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ダイアフラムとは?鉄骨柱に必要な理由【建築用語を図解】

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ダイアフラムは「鉄骨造の柱と大梁の接合部を一体化するための鋼板」です。極めて簡単にいうと、鉄骨柱が壊れないように(専門的にいうと力を伝達させるため)必要な鋼板です。

ダイアフラム

上図のように、柱を輪切りにして「ダイアフラムを通して梁と接合」したものを「通しダイアフラム」といいます。


また、それぞれ下記のように溶接を行い、柱、ダイアフラム、大梁を一体化します。


ダイアフラムは鉄骨造の柱と梁の接合部で必ず必要です。今回は、ダイアフラムの意味、鉄骨柱になぜ必要か、図解でわかりやすく解説します。

通しダイアフラムとは?内ダイアフラムとの違い、メリット、板厚、材質は?

ダイアフラムに孔が空くときの検討方法とは?

ダイアフラムはなぜ必要か?

鉄骨柱と大梁を接合するとき、仮にダイアフラム無しでそのまま接合すると、大梁による応力で鉄骨柱が壊れます。


そのため鋼管の内側、あるいは外側には、鋼管が潰れてしまわぬようダイアフラムを付けます。


壊れてはまずいので、大梁による応力を負担できるようダイアフラムを設けるのです。


一般に、鉄骨柱は「角形鋼管」という中が空洞の箱形状の鋼材を使います。中が空洞なので、鋼管の板を空洞に向かって押したり、引っ張る力に弱いです。


トイレットペーパーの芯をイメージすると理解しやすいですね。手で握れば簡単にクシャと潰れます。


床の重さを支える大梁には、曲げモーメントが作用しています。このとき、梁の上下フランジには大きな圧縮力と引張力が生じます。


よって、柱と梁をそのまま接合すると、下図に示すように圧縮力と引張力により、鋼管の板が大きく変形します。


ダイアフラムが必要な理由

これを防ぐためには梁のフランジに生じる圧縮力、引張力に抵抗できるよう、柱を補強すべきで、そのための部材がダイアフラムです。

ダイアフラムが必要な理由2

ちなみに上図に示すダイアフラムの形式を「内ダイアフラム」といいます。


余談ですが、一般的なラーメン構造は、柱を角型鋼管、梁をH型鋼とします。なぜかというと、角型鋼管は断面に方向性がありません。


つまり、どの方向から地震力が作用しても断面性能に違いが無いのです。この性質は柱にとって好都合です。


また角型鋼管は、H型鋼のような開放型断面に比べて断面性能も高い。


そのため柱は角型鋼管が用いられます。梁はH型鋼を用いますが、やはり梁として断面性能が高いこと、納まりが良く鋼材量が減るために用いられます。


ダイアフラムは取り付け方および力の伝達メカニズムに応じて3種類あります。冒頭で解説した「通しダイアフラム」、前述した「内ダイアフラム」、「外ダイアフラム」です。


これらはあまり難しく考えなくても、これは鋼管の内側か外側に付くのかという違いで、柱と梁を一体化する、および中空の鋼管が潰れないためという目的は同じです。


なお、ダイアフラムにはSN490Cという鋼材を用います。SN490Cの特徴は、下記が参考になります。

SN490Cとは?1分でわかる規格、厚さ、重量、特徴、SN490Bとの違い

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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ダイアフラムの種類と特徴

ここではダイアフラムの3つの種類について説明します。

通しダイアフラム

通しダイアフラムは、現在最も主流な方式です。納まりが簡単で明快な点が好まれています。下図をみてください。


角型鋼管ををぶつ切りにして、ダイアフラムを取り付けます。ダイアフラムと鋼管は突合せ溶接により一体化されます。


さらに、ダイアフラムと梁のフランジを突合せ溶接で一体化します。


これが通しダイアフラムと呼ばれる形式です。ダイアフラムは厚い鋼板とし、梁フランジ厚の2サイズアップが原則です。通しダイアフラムの詳細は下記も参考になります。


通しダイアフラムとは?内ダイアフラムとの違い、メリット、板厚、材質は?

通しダイアフラムの厚みを決定する方法

内ダイアフラム

次に内ダイアフラムです。この形式は、鋼管の内側にダイアフラムを溶接する方法です。下図を見てください。


内ダイアフラム形式にすると、見た目はスッキリするのですが、ダイアフラムを鋼管内部に溶接するので少し面倒ですね。

外ダイアフラム

外ダイアフラムは、溶接が面倒なこと力の伝達が難しいなど、積極的に採用されない方法です。下図を見てください。


鋼管外側周囲とダイアフラムを一体化し、ダイアフラムと梁フランジを一体化する方式です。


御覧の通り、ダイアフラムの断面積(オレンジの部分)は、先に説明した方式よりも少ないですね。


そのため、外ダイアフラムはダイアフラムが大きくて不格好な納まりです。

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ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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ダイアフラムの納まりで注意すべき点

ここではダイアフラムの納まりで注意すべき点を2つまとめました。

梁に段差がある場合

梁に段差がある場合、ダイアフラムの納まりに注意が必要です。下図を見てください。


梁に段差がある場合、梁段差の距離Δtの大きさが重要です。一般的には100~150mm以上無ければ内ダイアフラムの溶接ができないと言われています。


要するに、中途半端な梁段差はダメ。段差をつけるなら極端につけるべきです。


このように鉄骨造では、納まりによって梁断面が左右されることもあります。


内ダイアフラムを入れることが困難な場合、ハンチを付けます。ハンチの詳細は、下記が参考になります。

ハンチってなに?現役設計者が教えるハンチの目的と種類

斜めの梁をダイアフラムで受ける場合

もう1つ注意したい点は、斜めの梁を受けるダイアフラムです。

ダイアフラムの厚みは、梁フランジの2サイズアップと説明しました。一般的な納まりの場合、その通りですが斜め梁を受けるなら、少し様子が違います。下図を見てください。

梁が斜めで、ダイアフラムは水平の向きです。そうなると、梁フランジの板厚は見かけより大きくなります(ちくわを真っすぐ切るのと、斜めに切るのでは、長さが違いますよね?)。


そのためダイアフラムを余分に厚くしないと、梁フランジを受けきれないのです。

まとめ

今回はダイアフラムについて説明しました。ダイアフラムは「鉄骨造の柱と大梁の接合部を一体化するための鋼板」です。


極めて簡単にいうと、鉄骨柱が壊れないように(専門的にいうと力を伝達させるため)必要な鋼板です。


今回の記事を読めばダイアフラムの概要は一通りマスターできると思います。通しダイアフラムの厚みの設定など、下記も勉強すると良いですね。

通しダイアフラムの厚みを決定する方法

ダイアフラムに孔が空くときの検討方法とは?

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