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柱梁耐力比の算定と崩壊形の確認

柱梁耐力比とは、簡単にいうと梁の全塑性モーメントと柱の全塑性モーメントの比率です。前回説明したように、計算ルート3では下式により崩壊形の判定を行います。


こちらは僕も1冊持っている鋼構造の本です。内容が分かりやすく、学生と実務初心者にもおすすめです。わかりやすい鉄骨の構造設計

Mc/min(1.5Mg, 1.3Mp)


つまり柱梁耐力比が大きいほど、柱が強いと言えます。今回は、実際に柱梁耐力比を算定しましょう。


・柱頭は柱ヒンジ、柱脚は柱脚ヒンジになる。

柱梁耐力比は、柱耐力と梁耐力の比率だと説明しました。しかし単純に1本の柱に対して、1本の梁を比較しても意味がありません。


仕口部に着目すると、例えば中柱で上下に柱が付いているとき、2本の柱と2本の梁が仕口に対して取り付いています。このときは柱と梁、両者2本分の耐力を比較します。梁のZpを柱のZpとやや小さくしても、梁耐力は1.5倍するので、梁崩壊とならないかもしれません。チェックが必要です。


次に、側柱で上下に柱が付く場合。このときは、柱2本で梁1本となります。柱は2本の耐力なので、梁崩壊は明らかです。


また柱頭と柱脚は梁2本に対して柱1本となります。梁の耐力が2本分なので、柱ヒンジとなるのですが、これはどうしても避けられません。よって、建築基準法でもこの位置にヒンジが出るのは、致し方ないと許容されています。


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・柱と梁の全塑性モーメントとは

柱と梁の全塑性モーメントは簡単に算定できます。柱はZp(塑性断面係数)に軸力比による低減係数αを掛けます。よって下式で算定されます。


梁の耐力 Mg=Zp×F(左右の梁の取り付きを考慮して2本分、1本分を決める)

柱の耐力 Mc=α×Zp×F(上下の柱の取り付きを考慮して2本分、1本分きめる。)

低減係数α=1−4n^2/3 軸力比 [n≦0.5のとき]

低減係数α=4(1−n)/3 軸力比 [n>0.5のとき]


・パネル部の耐力の算定方法

次にパネル部の耐力を算定します。パネル部とは、いわゆる仕口部です。一般的な通しダイアフラム形式で言えば、ダイアフラム間に溶接された角型鋼管のこと。パネル部の耐力は軸力比で低減され、下式で求めます。


軸力比n≦0.5のとき、

Mp=Ve×F/√3

軸力比0.5≦n≦1.0のとき、

Mp=Ve×F/√3×2√n(1-n)


また、Ve=2×dc×db×tp


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dcはフランジ中心間距離、dbは柱の板厚中心間距離、tpは柱の板厚です。


・例題を解いてみよう。

例えば、柱□―500x500x19(F=295、Zp=6290)、梁H−588x300x12x20(F=235、Zp=3890)、軸力比=0.4とします。このときの、柱梁耐力比を確認し崩壊形を判定せよ。建物はS造5階建てで、当該仕口部は3階の中柱とする。


軸力比=0.4なので、低減係数を算定します。

α=1−4n^2/3=0.78


柱耐力 Mc=295×6290×0.78/1000000=1447

梁耐力 Mg=235×3890/1000000=914


パネル耐力は下式より、

Mp=Ve×F/√3

です。


Ve=2×dc×db×tp=2×(500−19) ×(588−20) ×19=10381904


Mp=Ve×F/√3=10381904×295/1.73/1000000=1770

以上より、

Mc=1447×2=2894

1.5Mg=914×2×1.5=2742

1.3Mp=1770×1.3=2301


min(1.5Mg, 1.3Mp)=min(2742, 2301)=2301


よって、

Mc/min(1.5Mg, 1.3Mp)=2894/2301=1.25>1.00 OK


です。

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