この記事の要点
ラグランジュひずみは変形前の座標を基準に、オイラーひずみは変形後の座標を基準にひずみを定義したものであり、大変形問題では両者が異なる値をとる。
微小変形理論(変位が十分小さい)を仮定すると高次項が無視でき、ラグランジュひずみとオイラーひずみの差がゼロとなって両者は一致する。
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さて、次のように2乗の変化を変化前の座標で表した式から、ひずみテンソルの式を導きました。
以上のように定義される歪テンソルの式を「ラグランジュのひずみテンソル」といいます。一方、変形後の座標で表したものをオイラーの歪テンソルといいます。
この2つの式に付いて関係性を確認してみましょう。
以前「ひずみテンソルについて」で求めた式は上記に示すように、「変形前の座標で表した」ものです。
よって、まずは「変化後の座標で」ひずみテンソルの式(オイラーのひずみテンソル)を表してみましょう。
と変化前の座標で定義すれば、歪テンソルの式は
となります。擬標の扱いに慣れていない人は、急に添え字がkに替っていて戸惑うかもしれませんが、全く同じ式を変換しただけですね。良く見るとわかりますよ。以上の式に関して次式を定義します。
よって、ひずみの式は結局、
ですね。
ここで、計算を整理すると(「歪テンソル」で示したものと同様の計算過程なので省きます)
さらに、微小変形理論から非線形項は無視すると、
とすれば、
です。以上のように、ラグランジュのひずみとオイラーのひずみの差は、微小変形理論を用いると、無くりなりましたね。
要するに、変形後の座標で表したものが「ラグランジュの歪テンソル」変形前の座標で表したものが「オイラーの歪テンソル」です。微小変形理論を用いると、両者の差はなくなるよという証明です。
混同しやすい用語
ラグランジュひずみ vs オイラーひずみ
ラグランジュひずみ(グリーン-ラグランジュひずみ)は変形前の座標(材料座標系)を基準として定義するひずみテンソルである。
オイラーひずみ(アルマンシひずみ)に対してラグランジュひずみは大変形でも正確だが、微小変形では両者は一致し通常の線形ひずみと等しくなる。
微小変形理論 vs 有限変形理論
微小変形理論は変位や回転が十分小さいと仮定し、高次項を無視した線形化理論であり、通常の弾性力学・構造力学で使われる。
有限変形理論に対して微小変形理論はラグランジュ・オイラーひずみの差が消えるため、通常の線形ひずみ定義が適用できる簡便さがある。
| 条件 | 値 |
|---|---|
| 変形前の長さL₀ | 100 mm |
| 変形後の長さL | 102 mm |
| 伸び量ΔL | 2 mm |
ラグランジュひずみ(変形前基準): E = (L²−L₀²)/(2L₀²) = (10404−10000)/20000 = 404/20000 ≈ 0.0202
オイラーひずみ(変形後基準): e = (L²−L₀²)/(2L²) = (10404−10000)/20808 = 404/20808 ≈ 0.0194
微小変形近似(線形ひずみ): ε = ΔL/L₀ = 2/100 = 0.020
答え:E≈0.0202(ラグランジュ)、e≈0.0194(オイラー)、ε=0.020(線形近似)。変形が小さいほど三者は一致する。
| 項目 | ラグランジュひずみE | オイラーひずみe |
|---|---|---|
| 基準座標 | 変形前(材料座標系) | 変形後(空間座標系) |
| 式 | E=(L²−L₀²)/(2L₀²) | e=(L²−L₀²)/(2L²) |
| 微小変形での値 | ≈ε(線形ひずみと一致) | ≈ε(線形ひずみと一致) |
| 主な用途 | 大変形・FEM非線形解析 | 流体力学・大変形解析 |
Q. ラグランジュひずみとオイラーひずみが一致するのはどんな条件か?
A. 微小変形(変位勾配≪1)の条件では両者の高次項が消え、線形ひずみε=∂u/∂xに一致する。
Q. 通常の建築構造計算でラグランジュ・オイラーのどちらを使うか?
A. 線形弾性解析では微小変形を仮定するためどちらも同じ結果になる。非線形大変形解析ではラグランジュひずみ(グリーン-ラグランジュひずみ)を使うことが多い。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では微小変形の仮定に基づく線形弾性理論が前提となっており、ラグランジュ・オイラーひずみの区別が直接問われることは少ないが、非線形解析の基礎として知っておくと役立つ。
「変形前基準か変形後基準か」という視点は、大変形を扱う非線形FEM解析でも重要となるため、理論的背景として理解を深めておこう。