この記事の要点
構造力学の最初の関門が「力のつり合い」だと思う。
単純なようで、斜めの力を水平・鉛直に分解する操作でつまずく人が多い。
三角関数を使った分解に慣れるまで、何問も繰り返した記憶がある。
つり合いの基本はΣF=0。
水平と鉛直に分けてそれぞれゼロとおけば方程式を解けるのだが、分解方向の符号ミスが多い。
本記事で手順を整理する。
2力のつり合いには「大きさが等しい・向きが反対・同一直線上にある」という3条件がすべて必要で、同一直線上にない場合は回転(モーメント)が生じる。
この記事では、力のつり合いとは何か、2力のつり合いの3条件はどのようなものか、作用反作用とどう関係するのかを整理します。
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力のつり合いとは、2つ以上の力の合力が0になる状態です。物が静止(移動しない状態)するとき、力が釣り合っています。
例えば机や椅子など、身近にある全ての物には重力が作用しています。ところが、机は勝手に動かず静止しています。
これは机に作用する重力と、床から机に作用する反力がつり合うためです。今回は力のつり合いの意味、作用反作用、角度、問題と計算、張力との関係について説明します。
力の合成、合力の意味など下記も参考になります。
力の合成とは?計算方法・合力と平行四辺形の関係(ベクトルの合成の基礎)
力の釣り合い条件とは?3つの条件式(ΣX=ΣY=ΣM=0)と反力計算への適用
力のつり合いとは、2つ以上の力の合力が0(ぜろ)になる状態です。「力がつり合う」とき、物は動かず静止します。
下図をみてください。物の左右に2つの力が作用しています。力の大きさが同じで、反対向きに作用します。合成した力(合力)は、
P-P=0(ぜろ)
です。これが、力のつり合いです。
イメージできない方は机や椅子を思い浮かべましょう。机には重力が作用しています。
ところが、机は勝手に移動せず静止しています。これは、机を設置する床から反対方向の力が作用するからです。
力のつり合いには、
・2力のつり合い
・3力のつり合い
があります。
2つの力がつり合うことを「2力のつり合い」といいます。3つの力のつり合いは「3力のつり合い」です。
それぞれ説明します。
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2力のつり合いでは、下記の条件を満たす必要があります。
・2つの力の大きさは等しい。
・2つの力の向きは反対である。
・2つの力は同一直線上にある。(作用線が一致する)
2つの力は同一線上に無いとつり合いません。同一線上にない2つの力を下図に示します。
2つの力は大きさが等しく、向きは反対です。但し同一線上に無いです。このとき、物には「モーメント」が作用し、回転します。
実際に、本を手に持って試してください。まず、本の両端を同じ力で引っ張ります。引っ張る位置も同じにしてください。
すると本は動きません。これは、「力がつり合う」状態です。
次に、本を引張る位置をずらします(同一線上に無い状態)。本を引張ると回転しますよね。
物が「回転する」ので、静止した状態とは言えません。力はつり合っていないのです。
上記のように、物を回転させる力をモーメント、偶力といいます。詳細は下記が参考になります。
偶力(ぐうりょく)とは?意味・モーメントの公式・求め方をわかりやすく解説
また2力のつり合いの詳細は、下記も勉強になります。
2力のつり合いとは?1分でわかる意味、条件、作用反作用、角度、日常の関係
3力のつり合いとは、下図に示すように3つの力がつり合う状態です。
斜め方向に作用する2つの力と、下向きの力がつり合います。このとき斜めの力は、単純に足し算してはダメです。ベクトルを考慮した合力と、下向きの力がつり合います。
斜め方向の力の合力、力の合成の方法は下記が参考になります。
力の合成とは?計算方法・合力と平行四辺形の関係(ベクトルの合成の基礎)
なお下図のように3つの力が1点で交わらない場合、力は釣り合いません。
さらに、見方を変えれば下図のように力を合成して、力がつり合うと考えても良いです。
3力のつり合いの詳細は、下記が参考になります。
ある物体Aに力を作用させるとき、物体Aから等しい反対の力が作用します。これが作用・反作用の法則です。
下図をみてください。壁を手で押します。このとき、手のひらに壁を押す方向と反対向きの力を感じるはずです。これが反作用力です。反力(はんりょく)ともいいます。
作用力と反作用力は必ず「つり合い」ます。これも「力のつり合い」です。作用反作用は下記も参考になります。
作用力とは?意味・反作用力との関係と力のつり合いの計算方法(ニュートンの第3法則)
2つの力につり合う1つの力を求めてください。
2つの力を合成する必要があります。複数の力を合成するとき、力の平行四辺形をつくりましょう。力の平行四辺形の作り方は、下記が参考になります。
力の平行四辺形とは?書き方・合力と分解の計算(力の3要素と合成の基礎)
これが力の平行四辺形です。2つの力の合力は、平行四辺形の対角線になります。三角比より対角線の長さは他辺の√2倍です。よって、
P=10×√2=14.1 kN
が2つの力につり合う力です。今回は2力のなす角度が90度のため簡単に合力が計算できました。その他の場合、下式などを用いて合力を計算します。
詳細は下記が参考になります。
下図のように2本の糸を留めて、糸のさきに重りを吊るしました。重りの重さは10kgです。
2本の糸に作用する張力を求めてください。なお2本の糸に作用する張力は等しいと考えます。
前述した公式を思い出してください。今回は合力が10kgだと分かっています。また2本の糸に生じる張力は等しいです。
よってP1=P2、P3=10kgです。またθ=60°、sinθ=√3/2、cosθ=1/2です。
です。下記も参考にしてください。
力のつり合いの問題の解き方は?糸の張力・3力のつり合いの計算手順
混同しやすい用語
力のつり合い
力のつり合いとは、複数の力の合力が0になる状態で、物体が移動も回転もせず静止していることを意味する。
作用・反作用の法則は「ある物体Aが物体Bに力を作用させると、Bから等しい大きさの逆向きの力がAに返ってくる」現象であり、異なる物体間の関係であるのに対し、つり合いは同一物体に作用する力の関係である点が異なる。
作用・反作用の法則
作用・反作用の法則とは、物体Aが物体Bに力を加えると、BからAへも等しい大きさで逆向きの力が同時に作用するというニュートンの第三法則。
力のつり合いは同一物体に作用する複数の力の合力がゼロになる状態であり、作用・反作用は異なる物体間のペアで生じる相互作用で、関係する物体の数と対象が異なる。
力のつり合いを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 力のつり合いの定義 | 2つ以上の力の合力が0になる状態。物体が静止する | 合力=0が静止の条件 |
| 2力のつり合い | 大きさが等しく、向きが反対で、同一直線上にある2力 | 同一線上にないとモーメントが生じ回転する |
| 3力のつり合い | 3つの力がつり合う状態。3力は必ず1点で交わる必要がある | ベクトルを考慮した合力で判定する |
今回は力のつり合いについて説明しました。力のつり合いは、2つ以上の合力が0になることです。
物体に作用する複数の力がつり合うとき、物体は移動せず静止します。また2力のつり合い、3力のつり合いの意味も理解しましょう。
2力のつり合いとは?1分でわかる意味、条件、作用反作用、角度、日常の関係
力の釣り合い条件とは?3つの条件式(ΣX=ΣY=ΣM=0)と反力計算への適用
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「2力のつり合いの3条件」や「3力のつり合いでは3力が1点で交わる必要がある」という条件問題、および合力と張力を求める計算問題が頻出である。
「つり合い」と「作用・反作用」は混同しやすいので、「同一物体か異なる物体間か」で区別する視点を持つと正誤判断が確実になる。