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溶接は鉄骨造における接合方法の1つです。溶接の種類や特徴に関しては、下記の記事が参考になります。
では、溶接部の強度や耐力は、どのように計算するのでしょうか。また、許容応力度や材料強度は、鋼材とどう違うのでしょうか。
今回は、溶接部の耐力の計算方法、強度、溶接部の許容応力度、材料強度について説明します。溶接部の耐力に関係する脚長、のど厚は下記が参考になります。
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溶接部の強度は、どのような値でしょうか。実は、溶接部は、鋼材と同等以上の許容応力度と材料強度を有している必要があります。溶接部は、接合部です。接合部は母材と同等以上の強度を持って、初めて性能を発揮できます。
例えば、高耐力の鋼材だとしても、溶接部の強度が低ければ、鋼材の強度がいくら高かろうと意味がありません。そのため、建築基準法では下記のように、溶接部の許容応力度と材料強度が定められています。
材料強度の意味は下記が参考になります。
まず溶接部の材料強度は下記となります。
許容応力度は、下記となります。
※短期時は上記の1.5倍の値とする。
以上のように、溶接部の許容応力度と材料強度は、鋼材の種類に応じた値となります。前述したように、490級鋼を使えば溶接部も490級に相当する強度を有する必要があります。溶接部の耐力が小さくならないよう、注意しましょう。
溶接部の耐力は、案外簡単に計算できます。特に、突合せ溶接に関しては「溶接部」としての計算は不要になる場合が多いです。なぜなら、突合せ溶接部は母材と同等以上の性能を持つように、鋼材と溶接部を一体化する溶接です。
つまり、母材に作用する応力に対して問題ないことを確認すれば、母材と一体化された突合せ溶接部の計算は、改めて行う必要は無いのです。そのため、突合せ溶接は「柱梁接合部」や「片持ち部材の端部」のように、曲げモーメントが作用する箇所にも使うことが可能です。
もちろん、せん断、軸力が作用する箇所に使っても、問題ありません。突合せ溶接に関しては下記の記事が参考になります。
一方、隅肉溶接は、溶接部の強度としては鋼材と同等以上ですが、母材と溶接部は完全に一体化されていません。よって、曲げモーメントが作用する箇所に、隅肉溶接を使うことはできません。
例えば、部材に軸力のみ作用する接合部に隅肉溶接を使います。ブレースの接合部が代表的です。よって今回は、隅肉溶接部の耐力の計算方法を説明します。
下図を見てください。これは、板と板を隅肉溶接で接合しています。このような接合を重ね継手といいます。板には引張力を作用させたとき、一体どのくらいの力で溶接部が壊れるのか、計算しましょう。なお、鋼材は400級鋼、長期荷重による引張力とします。
隅肉溶接部の計算過程は下記の通りです。
上記に沿って計算を進めましょう。まずはのど厚を計算します。のど厚とは、隅肉溶接部の有効寸法です。のど厚に関しては下記の記事の、隅肉溶接部の説明が参考になります。
今回、サイズ=9mmですから、のど厚は
です。隅肉溶接部のサイズと脚長の意味は、下記が参考になります。
次に溶接部の許容応力度を計算します。鋼材が400級鋼なので、F=235です。長期による荷重を想定する条件なので、許容応力度は
です。鋼材に対しては引張力が作用していますが、隅肉溶接部に対してはせん断力(溶接部がずれ合う力)という点に注意してください。そのため、√3で割った値とします。
次に有効長さです。溶接長さは全長に対して始端と終端を溶接サイズ分、控除します。なぜなら、始端と終端は溶接がミスが起きやすいためです。よって有効溶接長さは、
です。
これで溶接部の耐力を算定する準備が整いました。あとは、掛け算をするだけで溶接部の耐力が計算できます。溶接部の耐力は、
です。よって、
となります。これが隅肉溶接部の耐力の計算方法です。要点さえ押さえれば簡単ですよね。
今回は、溶接部の強度や耐力の計算方法、許容応力度などについて説明しました。特に、隅肉溶接部の耐力の計算方法は覚えておきましょう。計算自体は簡単ですから、計算の過程を大事にしてください。下記の記事が参考になります。
以上、今回の記事が参考になれば幸いです。溶接に関して理解できたら、次は高力ボルトについて勉強します。下記の記事が参考になります。
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