建築学生が学ぶ構造力学

建築学生が学ぶ構造力学
  1. HOME > 材料力学の基礎 > ひずみの適合方程式と理論式の導出

ひずみの適合方程式とは?導出と連続性条件の意味

この記事の要点

ひずみの適合方程式(コンパチビリティ方程式)とは、6成分のひずみが変位から矛盾なく得られるための必要条件式だ。

変位の3成分から6成分のひずみを導く際、独立でない成分間に幾何的な整合性を課したものだ。

有限要素法では各要素の変位が隣接要素と接続点で連続でなければならず、この適合条件が解の信頼性に関わる。

適合要素(conforming element)と非適合要素の違いもここから生じる。

この適合方程式が満足されることで、ひずみ場から矛盾のない変位場が存在することが保証され、弾性力学・有限要素法の理論的基礎となる。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット


ひずみの適合方程式を導くためのひずみ-変位関係を考えます。


ひずみ-変位関係


以上のような式でしたね。


6個のひずみ成分εijが与えられたとき、3個の変位uiを求めることを考えます。


ひずみ変位関係の式は3個の未知数に関する6個の方程式を表していますので、これらから3個の方程式を求めるためには、適合方程式が満足しなければなりません。


例えば、以下のような式を考えてみましょう。


ひずみの適合方程式


以上の式は、一つの変位に対してk(x,y)、r(x,y)という2つの方程式を含んでいます。以上の微分方程式を解いて、uが定まるためには、


微分方程式を解く


のような適合方程式が成立しなければなりませんね。


さて、歪テンソルの式に対して適合方程式を満足させましょう。つまり、以下の式を2階微分します。


注意しないといけないのは、ひずみが2階のテンソルのため、それを偏微分するとき、さらにklという添字を考える必要があります。


Ijklの偏微分の組み合わせを考えると


偏微分の組み合わせ


です。


このとき、uが定まるためには、偏微分の順序を入れ替えても等しくなります。よって、


偏微分の順序を入れ替えても等しくなる


以上の式は、ijklの組み合わせで変わるものですから深く考えないように、要するに偏微分の式が等しくなることを表しています。


偏微分の式が等しくなる


です。以上の式で添え字の組み合わせから、6個の方程式が成り立ちます。それぞれの組み合わせを考えてみましょう。


(1)i=j,k=l(i=j=1,k=l=2)の場合


i=j,k=l(i=j=1,k=l=2)の場合


さて、ひずみテンソルと工学ひずみの関係から、


ひずみテンソルと工学ひずみの関係


でしたね。


ひずみテンソルと工学ひずみの関係2


と書き換えることもできます。


同様に(i=j=2,k=l=3)、(i=j=3,k=l=1)


テンソルの問題を解く


が成立します。


(2)i=j,k,l(i=j=1,k=2,l=3)


テンソルの問題を解く2


が成立します。


テンソルの問題を解く3


同様に(i=j=2,k=3,l=1)、(i=j=3,k=1,l=2)


テンソルの問題を解く4


(3)i=j=k=l(i=j=k=l=1)の場合


テンソルの問題を解く5


(4)i=j=k,l(i=j=k=1,l=2)の場合


テンソルの問題を解く6


以上の式を纏めてみましょう。


ひずみの適合方程式


となり、以上がひずみの適合方程式となります。

混同しやすい用語

適合方程式(互換条件)と平衡方程式

適合方程式(ひずみ適合条件)はひずみ場から矛盾なく変位場が定まるための幾何学的条件であり、6個のひずみ成分が3個の変位成分から生成されることの必要条件として導かれる。

平衡方程式は力の釣り合いを表す物理的条件(σij,j+bi=0)であり、適合方程式とは目的・性質が根本的に異なる。

弾性力学の基本方程式はこの2つに加えて構成則(フックの法則)から構成される。

ひずみテンソルと工学ひずみの関係

ひずみテンソルεijは対称テンソルであり、対角成分が垂直ひずみ(εxx,εyy,εzz)、非対角成分がせん断ひずみの1/2(εxy=γxy/2)となる。

工学ひずみのせん断成分γxyはひずみテンソルの2εxyに対応し、この係数2の違いを忘れると適合方程式の導出で混乱するため注意が必要である。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

理解度チェック

Q.

ひずみの適合方程式(コンパチビリティ方程式)とは何ですか?

答えを見る

6成分のひずみが変位から矛盾なく得られるための必要条件式です。3個の変位成分から6個のひずみを導く際に、独立でないひずみ成分間に幾何的な整合性を課したものです。

Q.

適合方程式が必要なのはなぜですか?

答えを見る

ひずみ-変位関係は3個の未知数(変位)に対して6個の方程式を表すため、矛盾なく変位が定まるには適合方程式が満たされる必要があります。有限要素法でも各要素の変位が隣接要素と接続点で連続でなければならず、この適合条件が解の信頼性に関わります。

Q.

適合方程式と平衡方程式の違いは何ですか?

答えを見る

適合方程式はひずみ場から矛盾なく変位場が定まるための幾何学的条件、平衡方程式は力の釣り合いを表す物理的条件(σij,j+bi=0)で、目的・性質が根本的に異なります。弾性力学の基本方程式はこの2つに構成則(フックの法則)を加えて構成されます。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

建築構造がわかる基礎図解集

二級建築士の構造を独学で攻略

・過去問の使い方と勉強法をわかりやすく解説

・まずはこの記事から ⇒  二級建築士の構造の勉強法

わかる1級建築士の計算問題解説書

計算の流れ、解き方がわかる!1級建築士【構造】計算問題解説集

わかる2級建築士の計算問題解説書!

【30%OFF】一級建築士対策も◎!構造がわかるお得な用語集

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集
pdf版の学習記事

プロフィール

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

Topへ >>

  1. HOME > 材料力学の基礎 > ひずみの適合方程式と理論式の導出
  2. 1級の過去問(計算)解説
  3. わかる建築構造の用語集・図解集
  4. 1頁10円!PDF版の学習記事