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塔状比とは、建物の縦横比のことです。つまり、地震力が作用する方向に対して建物の幅(B)が建物の高さ(H)とすると、H/Bです。
※塔状比、地震力については下記が参考になります。
アスペクト比とは?1分でわかる意味、計算、縦横比、横縦比、建築物との関係
H/Bが大きいほど、この建物はひょろ長い建物となります(例えばエレベーター棟のような)。一方、小さければ横に長―い建物です。
どちらが地震力に対して安定しているかといえば、H/Bが小さい横に長―い建物です。
よって、こういった建物は特別、塔状比に対して対応する必要はありません。問題は塔状比が4以上の建物です。
なぜ、4以上なのか?と聞かれれば、過去の地震被害例やら研究結果から決められ、建築基準法に明記されています。
建築基準法には、塔状比4以上の建物に対して「転倒しない」ことが書かれています。
転倒しないとは文字通りですが、構造的に解釈するならば「長期時反力+地震時引抜力>0」、又は「長期時反力+地震時引抜力<杭の許容引抜き力」と言えるでしょう。
前者は、1つの支点に対する基礎フーチングを含めた長期の重量が、地震時の引き抜き力よりも上回っている場合です。
後者は、長期重量よりも引き抜き力が上回っていますが、この引き抜き力を杭の引き抜き抵抗力に対して対応する場合です。※引き抜き力については、下記が参考になります。
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また、建築基準法で塔状比4以上の場合、
「Ai分布に基づく外力分布によって全体転倒の崩壊メカニズムとなる場合の標準せん断力係数Coが0.3以上となるか、
上部構造の保有水平耐力時と等しい地震層せん断力分布が作用するときに全体転倒の崩壊メカニズムとならないこと」
と明記されています。※保有水平耐力については、下記が参考になります。
必要保有水平耐力の算定方法と意味がわかる、たった3つのポイント
この法文を構造的に解釈すれば、転倒の検討では地震力をCo=0.3のベースシェアーとするか、
保有水平耐力時の検討で用いた1階のDs値で地震力を割増す必要があります。
例えば、一般的なEV棟は鉄骨造でルート3の設計が多いです。このとき、通常ならベースシェアー=0.2ですが、これを0.30として転倒の検討時の地震力を設定するか、
Ds=0.25(FAランクの場合)をCoとして、地震力を1.25倍して転倒の検討を行います。
つまり、最低でも1.25倍の地震力にする必要があるということですね。※Ds値(構造特性係数)については、下記が参考になります。その他、下記も併せて学習しましょう。
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