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基礎が転倒しやすい建物の特徴

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建物の基礎は、人や家具、建物そのものを支えている重要な構造部材です。私たちの目に見えない存在(地中に埋まっているため)ですから意識しません。しかし、基礎の安全性なくて建物の安全は語れないのです。


さて、物騒な話ですが基礎が転倒することをイメージしてください。ハイ、どうなりますか?基礎が転倒すれば、当然建物自体も倒れてしまいます。そう、基礎の転倒とはとっても重要な検討項目なんです。


しかし、一般的な建物は建物の高さと幅が大体同じくらい。だから転倒することはまずありません。では、基礎の転倒に注意する建物の特徴はなんでしょうか?今回は、基礎が転倒しやすい建物の特徴について特集します。


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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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基礎が転倒するってどんな状態?

『基礎が転倒』と言われても中々イメージできないですよね。一体どのような状態でしょうか。順を追って説明しましょう。


転倒を理解するのは思っているよりも簡単です。あなたの机の近くにペットボトルはありますか?概ね筒状のペットボトルは、底が平らなので机の上に立っています。しかし、指で先端のキャップ部分を押すと・・・?そう、ペットボトルは倒れてしまいますよね。これが『転倒』なのです。


基礎の転倒も、全く同じ意味として使われます。つまり、通常コンクリートで造られる重い基礎ですが、大きな地震力が作用すればひっくり返ってしまいます。構造的に言えば『引き抜きが発生する』ということです。


ペットボトルが倒れた時を思い出しましょう。倒れた瞬間が一瞬で分からないかもしれませんが、ペットボトルが倒れる前、ペットボトルは片側は接地して片側が浮いていたはずです。そして、ある時に倒れた。この『片側が浮いていた』という状態が、構造的にいう『引き抜きが発生する』と、相等しいといえます。

基礎が転倒するときは、建物が崩壊するとき

さて、基礎が転倒するとき=建物が崩壊するときと考えていいでしょう。先ほど説明したように、転倒するとき、基礎は浮いています。それは建物自体が倒れる、ということです。ドミノやジェンガを思い浮かべるといいかもしれません。建物が一気に倒れ崩壊する、基礎の転倒とはそれほど恐ろしい破壊モードなのです。


基礎が転倒しやすい建物の特徴

では、一般の方に基礎の転倒に注意してください、といっても注意の仕方がわかりませんよね?実は、基礎の転倒が発生しやすい建物特徴があるのです。それは、『細長い建物』、専門用語でアスペクト比が高い建物といいます。アスペクト比とは、建物の高さHと幅Bの比率を意味します。


アスペクト比=H/B


建築基準法では、この値が4以上のとき『塔状建物』という位置づけをしています。そして、塔状建物は先程から述べている『転倒の検討』を行う必要があるのです。逆に言えば、塔状比が4以下の建物は転倒の検討が必要ないですから、『普通の家は転倒が発生しない』と法律で示しているようなものですね。


さて、細長い建物とは例えばEVホールが該当します。特に、学校に増築しているEVだけの棟はとても細長く幅が狭い建物です。他にも超高層建築物が細長い建物に該当します。もちろん、構造的に転倒しない処置はしているものの、それは地震の大きさで変わってきますから転倒しやすい建物に変わりありません。


出来ることなら大地震のとき近寄らないといいですね。

細長い建物には注意しよう。

今回は、転倒しやすい建物の特徴について特集しました。基礎が転倒すると建物は崩壊すること、転倒しやすい建物の特徴は『細長いこと』です。身近に細長い建物があったら近寄らないようにしたいですね。


もちろん、大地震が発生した後の余震では用事があっても行かないようにしましょう。これから、自宅を新築される場合、特に都心部は土地の制約でアスペクト比が高い建物になりがちです。設計者に転倒の検討お願いします、と伝えておくと安心ですね。

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