この記事の要点
ひずみの適合方程式とは、6個のひずみ成分から3個の変位成分を一意に求めるために必要な条件式であり、ひずみ-変位関係の偏微分順序交換可能性(εij,kl+εkl,ij=εik,jl+εjl,ik)から導かれる。
この適合方程式が満足されることで、ひずみ場から矛盾のない変位場が存在することが保証され、弾性力学・有限要素法の理論的基礎となる。
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ひずみの適合方程式を導くためのひずみ-変位関係を考えます。
以上のような式でしたね。
6個のひずみ成分εijが与えられたとき、3個の変位uiを求めることを考えます。
ひずみ変位関係の式は3個の未知数に関する6個の方程式を表していますので、これらから3個の方程式を求めるためには、適合方程式が満足しなければなりません。
例えば、以下のような式を考えてみましょう。
以上の式は、一つの変位に対してk(x,y)、r(x,y)という2つの方程式を含んでいます。以上の微分方程式を解いて、uが定まるためには、
のような適合方程式が成立しなければなりませんね。
さて、歪テンソルの式に対して適合方程式を満足させましょう。つまり、以下の式を2階微分します。
注意しないといけないのは、ひずみが2階のテンソルのため、それを偏微分するとき、さらにklという添字を考える必要があります。
Ijklの偏微分の組み合わせを考えると
です。
このとき、uが定まるためには、偏微分の順序を入れ替えても等しくなります。よって、
以上の式は、ijklの組み合わせで変わるものですから深く考えないように、要するに偏微分の式が等しくなることを表しています。
です。以上の式で添え字の組み合わせから、6個の方程式が成り立ちます。それぞれの組み合わせを考えてみましょう。
(1)i=j,k=l(i=j=1,k=l=2)の場合
さて、ひずみテンソルと工学ひずみの関係から、
でしたね。
と書き換えることもできます。
同様に(i=j=2,k=l=3)、(i=j=3,k=l=1)
が成立します。
(2)i=j,k,l(i=j=1,k=2,l=3)
が成立します。
同様に(i=j=2,k=3,l=1)、(i=j=3,k=1,l=2)
(3)i=j=k=l(i=j=k=l=1)の場合
(4)i=j=k,l(i=j=k=1,l=2)の場合
以上の式を纏めてみましょう。
となり、以上がひずみの適合方程式となります。
混同しやすい用語
適合方程式(互換条件)と平衡方程式
適合方程式(ひずみ適合条件)はひずみ場から矛盾なく変位場が定まるための幾何学的条件であり、6個のひずみ成分が3個の変位成分から生成されることの必要条件として導かれる。
平衡方程式は力の釣り合いを表す物理的条件(σij,j+bi=0)であり、適合方程式とは目的・性質が根本的に異なる。弾性力学の基本方程式はこの2つに加えて構成則(フックの法則)から構成される。
ひずみテンソルと工学ひずみの関係
ひずみテンソルεijは対称テンソルであり、対角成分が垂直ひずみ(εxx,εyy,εzz)、非対角成分がせん断ひずみの1/2(εxy=γxy/2)となる。
工学ひずみのせん断成分γxyはひずみテンソルの2εxyに対応し、この係数2の違いを忘れると適合方程式の導出で混乱するため注意が必要である。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では適合方程式の具体的な式よりも「ひずみ場から変位場が一意に定まるための条件」という概念的な役割を問う問題が多い。
「ひずみテンソルのεijとせん断工学ひずみγijの関係(γij=2εij)」と「適合条件は幾何学的条件」という2点を整理しておくと弾性力学全般で役立つ。