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鉄筋のかぶりとは?考え方、厚さ、基準【わかりやすい意味】

この記事の要点

かぶりとは、コンクリート表面から鉄筋表面までの距離のことです。かぶりが不足すると鉄筋が腐食しやすくなり、コンクリートの爆裂や耐久性低下につながります。建築基準法や配筋指針でかぶり厚さの最小値が定められており、実務ではスペーサーで管理しながら規定値以上を確保することが重要です。

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鉄筋のかぶり


鉄筋コンクリートは、コンクリートと鉄筋を組み合わせた材料です。下図のように、コンクリートの中に鉄筋が埋め込まれています。


鉄筋コンクリートの断面図(コンクリートの中に鉄筋が埋め込まれた状態)


鉄筋に関係する用語として、「かぶり」があります。「鉄筋のかぶり」という言い方をするのですが、どういう意味でしょうか。今回は鉄筋のかぶりと、鉄筋コンクリートの耐久性、強度の関係について説明します。


かぶりは、スペーサーにより確保します。また、かぶりと似た用語に「あき」があります。スペーサー、鉄筋のあきの意味は、下記が参考になります。

鉄筋のスペーサーとは?1分でわかる意味、ドーナツ、ピッチ、ブロック

鉄筋のあきとは?1分でわかる意味、最小値、粗骨材との関係

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鉄筋のかぶりってなに?

鉄筋のかぶりの意味は難しく考える必要はありません。たった1つの意味です。それは、


かぶり=「コンクリート面から鉄筋までの最小距離」


をいいます。下図を見てください(下図はコンクリートと鉄筋の関係を模式的に表した図です。実際の梁や柱の配筋と一切関係ありません)。


鉄筋のかぶり断面図(コンクリート面から鉄筋表面までの最小距離)


コンクリート面から鉄筋までの最小距離なので、上図の場合、コンクリート面から鉄筋外面までの距離が最小距離です。コンクリートの四方から、一定のかぶりを守る必要があります。よって、上下面、側面からの鉄筋までの最小距離がかぶりです。


ところで上図のかぶりですが、実際の梁、柱と少し配筋が異なります。実際は、鉄筋コンクリートの柱、梁でも必ずせん断補強筋という鉄筋が巻かれています。

せん断補強筋とは?わかりやすい意味【図解】


つまり実際の梁、柱は下図の配筋が一般的です。かぶりは、コンクリート面から鉄筋までの最小距離です。


梁・柱の実際の配筋断面図(せん断補強筋を含むかぶりの測定位置)


よって上図の場合、鉄筋のかぶりは「コンクリート面からせん断補強筋までの最小距離」のことです。


鉄筋のかぶりは、「鉄筋までの最小距離」という意味が最も重要です。2つの図で説明しましたが、コンクリートに鉄筋が配置されているなら、そこまでの最小距離が鉄筋のかぶりです。もし、せん断補強筋の外に鉄筋が配置されているなら、その鉄筋までの距離が、かぶりです。


また、鉄筋のかぶりは「スペーサー」により確保します。スペーサーの意味は、下記が参考になります。

鉄筋のスペーサーとは?1分でわかる意味、ドーナツ、ピッチ、ブロック

鉄筋のかぶりは何のために必要?

鉄筋のかぶりの意味はわかりました。では、何のために必要でしょうか。簡単に言うと、鉄筋のかぶりは、鉄筋を保護するために必要です。


鉄筋の材質は、鋼(鉄に炭素などを含有させた素材)です。鋼は、雨や空気中に野ざらしにされると、酸化を起こし鉄筋表面に錆が発生します。


この錆は非常にもろく、皆さんも経験があるかと思いますが、簡単に剥がれてしまいます。何となく鉄筋が錆びてボロボロになると弱そうって思いますよね。そのイメージは正しいです。構造的に言えば、鉄筋の必要な断面が欠損する恐れがあり、かぶりを確保することで鉄筋の酸化を防ぎたいわけです。


さて、一方鉄筋を包み込むコンクリートはアルカリ性で、酸性とは真逆の性質を持ちます。鉄筋コンクリートはコンクリート中に鉄筋を埋め込んでいるため、酸化の恐れが無く、鉄筋本来の力を発揮できるわけです。


しかし、いくらコンクリートに保護されていてもコンクリートには微小のひび割れがあるため、そこから外気や室内の空気が浸透し、酸化の原因になります。つまり、鉄筋のかぶりは単に鉄筋をコンクリートで保護するだけでなく、基準以上の距離を確保する必要があります。


下図をみてください。極端に模式図を描きました。基準以下のかぶりだと、ひび割れなどの影響で鉄筋が参加する恐れがあります。一定以上のかぶりを取ることで、鉄筋コンクリートの品質が保てます。


かぶり不足の断面図(ひび割れから鉄筋が腐食するリスク)


しかし、鉄筋のかぶりをとりすぎると、逆に鉄筋の効果が薄くなります。この性質についても注意が必要です。


かぶり過大の断面図(かぶりを取りすぎると鉄筋の効果が薄れる)

鉄筋のかぶりと、鉄筋コンクリート造配筋指針、建築基準法との関係

では、具体的にどれくらいコンクリートと鉄筋とのクリアランス(距離)を設ければよいのでしょうか?まず、鉄筋のかぶりは建築基準法に明記されています。下表を見てください。これは、建築基準法による鉄筋のかぶり厚さの規定です。


部位 最小かぶり厚さ(mm)
耐力壁以外の壁または床(土に接しない部分) 20以上
耐力壁・柱・梁(土に接しない部分) 30以上
直接土に接する壁・柱・床・梁、布基礎の立上がり部分 40以上
基礎(布基礎の立上がり部分を除く。捨てコンクリート部分を除く) 60以上

「直接土に接しない部分、接する部分」とは、そのままの意味です。例えば基礎は必ず土に接します。そのため、土に接する部分に該当します。土は空気中よりもコンクリートや鉄筋を劣化させる影響度合いが大きいため、より大きなかぶり厚さが必要です。


また、最小かぶりとは、鉄筋の品質を確保するための最低限必要なかぶり厚さを示しています。しかし建築現場は、そんなにきちんと仕事が行われません。建物を造るのは「人」ですから、間違いもあります。そこで、最小かぶり厚さに10mmを現場施工誤差として見込みます。このかぶり厚さを設計かぶりといいます。つまり下記の通りです。


設計かぶり厚さ=最小かぶり厚さ+10mm


詳細は下記も参考になります。

設計かぶり厚さとは?1分でわかる意味、基礎、鉄筋との関係、最小かぶり厚さとの違い

最小かぶり厚さとは?1分でわかる意味、柱、壁のかぶり厚さ、設計かぶり厚さとの違い


次に下表をみてください。これは鉄筋コンクリート造配筋指針に明記されている、鉄筋のかぶり厚さの規準です。


【表 鉄筋のかぶり厚さ(基礎を含む)】

種類 最小かぶり(mm)
短期 標準 長期 超長期
屋内・屋外 屋内 屋外 屋内 屋外
柱・梁・耐力壁 30 30 40 30 40
床スラブ・屋根スラブ 20 20 30 30 40
土に接する柱・梁・床および布基礎の立上がり 40
基礎 60


種類 設計かぶり(mm)
短期 標準 長期 超長期
屋内・屋外 屋内 屋外 屋内 屋外
柱・梁・耐力壁 40 40 50 40 50
床スラブ・屋根スラブ 30 30 40 40 40
土に接する柱・梁・床および布基礎の立上がり 50
基礎 70

ご覧の通り、配筋指針ではよりシビアなかぶり厚さが求められています。例えば、屋内と屋外でかぶり厚さを分けています。さらに、コンクリートの求められる品質(短期、標準、長期、超長期)が高くなるほど、かぶりが大きくなります。


布基礎の立上りや、基礎は一律かぶり厚さが60mmですね。よって実務では、建築基準法の規定より厳しい配筋指針の規定を用いることが多いです。また、建物によってはさらに厳しいかぶり規定が求められるケースもあります。

建築基準法・公共建築工事標準仕様書・JASS5の比較

鉄筋のかぶり厚さには、建築基準法・公共建築工事標準仕様書(標仕)・JASS5(配筋指針)の3つの基準があります。下表のとおり、標仕とJASS5は建築基準法より厳しい値を定めています。実務では設計図書の特記仕様書で適用する基準を確認するのが基本です。

部位 建築基準法
最小(mm)
標仕
最小(mm)
JASS5
設計・屋内標準(mm)
柱・梁・耐力壁(屋内) 30 30 40
柱・梁・耐力壁(屋外) 30 40 50
床スラブ・屋根スラブ(屋内) 20 20 30
床スラブ・屋根スラブ(屋外) 20 30 40
土に接する壁・柱・床・梁、布基礎立上がり 40 40 50
基礎(捨てコン除く) 60 60 70

混同しやすい用語

最小かぶり厚さ

最小かぶり厚さとは、法令や規準で定められた、確保しなければならないかぶりの下限値です。

設計かぶり厚さ

設計かぶり厚さとは、施工誤差を見込み、最小かぶり厚さに余裕(通常10mm)を加えて設定する設計上の値です。実務では設計かぶり厚さを図面に記載し、施工管理の基準とします。

試験での問われ方|管理人の一言

実務では、かぶりを確保するためにスペーサーを適切な間隔で配置することが重要です。スペーサーの設置を怠ると、施工中に鉄筋がずれてかぶりが不足する恐れがあります。かぶりは完成後の検査対象にもなるため、配筋検査の前にしっかり確認しておきましょう。

かぶりが不足するとどうなるか?

かぶりが基準値を下回ると、次の順序で劣化が進行します。

① 中性化の進行 → ② 鉄筋の腐食(さびの発生) → ③ さびによる体積膨張(2?3倍) → ④ コンクリートのひび割れ → ⑤ 爆裂(表面コンクリートの剥落)

コンクリートは本来アルカリ性(pH12?13程度)のため、内部の鉄筋を不動態皮膜で保護します。しかし、空気中のCO?が浸透する「中性化」が鉄筋位置まで到達すると、このアルカリ性が失われて鉄筋が腐食し始めます。腐食によって体積が膨張した鉄筋がコンクリートを内側から押し広げるため、ひび割れや爆裂が生じます。

かぶり不足は完成後の外観からは確認しにくく、問題が表面化するころには内部の劣化がかなり進んでいます。施工中の配筋検査でスペーサーの設置状況を確認することが、長期耐久性を確保するうえで最も重要です。

まとめ

今回は鉄筋のかぶりについて説明しました。この説明が覚えきれなかった人は、2つだけ覚えてください。


1 鉄筋のかぶりとは、コンクリート面から鉄筋までの最小距離であること

2 鉄筋のかぶりは、鉄筋がさびないために必要であること。


鉄筋のかぶりの意味と、かぶりを設ける理由はたったこれだけです。この2つだけでも、覚えて頂ければOKです。


かぶりの確保に必要なスペーサー、「鉄筋のあき」の意味も併せて勉強しましょうね。

鉄筋のスペーサーとは?1分でわかる意味、ドーナツ、ピッチ、ブロック

鉄筋のあきとは?1分でわかる意味、最小値、粗骨材との関係

かぶりコンクリートとは?1分でわかる意味、役割、考え方、中性化との関係

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