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溶接記号の描き方と基礎知識について

溶接とは、鋼部材の接合方法の1つです。高力ボルト接合と同じく、主流となる接合方法ですね。


溶接は、鋼を溶かしつつ溶接棒と呼ばれる金属とを溶着させて一体化させます。溶接には大まかに分けて2つ種類があります。詳細は下記の記事をご覧ください。


しかし、実はこれらの溶接方法を細かく分類すれば何十通りもあり、それらを図面で判別するためには、何らかの表記が必要です。


図面で、何十通りもある溶接方法を区別する。これこそが溶接記号の役割なのです。というわけで今回は、建築で用いる溶接記号と基礎知識について勉強しましょう。


溶接記号とは何のためにある?

前述したとおり、様々な溶接の種類を間違いなく区別するために溶接記号はあります。また、鉄骨詳細図も1/30程度の縮尺で描きます。だから、見た目には違いが分からない。


だから溶接記号が必要なんです。


溶接記号の基本と決まりごと(ルール)

ここでは溶接記号の基本や、決まりごとについて説明します。


水平線の下と上で、溶接位置を判別する。

まず溶接記号の大原則です。下図をみてください。後述しますが、これは片側隅肉溶接の記号です。水平線(基線と言います)の下に、三角形が書いてありますね(三角形は隅肉溶接の意味)。

何を意味するのか。実は、隅肉溶接を行う位置を示しています。水平線に対して下側に三角形が描いてあるなら、それは、「引き出し線の手前」に溶接するということ(引き出し線は矢と言います)。


では逆に、手前じゃなくて奥に溶接することを示すときは、下図の表記を行います。

水平線の上側に三角形が描いてありますよね。これが引き出し線の奥に溶接する、という意味です。


ちなみに、片側じゃなくて両側に隅肉溶接したいときは、下記の記号で示します。

水平線の両側に三角形を描くのです。「6」という数字は隅肉溶接の脚長を表しています。但し、この表記は省略することも多いです。


引き出し線と水平性の描き方

上記で説明した引き出し線と水平線の描き方もルールがあります。実は、「引き出し線」「水平線」という言葉も厳密に言えば異なります。分かりやすく表現するため、このような言い方にしました。


実際には、「引き出し線=矢」「水平線=基線」と言います。以後、この呼び方で書く場合もあるので注意してください。

さて、基線と矢の描き方ですが2つのルールがあります。



ザックリ言えばこの2つです。とは言え、実務上はこの描き方を厳密に守っている方が珍しく、「伝わればいいじゃないか」という風潮もあります。


例えば、矢の角度は60度で引くと、文字などに重なって却って見づらくなるため、違う角度にします。

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建築で良く使う溶接記号

描き方のルールを大体勉強したところで、建築で良く使う溶接記号を勉強しましょう。冒頭で溶接記号は何十通りもある、と驚かしましたが実務で使う記号はそんなに多くありません。


隅肉溶接

隅肉溶接は下記の記号で描きます。

前述した通り、これは片側の隅肉溶接を表す記号です。実際に図面に描くと、こんな感じになります。

両側に隅肉溶接を表現したい場合は、下記の通りです。

隅肉溶接は、最も使用が多い溶接方法です。これは間違いなく覚えておきましょう。


レ型突合せ溶接(突合せ溶接)

突合せ溶接の種類に、レ型突合せ溶接があります。後述する「I型」「V型」も突合せ溶接ですが、開先の形状が異なります。開先をカタカナの「レ型」にするため、レ型溶接とも言います。

実際に描くとこうなります。「レ型」と言いつつ、手間にレ型開先を設けて描くときは、レの字が逆さになります。

こちらは矢の向こう側に描く場合。これはまさにレ型ですね。

この溶接記号も比較的多く描きます。例えば、柱梁接合部で、梁フランジと柱のダイアフラムが突合せ溶接される部分などです。


V型突合せ溶接(突合せ溶接)

開先形状をV型にすると、V型突合せ溶接になります。レ型と同じく、記号の表記は覚えやすいですね。


I型突合せ溶接(突合せ溶接)

レ型やV型のように、開先を大きく取らない溶接も可能です。レーザーで溶接するとき用いられます。また、大きな開先が取れない箇所にもI型溶接を行います。

実際に描くとこうなります。


現場溶接記号

溶接は精密・正確性が求められるため、工場で溶接を行うことが基本です。一方、現場で溶接を行うしか施工できない場合もあるのです。


それでも現場溶接は一般的ではないので、現場溶接は下記の表記を行います。

この旗記号を矢と基線が繋がる部分に描きます。実際に描いた場合の絵を後述しますね。


全周溶接

全周溶接とは、部材の全周に渡って溶接する、と言う意味です。例えば、円径鋼管とプレートを溶接する場合、全周に渡って溶接しますね。

他にもH型鋼とプレートを溶接するとき、H型鋼の周囲を全て溶接するなら、全周溶接記号が必要です。


全周現場溶接

全周現場溶接とは、上述した2つのケースを行います。旗印と〇印が組み合わさって、下記の記号になります。

これを実際に描くと、下図の記号となります。現場溶接や全周溶接は、下記の記号に旗印が有ったり、無かったりするだけです。


K型フレア溶接

フレア溶接とは、円形あるいは曲面と水平面を突合せ溶接する際に用います。具体的には、杭頭補強筋と杭の鋼管を溶接するとき、などですね。今回は代表的なK型フレア溶接を紹介しました。こんな記号です。

実際に描くとこうなります。


ウッカリ間違える溶接記号の注意点

最後に、ウッカリ間違える溶接記号を説明します。


隅肉溶接の記号を逆に描かない。

隅肉溶接の記号は、あくまでも下図の記号です。

たとえ逆側から描いたとしても、下記のように描いてください。左側は間違いの例。CADだと簡単にコピーできるので起きやすい間違いです。


レ型記号も逆に描かない。

隅肉記号と同様に、レ型記号も記号の向きは決まっています。必ず下記のように描きます。

逆側から引き出したからと言って、下図の左側のように間違えないよう注意しましょう。


まとめ

今回は溶接記号について描き方の基本とルールを説明しました。構造設計のプロでも、全ての溶接記号を暗記していません。


要は基本を理解していればOK。今回紹介した溶接記号や描き方のルールは、まさに基本となる部分。しっかり覚えておきましょうね。

※溶接に関しては下記の記事も参考になります。併せて勉強に役立ててください。


参考文献

鋼構造設計基準

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