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鉄筋コンクリート造の耐震性は高いです。木造、鉄骨造に比べて、地震が起きても揺れにくい(変形しにくい)特徴があります。
ただし、全ての建物で耐震性が高いとはいえません。適切な設計(建物の形状、構造部材のバランス、施工精度など)が関係します。
今回は鉄筋コンクリート造の耐震性と特徴、耐震等級の関係、ピロティの耐震性、築40年、50年の鉄筋コンクリート造マンションの耐震性について説明します。
鉄筋コンクリート造の詳細は、下記が参考になります。
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鉄筋コンクリート造の耐震性は高いです。鉄筋コンクリートは、圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋を組み合わせた材料です。
地震が起きると、大きな引張力と圧縮力が作用します。鉄筋コンクリートの部材は、これらの力に抵抗します。
鉄筋コンクリート造は、適切に設計、施工された場合、高い耐震性を発揮します。一方で、注意すべき点もあります。下記に示します。
・ピロティ
・1981年以前に設計されたもの
・バランスの悪い建物
まずピロティには注意したいです。ピロティとは、下図に示す構造です。
ピロティについては後述しますが、耐震性に不安があります。
1981年以前に設計された建物は、旧耐震設計法により構造設計されています。
これらの建物は、地震による倒壊事例が多く耐震性に問題があります。
下図をみてください。極端に描きましたが、パッと見てバランスの悪い建物は、耐震性に不安が残ります。
また、耐震壁がある面に集中するなど、耐震要素のバランスが悪い建物の耐震性も不安です。
上記に示した耐震性に不安が残る建物も、適切に設計されていれば問題ないでしょう。
一方で、「建物の耐震性を確認すること(計算、図面の内容)」は、一般市民の方にはできない、という矛盾点もあります。
とはいえ、新耐震設計法により構造設計された鉄筋コンクリート造の建物は、地震により倒壊した事例が少ないことも事実です。
1981年以降に設計された鉄筋コンクリート造は、比較的耐震性が高い、と考えても良いかと思います。
鉄筋コンクリート造は、鉄骨造や木造に比べて
揺れにくい(変形量が小さい)
特徴があります。理由として、
・鉄筋コンクリート造の方が、部材が大きい(よって剛性が高い)
・鉄筋コンクリート壁(耐震壁)が配置されることが多い。鉄筋コンクリート造の壁は耐震性が高い
などが挙げられます。
※耐震壁の意味は下記が参考になります。
耐震壁ってなに?すぐに分かる耐震壁の意味と役割、耐力壁との違い
下図をみてください。左側が鉄骨造の柱、右側が鉄筋コンクリート造の柱です。
鉄骨造に使う柱は、主に「鋼管」です。一方、鉄筋コンクリート造の柱は中実断面(中身が詰まった断面)です。
鉄骨(鋼)はヤング係数や強度が、鉄筋コンクリートより大分高いです。よって、断面を小さくできます。
ほとんどの鉄骨部材は、鉄筋コンクリート造のように中実断面を使わず、「中空断面」です。
断面の大きな鉄筋コンクリート造の方が、「揺れにくい」というのはイメージ頂けると思います。
※中実断面、中空断面の意味は下記が参考になります。
中実材とは?1分でわかる意味、読み方、断面二次モーメント、中空材との違い
中空断面とは?1分でわかる意味、断面係数、断面二次モーメント、面積、応力度、座屈の関係
また、鉄筋コンクリート造の壁は、柱や梁に比べてとても固い部材です。壁の多い建物は揺れにくく、耐震性の高い構造と言えます。
下図を見てください。細い柱と梁で組み立てた構造と、鉄筋コンクリートの壁でつくった構造があります。
どちらが「揺れにくい建物」でしょうか。明らかに壁の多い建物ですよね。
なお、木造や鉄骨造の壁(外壁)は、地震力への抵抗を全く考えていません。鉄筋コンクリート造の耐震壁とは別物です。
住宅には、地震に抵抗する度合いを示す「耐震等級」を定めることがあります。耐震等級には、「1、2、3」があります。
耐震等級3が最も耐震性が高く、耐震等級1が建築基準法と同程度です(最低限の耐震性)。
耐震等級の意味は、下記が参考になります。
耐震等級とは?1分でわかる意味、建築基準法との関係、マンションの等級
鉄筋コンクリート造のピロティとは、下図に示す構造です。
1階が駐車場で、2階以上が住戸のマンションなどが該当します。上図をみてください。
2階以上は耐震性の高い「鉄筋コンクリート壁」があります。1階は柱だけです。1階が壊れそうにみえますよね。
適切に設計されていれば問題ないです。どこかで無理をしている構造にみえます。個人的には、積極的に採用したくない構造形式です。
現時点(2019年)からの築40年、50年は、設計された年が1981年以前です。前述したように、耐震性の低い鉄筋コンクリート造のマンションです。
今回は鉄筋コンクリート造の耐震性について説明しました。理解頂けたと思います。
鉄筋コンクリート造の耐震性は高いです。ただし本来の性能を発揮できれば、という限定付きです。
十分な性能を発揮するには、適切な設計と施工が求められることを覚えてください。
一般市民の方は、まずは新耐震と旧耐震を見分けること(設計年など不動産屋さんにお尋ねください)が大切です。
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