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支持層が何十メートルも下にあるとき、場所打ち杭を用います。場所打ち杭は既製杭と違って、大きな支持力が取れる点が魅力です。場所打ち杭の支持力は建築基準法に明記される計算が一般的です。今回は、そんな場所打ち杭の許容支持力の算定について説明します。
場所打ち杭、支持力、許容支持力の意味は下記が参考になります。
場所打ち杭とは?1分でわかる意味、コンクリート強度、鉄筋かご、杭径
支持力とは?1分でわかる意味、計算、地耐力との違い、地盤との関係
許容支持力とは?1分でわかる意味、n値、qa、地耐力との違い、杭との関係
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場所打ち杭に限ったことではありませんが、杭の支持力は3つの式で算出された値の最小値とします。
まず1つ目は、地盤から決まる杭の支持力です。これをRa1とします。2つ目が、杭の断面積から決まる支持力、Ra2としましょう。最後が、杭の材料強度より決まる支持力です。
杭の支持力の計算方法は下記も参考になります。
許容支持力とは?1分でわかる意味、n値、qa、地耐力との違い、杭との関係
極限支持力とは?1分でわかる意味、許容支持力との違い、求め方、安全率
地盤から決まる杭の支持力とは、例えば支持層のN値が低ければ、支える力が少なそうな気がします。それを表した式です。一般的に次式で算定します。Ra1は、
Ra1=(Rp+Rf)/3
Rp=150NAp
Rf=(10/3×Ns×Ls+1/2×qu×Lc)×φ
です。Rpは杭の先端支持力、Rfは杭周面の摩擦支持力です。各項を見てわかるように、N値が大きい方が支持力は大きくなります。下記も参考にしてください。
極限支持力とは?1分でわかる意味、許容支持力との違い、求め方、安全率
周面摩擦力とは?1分でわかる意味、計算、n値、粘着力との関係
Rpの式をみてください。Nは平均N値と呼ばれるものです。建築基準法では、下側1D、上側4Dの範囲で平均N値を算定せよ(Dは直径)、と書いてあります。実際は、これに限らず各杭メーカーの商品ごとに取り方は違います。
ちなみに平均N値の計算は簡単で、「各層厚×N/総層厚」で算定できます。例えば、杭先端位置のN値が60、杭先端上下1DのN値が50と考えます(仮に層厚が1m毎にN値が分かっているとする)。
このとき平均N値は、
N=(60×1+50×1+50×1)/3=53.3 ⇒50
です。Apは杭材の断面積です。注意したいのは、杭の直径が分かっているからと言って、自分でApを計算しないこと。各メーカーによって断面積の評価が違うからです。カタログをみましょう。Ap=0.196㎡と仮定します。
「150」は支持力係数です。これは杭の種類によって異なります。例えば、埋め込みの既製杭だと200、打ち込み杭(騒音の問題で使っていません)は300というように。また、各杭メーカーによって値は様々です。
さて、先端支持力Rpは、
Rp=150NAp=150×50×0.196=1470 kN
です。
平均N値、支持力係数の詳細は下記をご覧ください。
杭の支持力係数は?1分でわかる意味、支持力計算、打撃杭、埋込み杭との関係
杭の周面には、土と杭との摩擦力が発生しています。下式をみると、どうやら砂層の方が、摩擦力が大きいと勘違いしそうです。
Rf=(10/3×Ns×Ls+1/2×qu×Lc)×φ
しかし、実際には粘土層の摩擦力が砂層の値より2倍程度大きくなります。粘土の一軸圧縮強度はN値で換算して良いと定説があります。仮にNs、Nc共に10としましょう。Ls=Lc=5mです。一軸圧縮強度はN値から換算すると、
qu=12N=12×10=120です。よって、摩擦力Rfは
Rf=(10/3×10×5+1/2×120×10)×φ
=(166.6+600)×φ
となり、杭の周長は同じなので、砂層と粘土層でざっと3倍の開きがあります。
周長φ=0.5×3.14=1.57
よって、
Rf=(166.6+600)×1.57=1203 kN
となります。
結果、地盤から決まる許容支持力Raは
Ra1=(Rp+Rf)/3=(1470+1203)/3=891 kN
です。
場所打ち杭の支持力は、支持力を過大にとれないようRa2の式があります。いくら良い地盤で、材料強度が高くても必要以上に支持力をとれません。
Ra2の式は、
Ra2=2500Ap=2500×0.196=490 kN
です。
場所打ち杭はRC造の柱とも言えます。常時圧縮力が作用する部材ですから、コンクリートの圧縮強度を下回っている必要があります。
Ra3の式は、
Ra3=Fc/4×Ap=30/4×0.196×1000=1470kN
です。ポイントはコンクリートの設計基準強度の安全率が1/4であること。上部構造では1/3ですが、さらに低減しています。※安全率の意味は下記をご覧ください。
結果、場所打ち杭の許容支持力は、Ra1~Ra3の最小値をとります。よって、
Ra1=891 kN
Ra2=490 kN
Ra3=1470kN
ですから、Ra=490kNとなります。
今回、求めた場所打ち杭の支持力は実務でもすぐに使えますが、各メーカーによって支持力の考え方に差があります。平均N値1つとっても違います。
ただ、考え方は変わりませんし、計算の流れはざっくり掴めるでしょう。下記も併せて参考にしてください。
許容支持力とは?1分でわかる意味、n値、qa、地耐力との違い、杭との関係
極限支持力とは?1分でわかる意味、許容支持力との違い、求め方、安全率
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