この記事の要点
溶接部の脚長とは隅肉溶接断面における実際の溶接金属の長さであり、サイズ(縦と横の等辺長さ)とは異なる概念である。
サイズはのど厚の計算基準となる設計値であり、脚長はサイズ以上でなければならないという管理基準として用いられる。
この記事では、溶接部の脚長とは何か、サイズとどう違うのか、のど厚とどう関係するのかを整理します。
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溶接部の脚長をご存じでしょうか。
溶接を行うとき必ず耳にする用語です。
紛らわしい用語として、「サイズ」があります。
溶接部の脚長とサイズを混同するケースも多くみられます。
溶接部の脚長がどの部分か、理解しないと大変です。
今回は、そんな溶接部の脚長について説明します。
似た用語で、「のど厚」があります。のど厚の意味、溶接部の強度計算は下記の記事が参考になります。
のど厚とは?溶接サイズとの関係・計算方法(サイズ×0.707)
溶接部の強度とは?溶接部の耐力の計算方法と許容応力度、材料強度
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溶接部の脚長とは、溶接を行ったときの、溶接金属の長さです。
下左図をみてください。垂直プレートと水平プレートを隅肉溶接しました。溶接部の脚長とは、図に示す「L」の長さです。では、皆さんが混同しやすい「サイズ」とは、どう違うのでしょうか。
上右図に、溶接部の拡大図を描きました。溶接部のサイズは、「縦と横の脚長の、小さい方の値」です。サイズは、縦と横で必ず等辺となるよう設定します(二等辺三角形となる)。つまり、自然と脚長の小さい方の値がサイズとなります。
もし、縦と横で脚長の長さがピッタリ同じなら、その脚長がそのままサイズです。
近年、溶接機械の導入により早く正確に溶接を行えるようになりました。それでも縦と横で溶接の脚長が違うことがあります。あるいは重力の影響で、縦よりも横の脚長が大きくなりやすいです。
サイズは記号で「S」、脚長は「L」で表します。
また、LとSの差(脚長とサイズの差)は「ΔS」です。
溶接部のサイズは、鋼材の厚みや構造計算により決定されます。
一方、溶接部の脚長は「実際に溶接を行ったときの、溶接金属の長さ」です。
大切なのは、設計サイズを満足するような脚長がとれているか、ΔSは許容差に納まっているか、と言う点です。
溶接部の脚長とサイズの関係は、溶接ビード(※)の形状によって変わってきます。
※ビードとは、簡単に言うと溶接部の盛り上がりの部分。
下図をみてください。※参考文献はJASS6。JASS6に関しては、下記が参考になります。
なお、実際の脚長をL、設計時のサイズをS、溶接した実際のサイズをS'とします。
ケース1は、一般的な溶接金属の形状です。
縦と横で脚長が同じ長さ(二等辺三角形をなす)のため、脚長=サイズです。
しかし、設計サイズSと異なります。
脚長はサイズより大きいからOK、というものではなく脚長と設計サイズの差も許容値に納める必要があります。
(許容差は後述します)
ケース2は横の脚長が長いですね。横の脚長がいくら長くてもサイズは大きくなりません。サイズは「縦と横で等辺となる」からです。ケース1と同様にΔSの確認が必要です。
ケース3は「へこみ形」と言われる形状です。一見、脚長と設計サイズが同じ長さなので良さそうですが、真ん中がへこんでいます。この場合、真のサイズは、最も凹んでいる部分で接線を引き、縦と横で二等辺を成す長さです。
つまり、「設計時のサイズを満足していません」。のど厚やサイズ不足のため、やり直しが必要です。のど厚は、下記が参考になります。
のど厚とは?溶接サイズとの関係・計算方法(サイズ×0.707)
脚長とサイズの差ΔSは、2つの許容差を満足させます。1つは管理許容差、2つめは限界許容差です。それぞれ下記の意味と値です。
全製品中の95%以上の製品が満足するような製作・施工上の目標値。
0≦ΔS≦0.5SかつΔS≦5mm
これを超えてはならない値
0≦ΔS≦0.8SかつΔS≦8mm
※下記も参考になります。
管理許容差とは|限界許容差との違いと柱の倒れ(H/1000かつ10mm以下)
これまで溶接の脚長とサイズを説明しましたが、溶接部のサイズはどのように計算するのでしょうか。細かな基準はありますが、目安を知る方法があります。それは、
溶接サイズ=板厚×0.7
このとき、板厚とは薄いほうの値です(当たり前ですが、板厚が同じであれば、そのままの値です)。
また下記の基準などを満足するよう、隅肉溶接のサイズは普通標準図に明記されています(要は、いちいち計算しない。但し構造計算で必要があれば特記する)。
・隅肉溶接サイズは薄い方の母材の厚さ以下とする
・板厚6mm以上の場合、隅肉溶接サイズは4mm以上かつ1.3√t以上
・上記のtとは、厚い方の板厚を示す
混同しやすい用語
溶接サイズとのど厚の違い
溶接サイズは隅肉溶接断面における等辺の長さ(設計指定値)であり、のど厚はサイズに0.7を掛けた値(有効断面積の計算に使う値)である。
脚長・サイズ・のど厚はそれぞれ関連しているが別の概念であり、溶接部の強度計算では「のど厚×有効長さ」の有効断面積を用いる点を混同しないよう注意が必要。
溶接部の脚長を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 脚長 | 実際の溶接金属の長さ | サイズ以上であること |
| サイズ | 縦・横の等辺長さ(設計値) | のど厚計算の基準 |
| のど厚 | サイズ×0.7 | 有効断面積の計算に使用 |
今回は溶接部の脚長について説明しました。脚長とサイズは何となく似ているので覚えにくい用語です。脚長は「実際の溶接金属の長さ」、サイズは「縦と横で等辺を成す長さ」です。この手の問題は、図的に理解すると良いでしょう。
のど厚、溶接部の強度、余盛の意味も、あわせて勉強しましょうね。
のど厚とは?溶接サイズとの関係・計算方法(サイズ×0.707)
溶接部の強度とは?溶接部の耐力の計算方法と許容応力度、材料強度
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
一級建築士試験では、脚長・サイズ・のど厚の関係と、溶接部の有効断面積の計算(のど厚×有効長さ)が出題される。
「のど厚=サイズ×0.7」の関係式を確実に覚えておこう。(一級建築士 頻出:脚長・サイズ・のど厚の関係(のど厚=サイズ×0.7)と溶接部有効断面積の計算が繰り返し出題)