この記事の要点
マトリクス変位法(トラス編 2/3)では、全体剛性マトリクス[K]を組み立て、境界条件を適用して変位ベクトル{u}を求める手順を解説する。
各部材の剛性マトリクスを座標変換してから組み合わせることで、全体系の変位と反力を一括して算定できる。
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1自由度系で角度がない部材についての剛性マトリクスは『マトリクス変位法(トラス)【1/3】』で以下のように求めました。
ですので、
以上の式は、部材の節点に対して変形の自由度を材軸方向のみと考え、節点に発生する力も材軸方向のみと設定しています。
よって、両端の節点に対して式を組み立て、マトリクス表示すると式が出来上がりました。
しかし、本来のトラス部材は様々な角度を持ち、部材力や変形の自由度もxy方向持っているはずです。これを考慮した図を以下に示します。
前節では、あまり意識していませんでしたが、一般的に部材は角度を持ち、各々の部材で角度は異なります。
これは、部材ごとに座標系がことなるという意味と同義です。よって、部材が持っている座標系を部材座標系と定義します。
また、空間に固定した座標系を全体座標系と呼びます。部材座標系と全体座標系の差異から部材の角度を知ることができますね。
以上のように、トラスは1節点で2自由度を持ちます。1自由度で求めた剛性マトリクスの関係式を拡張すれば求めることができますね。
上式を簡略化すると、次のようになります。
この式が部材座標系の剛性方程式となります。
混同しやすい用語
剛性マトリクス([K])
構造物全体の剛性を行列で表したもの。各部材の剛性マトリクスを組み合わせて作る。[K]{u}={f}の関係で変位{u}を求める。
柔軟性マトリクス([F])
剛性マトリクスの逆行列。[F]={u}/[K]={K}?1の関係。力から変位を求めるときに使う。力法(柔軟性法)の基礎。
全体座標系
構造物全体を表す座標系(通常はXY)。各部材の剛性マトリクスは部材座標系で作り、座標変換して全体座標系に変換してから組み合わせる。
部材座標系
各部材の軸方向を基準とした座標系。部材剛性マトリクスはこの座標系で定義される。傾いた部材は変換マトリクス[T]を使って全体系に変換する。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 部材剛性マトリクス作成 | 各部材の [k](部材座標系)を求める | EI/L3 や EA/L をもとに作成 |
| 2. 座標変換 | 変換マトリクス[T]で部材系→全体系に変換 | 傾いた部材は [T]?[k][T] を計算 |
| 3. 全体剛性マトリクス組み立て | 各部材の [K]? を節点番号に従って重ね合わせる | 同一節点の成分は加算 |
| 4. 境界条件処理 | 変位が既知の節点の行・列を削除 | 支点(u=0)の行列を消去 |
| 5. 変位の計算 | {u}=[K]?1{f} を解いて節点変位を求める | 線形方程式として解く |
重要公式:{f} = [K]{u}(力 = 全体剛性マトリクス × 変位)
| 比較項目 | 力法(柔軟性法) | 変位法(剛性法) |
|---|---|---|
| 未知量 | 余剰力(応力) | 節点変位 |
| 連立方程式 | 適合条件(変形の整合) | 平衡条件(力のつり合い) |
| マトリクス | 柔軟性マトリクス [F] | 剛性マトリクス [K] |
| 適した構造 | 不静定次数が低い構造 | 自由度が少ない構造(コンピュータ向き) |
Q. マトリクス変位法で「境界条件の処理」とは何を指すか?
A. 変位が既知(支点や固定点でu=0など)の節点に対応する全体剛性マトリクスの行と列を削除すること。これにより縮小された方程式系 {f}=[K']{u'} を解く
Q. 剛性マトリクス[K]と柔軟性マトリクス[F]の関係は?
A. [F]=[K]?1(互いに逆行列の関係)。{u}=[F]{f}=[K]?1{f}。力から変位を求めるときに[F]を、変位から力を求めるときに[K]を使う
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試験での問われ方|管理人の一言
マトリクス変位法は一級建築士試験の応用問題で出題されることがある。全体剛性マトリクスの組み立てと境界条件の処理(既知変位の行・列を削除する)が最大のポイント。手順を順番に押さえれば解けるようになる。