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ネガティブフリクションは、杭に作用する逆向きの摩擦力です。
通常、摩擦力は荷重に対する抵抗力として働きますが、ネガティブフリクションは荷重として作用します。
今回は、ネガティブフリクションの意味、原理と沈下の関係、対策について説明します。※杭の意味・種類は下記が参考になります。
杭の種類はどのくらい?設計者が教える杭の種類と各杭の特徴、施工方法
関連用語に「周面摩擦力」があります。詳細は下記をご覧ください。
周面摩擦力とは?1分でわかる意味、計算、n値、粘着力との関係
ネガティブフリクションとは、杭の周面に荷重として作用する摩擦力のことです。
通常、杭の摩擦力は、荷重に対する支持力として働きます。摩擦力を利用した杭を、摩擦杭といいます。
※摩擦杭は下記が参考になります。
摩擦杭ってなに?現役設計者が教える摩擦杭の特徴と、メリット・デメリット
しかし、ネガティブフリクションは「荷重」として作用するので、杭の先端支持力、杭体への影響など考慮します。
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ネガティブフリクションの原理を簡単に説明します。
下図をみてください。杭に荷重が作用するとき、杭は沈下します。
このとき、杭周辺の地盤が沈下しなければ、又は周辺地盤の沈下量が杭沈下量より小さければ、杭周面の摩擦力は支持力として期待できます。
摩擦杭に適した地盤(N値の高い地盤)では、上記の原理が利用できます。
一方、圧密沈下が起きやすい地盤(過圧密状態にない粘土地盤など)では、杭の沈下量よりも、杭周辺地盤の圧密沈下量が大きい可能性があるのです。
このとき、摩擦力は支持力ではなく、荷重として作用します。
よって、圧密沈下量が大きな地盤では、ネガティブフリクションに注意します。N値、圧密沈下の意味は下記が参考になります。
n値とは?1分でわかる意味、目安、求め方、地盤、n値40や50の地耐力
圧密沈下とは?1分でわかる意味、原因、即時沈下の違い、粘性土との関係
さて、ネガティブフリクションの原理を噛み砕いてお話ししましょう。ボールペンを用意してください(鉛筆でも良いです)。
ペンを杭と思ってくださいね。では、ペンを右手で持って、左手で辺の先を下側へ引張ります。
このとき、右手には「上向きの力」を感じたはずです。これが支持力として期待できる摩擦力です。
ペンを下側に引っ張る動作は、「杭が沈下した」と同義です。
次は2人で実験します。1つのペンをAさんが引っ張ります。Bさんは、Aさんよりも強く引張ります。
Bさんが強く引っ張った分、ペンは下に引っ張られました。つまり、ペンには下向きの力が作用しています。当然ですよね。
Aさんの引っ張る動作を杭の沈下、Bさんの引っ張る動作を杭周辺地盤の圧密沈下と考えます。
これがネガティブフリクションの大まかな原理です(※ネガティブフリクションをイメージするための説明で、
正確な意味とは異なります。ご了承ください)。
専門的にいえば、「杭と周辺地盤の相対変位が生じ、地盤の沈下が大きいとき」ネガティブフリクションが生じます。
ネガティブフリクションの詳細、専門的な内容を知りたい方は、建築基礎構造設計指針p.250が参考になります。
ネガティブフリクションの対策として、SL杭が用いられます。
SL杭とは、ネガティブフリクションが起きないよう、杭周面に摩擦力が働かないすべり層を設けた杭です(特殊な塗装が施されている)。
または、鋼管の中に杭を設ける方法もあります。外側の鋼管が地盤と接しているので、杭と地盤は切り離されています。
ネガティブフリクションは、杭よりも地盤の沈下が大きいため生じます。
また、杭と地盤は良くも悪くも、「摩擦力が働く状況」なので、これを「摩擦力が働かない状況」にすれば良いのです。
言い換えれば、ネガティブフリクションは杭に地盤がぶら下がっている状況なので、杭と地盤を切り離します。
これが、ネガティブフリクション対策の考え方です。
今回はネガティブフリクションについて説明しました。ネガティブフリクションは、杭に作用する逆向きの摩擦力です。
圧密沈下が起きやすい地盤では、負の摩擦力に注意してください。対策としては、SL杭を用います。
また、負の摩擦力を考慮しても、杭支持力に十分余裕があれば良い、という考え方もありますね。
杭の支持力など、下記も参考になります。
極限支持力とは?1分でわかる意味、許容支持力との違い、求め方、安全率
周面摩擦力とは?1分でわかる意味、計算、n値、粘着力との関係
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