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杭は、大きく分けて2つの種類があります。1つは、強固な支持層まで杭を到達させることで先端の大きな支持力を得る方法です。先端支持力杭といいます。もう1つは、杭の周面の摩擦力に期待して支持力を得る方法です。これを摩擦杭といいます。
今回は、そんな摩擦杭に着目して、摩擦杭の特徴や、メリット・デメリットについて説明します。摩擦杭と似た用語に、支持杭があります。支持杭の意味は、下記が参考になります。
支持杭とは?1分でわかる意味、支持力、摩擦杭との違い、n値の関係
また、杭の種類は下記をご覧ください。
杭の種類はどのくらい?設計者が教える杭の種類と各杭の特徴、施工方法
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摩擦杭とは、杭周面の摩擦力で建物の重さを支える杭です。そもそも摩擦力とは、物体の表面がずれ合うときに生じる抵抗力です。
摩擦杭は、杭の表面と杭の表面に接する土との間に生じる抵抗力を利用しています。よって摩擦杭の支持力の大きさは、基本的に3つの要因で決まります。
1から順に説明しますね。まずはN値またはquとは、ざっくり言えば地盤の強度です。
N値は、砂質地盤の強度を表す指標の1つ。N値が大きければ大きいほど固い地盤だと考えてください。N値は60が最大値ですが、N値60は岩盤レベルです。逆にN値0とは、泥のような柔らかい地盤で、杭の自重で沈下することもあります。
N値の意味は、下記が参考になります。
n値とは?1分でわかる意味、目安、求め方、地盤、n値40や50の地耐力
quは粘土質地盤の強度を表す指標の1つです。一軸圧縮強度といいます。考え方はN値と同じで、quの値が大きいほど固い地盤だと考えます。一般の方は、粘土を柔らかい地盤だと考えがちですが、そうではありません。quが大きい地盤では、砂質地盤に負けず劣らず強いのです。
一軸圧縮強度quの意味は、下記をご覧ください。
一軸圧縮強度とは?1分でわかる意味、n値との関係、単位、粘着力
以上のように、N値とquが大きいほど良い地盤で、悪いほど弱い地盤です。当然、摩擦力の大きさは、N値またはquが大きいほど大きくなります。
2つめは、杭径です。摩擦力の大きさは、接する面が多いほど大きくなります。杭は円形なので、杭径が大きくなると杭の周長も大きくなりますね。つまり、杭と地盤で接する面が多くなるので、摩擦力は大きくなるのです。杭径の意味は下記をご覧ください。
杭径とは?1分でわかる意味、どこの長さ?読み方、記号、計算と決め方
3つめは、杭と地盤が接する長さです。これは2つめの杭径と関係しています。杭と地盤で接する面積が大きいほど、摩擦力は大きくなります。つまり、同じ杭径でも杭長が大きい方が摩擦力は大きいのです。下図を見てください。左図は、杭が短い場合で、右図は杭が長い場合。杭径や地盤の状態は全く同じと考えます。
するとどうでしょうか。2つの杭を同時に引き抜こうとしたとき、やっぱり右図の杭のほうが、抜くのが大変そうですよね?その感覚は正しくて、杭が長いということは、それだけ摩擦力が大きく、引っ張る力も大きくないと杭を引き抜けません。
以上のように、摩擦杭の支持力は主に3つの要因から決定されます。
摩擦杭の特徴は、言うまでもなく摩擦力で建物を支えることです。前述したように、杭の摩擦力は地盤の強度、杭径、杭長で決定されます。よって各メーカーは、より大きな摩擦力を得るために杭に工夫を施しています。
その1つが杭周りの突起です。摩擦力は、地盤と接する面が多いほど大きくなります。普通の円形よりも、円形に凸形状を設けたほうが地盤と接する面が多くなります。また、杭の根本周りで杭径を大きくし、地盤と接する面積を大きくする方法もあります。
また、摩擦杭は固い支持層に到達させる必要がないことも特徴の1つです。先端支持力杭は、杭先端を固い地盤に埋め込むことで大きな支持力を得ます。しかし摩擦杭は、杭周面の摩擦力で支持するので、杭先端が支持層に到達しなくてもOKです。但し、それに付随するデメリットも存在します。後述しましょう。
※杭の摩擦力の詳細は下記を参考にしてください。
周面摩擦力とは?1分でわかる意味、計算、n値、粘着力との関係
まず摩擦杭のメリットを説明します。下記の通りです。
摩擦杭の大きなメリットは経済性です。地盤に明確な支持層が無いとき、支持層がとても深い場合は先端支持力杭を用いると杭が長くなりすぎる場合があります。一方、摩擦杭は支持層が無くても採用できるので、必要な摩擦力が保持できる杭長にすれば済みます。
当然、杭は短いほど安くなります。
次に摩擦杭のデメリットについて、下記に明記しました。
摩擦杭は明確な支持層を必要としません。これはメリットですが、裏を返せばデメリットにもなりえます。明確な支持層が無い分、信頼性に劣るのです。先端に固い地盤があれば、沈下の恐れはありませんが、無い場合は杭が沈下する恐れもあるからです。
特に、土の力学性状は不明確な部分が多く、実際の計算以上に杭が沈下する恐れもあります。十分注意したいですね。
また、液状化が起きる地盤では、摩擦力を考慮できません。つまり、摩擦杭自体使うことができません。地震時に液状化が起きると、土は液体のようになり、固さを失います。これは地盤のN値が0になるようなものです。
杭を液体の中に入れるとどうなりますか?そのまま杭は沈んでしまいますよね。液状化が起きると、そんな状況になります。新潟地震が起きたころ、摩擦杭を用いた建物はかなり被害を受けました。その原因が、液状化により摩擦杭の支持力が失われたことにあるようです。
以上のように、摩擦杭は経済的に有利な面が多い分、十分な安全性の根拠が無いと使用は難しいと言えます。
今回は摩擦杭について説明しました。摩擦杭の特徴やメリット、デメリットについて理解できたと思います。下記も併せて勉強しましょうね。
支持杭とは?1分でわかる意味、支持力、摩擦杭との違い、n値の関係
杭の種類はどのくらい?設計者が教える杭の種類と各杭の特徴、施工方法
周面摩擦力とは?1分でわかる意味、計算、n値、粘着力との関係
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