この記事の要点
マトリクス変位法(トラス編 3/3)では、求めた変位ベクトルから各部材の軸力・反力を逆算する後処理の手順を解説する。
部材ごとに{f}=[K]{u}を適用し、部材座標系に変換した変位から軸力を求める。計算結果の検証(全体の力の釣り合い)も行う。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この章で、いよいよマトリクス変位法編は完結です。まだ読んでいない人は、『部材力と材端力の違い』、『マトリクス変位法(トラス):剛性マトリクスの組み立てと解法』、『マトリクス変位法(トラス)【2/3】』からどうぞ。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
部材座標系による剛性マトリクスを求めたら、それを全体座標系になおす必要があります。その図を示したものが以下となります。
座標変換に関しては、弾性力学の章で深く説明していますので、そちらを確認してください。結果として、z軸まわりの座標変換マトリクスは、以下のように示されます。
この問題は平面で取り扱っているので、
となります。
以上より、部材座標系と全体座標系の関係を式にすると、外力および変位は
となりますね。以上の関係は節点2についても同様に成り立つので、纏めると
となります。以上が、部材座標系での外力及び変位と全体座標系での外力及び変位の関係です。上式を簡略化して書くと、
Qが座標変換マトリクスです。よって、全体座標系での外力及び変位は、
となります。「-1」が上添え字で付いているのは、逆行列で、「T」は転置行列という意味ですね。以上より、全体座標系の剛性マトリクスを計算すると、
ですから、
となります。実際に、このマトリクスの中身を計算してみると(ここでは省略しますよ…)、
となりました。
混同しやすい用語
部材軸力の算定
求めた節点変位{u}を部材座標系に変換し、部材剛性マトリクスを掛けて部材端力(軸力)を求める。
全体座標から部材座標への変換([T]{u})が必要。
支点反力の算定
全体剛性方程式[K]{u}={f}に求めた{u}を代入し、境界条件で省いていた行を含めて計算することで支点反力を求める。
引張軸力(正値)
部材を引き伸ばす方向の軸力。
マトリクス変位法では符号規則を統一して計算する必要があり、正の値が引張を意味することが多い。
圧縮軸力(負値)
部材を縮める方向の軸力。
負の値で表されることが多い。
計算後の符号を確認して引張・圧縮を判断する。
| 後処理ステップ | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1. 節点変位の取得 | [K']{u'}={f'}を解いて未知節点変位を求める | 境界条件処理後の縮小系を用いる |
| 2. 全体→部材座標系変換 | [T]{u}で全体座標系の変位を部材座標系に変換 | 傾いた部材は変換マトリクス[T]が必要 |
| 3. 部材端力の計算 | [k]([T]{u})で部材端力(軸力・せん断力)を求める | 符号規則を事前に統一しておく |
| 4. 支点反力の計算 | 全体剛性方程式に{u}を代入して固定支点の力を求める | 境界条件で省いた行を使って計算 |
| 5. 検証(釣り合い確認) | 全節点での力の釣り合いを確認 | ΣF=0が成立すれば計算正確 |
| 比較項目 | 手計算法(たわみ角法等) | マトリクス変位法 |
|---|---|---|
| 適用範囲 | 比較的単純な構造 | 複雑な多節点・多部材構造 |
| 計算手順 | 構造ごとに方程式を立てる | 体系的なマトリクス操作 |
| コンピュータ適合性 | 低い | 高い(FEMの基礎) |
| 誤りの検出 | 難しい(手順依存) | 釣り合い検証が可能 |
Q. マトリクス変位法で後処理として「支点反力の計算」を行う方法は?
A. 全体剛性方程式[K]{u}={f}に求めた全節点変位{u}(支点変位=0を含む)を代入する。境界条件処理で省いた支点に対応する行から支点反力が得られる
Q. 「全体釣り合いの検証」とはどういう操作か?
A. 求めた支点反力と外力を全構造系に適用してΣFx=0、ΣFy=0、ΣM=0が成立するか確認する。成立すれば計算が正しい
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
マトリクス変位法の後処理(変位から軸力・反力を求める)は計算ミスが起きやすいステップ。
座標変換の向きと符号規則を最初に決めてから計算を始めよう。
計算後は全体釣り合いで結果を検証する習慣をつけることが大切。