小さい部材の違いを図で確認しましょう。

細長比が大きい部材と小さい部材の違いを示す比較図

細長比の求め方は下式の通り、座屈長さ断面二次半径で割り算して求めます。座屈長さ、断面二次半径ともに「長さの値」なので、λは比率の値となり単位は無し(無次元数)です。

細長比の公式と求め方

λ:細長比 Lb:座屈長さ i:断面二次半径

この式で大事なのは、座屈長さが大きいほど細長比は大きくなり、断面二次半径が大きいほど細長比は小さくなる、ということです。

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座屈長さとは?

座屈長さとは、部材が座屈して弧を描く部分の長さです。本質的に部材長さと座屈長さは異なる値で、支持条件に応じて部材長さよりも短くなったり、長くなることもあります。


一般に、支点(接合部)がより固くなる(拘束される)ほど、座屈長さは短くなります。


たとえば、両端固定の柱の座屈長さは、両端が固定されている分、座屈して弧を描く部分の長さは、部材長さの0.5(半分)です(座屈の起きる範囲が短くなる)。


両端固定柱の座屈長さが部材長さの半分になることを示す図

つまり、上図の柱の座屈長さは「部材長さL×0.5=0.5L」のように算定されます。


このとき、座屈長さを得るために部材長さに掛け算する係数(ここでは0.5)を「座屈長さ係数」といいます。


よって、座屈長さをLb、部材長さをL、座屈長さ係数をKとするとき、座屈長さLbは下式で算定されます。


座屈長さを部材長さと座屈長さ係数で求める公式

前述したように、支持条件に応じて座屈長さ係数は変わります。一般に、支点そのものが水平移動しない場合の柱、梁の座屈長さ係数は下記です。


細長比の計算、座屈長さと断面二次半径


支点の水平移動が自由な場合の座屈長さの係数は下図となります。


水平移動が自由な場合の座屈長さの係数


上図より、支点が拘束されるほど座屈長さは部材長さより短くなり、片持ち柱のように、支点が自由になるほど座屈長さは部材長さより長くなります(片持ち柱の場合、座屈長さは部材長さの2倍)。

座屈長さの係数とは?1分でわかる意味、値、覚え方、公式と求め方

断面二次半径とは?

断面二次半径は断面のかたさを長さの値で表しており、下式で算定されます。


断面二次半径を断面二次モーメントと断面積から求める公式

iyは弱軸まわりの断面二次半径、Iyは弱軸まわりの断面二次モーメント、Aは断面積です。なお、鋼材の断面二次半径の場合、各鋼材メーカーに断面二次半径が明記あります。


なぜ弱軸回りの断面二次半径が重要かというと、座屈は弱軸方向に生じるからです。


下図はH形鋼という形状ですが、弱軸方向(y方向)は断面二次モーメントが小さいので、断面二次半径iも小さくなります。


「座屈」は、弱い方向に発生するので、「断面二次半径の大きさ≒弱軸方向の断面二次半径の大きさ」となります。

H形鋼の弱軸方向と座屈しやすい方向を示す図

断面二次半径とは?1分でわかる意味、公式、計算、座屈、断面二次モーメントとの関係

限界細長比とは?

限界細長比とは、弾性領域を超えて非弾性領域になるときの細長比です。下図のように、弾性座屈曲線と非弾性曲線の境界を表す細長比ともいえます。


限界細長比


上図より、細長比が限界細長比より小さければ座屈応力度は非弾性座屈曲線に従い、細長比が限界細長比より大きければ、座屈応力度は弾性座屈曲線に従います。限界細長比Λは下式で計算します。


・Λ=√{(π2×E)/(0.6×F)}


(※√は{}内の値にかかっています)

限界細長比とは?記号、記号の読み方、許容圧縮応力度との関係

細長比の制限値

建築基準法内(令第65条)では細長比の制限値が規定されています。


これは細長比が大きすぎる部材は座屈の恐れがあるため、細長比に制限(上限)を設けて、不安定現象である座屈を避けることが理由です。建築基準法では


・柱の細長比 λ=200以下

・柱以外(梁)の細長比 λ=250以下


が規定されています。また、柱の細長比のほうがより厳しい制限となっており、これは、梁と比べて柱は長期荷重により常時圧縮力が作用しており座屈に注意を要するためです。

なお、木造柱の場合は、構造耐力上主要な柱の有効細長比を150以下とします。

細長比の計算例題

では、これまでの解説を元に例題として鉄骨柱の細長比を計算します。計算の諸条件は下記のとします。



まずは座屈長さを求めます。座屈長さは部材長さ×座屈長さ係数です。支点は移動しない両端固定の柱なので座屈長さ係数=0.5より


・座屈長さLb=4m×0.5=2m


です。断面二次半径は、ixとiyを比較して「小さい値」を選びます。これは前述したように、座屈は弱軸方向(弱い方向)に生じるからです。よって


・断面二次半径iy=2.24cm


です。以上より


・細長比=Lb/iy=200cm/2.24cm=89.3<200


となり、柱の細長比の制限値も下回っているので問題ないですね。


なお、計算結果が細長比の制限値を上回る場合、部材長さを短くする、支持条件を変えて座屈長さを短くする、部材断面を変更してiyを大きくする、などの対応が求められます。

混同しやすい用語

細長比と断面二次半径

細長比は「座屈長さ÷断面二次半径」で求められる無次元の指標で、部材の座屈しやすさを表します。断面二次半径は断面の形状から求まる値(√(I/A))で、細長比を計算する際の分母となります。

座屈長さと部材長さ

部材長さは部材の実際の長さです。座屈長さは支持条件によって決まる等価な長さで、両端ピンの場合は部材長さと等しくなりますが、支持条件が変わると係数をかけた値になります。

試験での問われ方|管理人の一言

細長比は座屈の起きやすさを直感的に判断できる便利な指標です。設計の現場でも頻繁に使う概念なので、しっかり押さえておきましょう。

細長比を整理した表を示します。

項目内容備考
細長比の定義座屈長さ÷断面二次半径無次元数
制限値(柱)λ≦200建築基準法令65条
制限値(梁)λ≦250柱より緩い

まとめ

今回は細長比について解説しました。細長比は大きいほど座屈しやすく、小さいほど座屈しにくい部材です。まずは細長比が大きい、小さいと部材はどうなるかイメージできるようにしましょう。また、細長比は座屈長さ÷断面二次半径で算定されます。座屈長さ、断面二次半径の詳細は下記が参考になります。

座屈とは?座屈荷重の基礎知識と、座屈の種類

座屈長さの係数とは?1分でわかる意味、値、覚え方、公式と求め方

断面二次半径とは?1分でわかる意味、公式、計算、座屈、断面二次モーメントとの関係

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