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土圧ってなに?良く分かる土圧の算定方法や土圧の種類

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土圧とは何でしょうか。言葉の意味だけを考えれば、「土の圧力」です。しかし、実際には土圧の種類は複数ありますし、それぞれ意味が異なります。また、土圧は通常の荷重に比べて算定方法が特殊な側面もあります。


あまり馴染みがないだけに、理解しにくいですよね。今回は、そんな土圧について説明しましょう。擁壁は、土圧に対して設計します。擁壁の設計は、下記が参考になります。

擁壁の設計(1)擁壁と塀の違い、L型擁壁と逆L型擁壁とは?

擁壁とは?1分でわかる意味、目的、読み方、種類、土留めとの違い

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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土圧ってなに?

土圧とは、土の圧力です。意味としてはそれだけですが、私たちの日常生活で「土圧が作用しているんだ」と認識することは、まず無いでしょう。


下図をみてください。例えば擁壁は、土圧が作用する構造物で代表的なものです。

擁壁を設けることで、土が右側の空間へ流れないようにする目的があります。仮に、この擁壁が無くなったと考えてください。下図のように、土は右側の空間へ崩れますよね。土は固体ではありません。

擁壁が無くなったとき、土が崩れるということは、擁壁は常に土から押されていたと考えることもできます。これが土の圧力すなわち「土圧」です。土圧は土による荷重なので、前述した擁壁や、地下構造物、地盤レベルに段差がある場合などに作用します。擁壁の設計は、下記が参考になります。

擁壁の設計(1)擁壁と塀の違い、L型擁壁と逆L型擁壁とは?

片土圧、偏土圧ってなに?

土圧のことを理解して頂くために、「片土圧、偏土圧」について説明します。前述した「土圧」とは、厳密に言えば「片土圧、偏土圧」を意味します。以降、統一して偏土圧という用語で説明を進めますね。


さて、偏土圧は偏りのある土圧です。下図をみてください。

左図は、ある板に対して、左側から土圧が作用し、さらに右側から土圧が作用しています。この状態を例えるなら、砂場の砂に板を差し込んだ状態です。板は砂に挟まって、動かないと思います。


動かないということは、力が釣り合っています。左図の状態は、左と右から土圧が同じだけ作用しているので、力が釣り合っているのです。


次に右図をみてください。右図は、板に対して左側のみ土圧が作用します。簡単にイメージできると思いますが、板は右側へ倒れてしまいます。このように、片側から作用する土圧のことを偏土圧あるいは片土圧と言います。


「土圧が作用する」という意味は、前述した「偏土圧が作用する」という意味に等しいのです。両側から土圧が作用しているなら、それは力が作用していない状態と同じだからです。

土圧の単位と、土圧の大きさ

土圧の単位は下記となります。

また、後述しますが、土圧は深い位置になるほど大きな値で算定されます。下図をみてください。土圧は深い位置になるほど大きくなる、三角形の荷重分布です(地表面載荷重を無視)。

土圧の種類と意味

続いて土圧の種類と意味について説明します。実は土圧には下記の種類があります。

それぞれの意味を確認しましょう。

主働土圧

主働土圧とは、壁(部材)が土から離れる側に移動したときの圧力です。例えば擁壁に土圧が作用すると、擁壁は少しでも変形しますよね。擁壁が土から離れる側に移動するため、擁壁は主働土圧を算定し設計します。

主働土圧とは?1分でわかる意味、計算式、主働土圧係数の求め方、受働土圧との違いは?

受働土圧

受働土圧とは、壁(部材)が土に向かって移動した場合の圧力です。例えば地震時には、揺れることにより構造体が土に向かって移動することがあります。これが受働土圧です。受働土圧は、主導土圧や静止土圧と逆方向の加力です。

受働土圧とは?1分でわかる意味、計算式、主働土圧との違い、受働土圧係数kpとは?

静止土圧

静止土圧は、構造体や土が静止状態にあるときの土圧です。上記の2つに比べて、一番簡単そうに思えます。実は最も厄介です。例えば、前述した擁壁の設計では、本来は擁壁も、土も力が釣り合っている状態のため、静止土圧と考えられます。


しかし、1/1000程度の微小な変形でも静止土圧から主導土圧に移行すると考えられ、その実態を把握することは困難です。よって、設計では静止土圧ではなく主働土圧を用います。

静止土圧とは?1分でわかる意味、計算式、主働土圧、受働土圧との違い、静止土圧係数とは?

各土圧の算定方法

前述した各土圧の算定方法を説明します。実は、土圧の計算はそんなに難しくありません。なぜなら、土圧の種類毎に「係数」が変わるだけです。共通する土圧の算定式は下記です(簡単のため粘着力は無視します)。

Kは各土圧係数、rは土の単位体積重量、zは地表面から土圧を求めうようとする位置までの深さ、Koは静止土圧係数、qは地表面載荷重です。


土圧は横向きの力ですが、実際には地表面の重量も影響します。例えば、歩道脇にある擁壁と、車やトラックが絶えず走る近くの擁壁では、地表面に作用する荷重が異なります。そこで、地表面に作用する力、

を土圧に加えて構造体の設計を行います。なお、静止土圧係数は下記より算定します。

φは内部摩擦角です。一応、上記の計算式が示されていますが、砂質土、粘性土共に内部摩擦角φ=30°として、

が一般的に使われています。土圧係数、内部摩擦角φの意味は、下記が参考になります。

土圧係数とは?1分でわかる意味、求め方と内部摩擦角の関係、ka、k0の意味は?

N値、内部摩擦角とは?ざっくり地盤の特性を知る5つのTIPs

主働土圧

主働土圧を算定する式は下記です。

Kaを主働土圧係数といいます。主働土圧係数は下式で算定します。

主働土圧係数kaの公式

φは背面土の内部摩擦角です。

主働土圧とは?1分でわかる意味、計算式、主働土圧係数の求め方、受働土圧との違いは?

受働土圧

受働土圧を算定する式は下記です。

Kpを受働土圧係数といいます。受働土圧係数は下式で算定します。

土圧係数のkp

受働土圧とは?1分でわかる意味、計算式、主働土圧との違い、受働土圧係数kpとは?

静止土圧

静止土圧を算定する式は下記です。

前述したように、Koを静止土圧係数といいます。繰り返しになりますが、静止土圧係数は下式で算定します。

土圧係数のk0

静止土圧とは?1分でわかる意味、計算式、主働土圧、受働土圧との違い、静止土圧係数とは?

まとめ

今回は土圧について説明しました。あまり馴染みが無くて、理解に時間がかかると思います。土圧の算定方法自体は難しくありませんので、要は慣れだと思います。土圧が作用する擁壁、底版など下記も参考になります。

底版とは?1分でわかる意味、読み方、底盤や底板との違い、長さ

擁壁とは?1分でわかる意味、目的、読み方、種類、土留めとの違い

土圧係数とは?1分でわかる意味、求め方と内部摩擦角の関係、ka、k0の意味は?

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