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建築業界では「フーチング」という用語をよく使います。フーチングは建物の基礎に関係する用語です。初学者の方はフーチングと聞いても
と疑問に思うでしょう。
今回はフーチングの意味やフーチングを設ける目的について説明します。
フーチングと似た用語に「基礎スラブ」があります。布基礎やベタ基礎の意味、基礎スラブの意味は下記が参考になります。
布基礎と独立基礎、ベタ基礎の違いと、本当に伝えたい各基礎の特徴
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フーチングは「基礎下部の広がった部分」で、基礎スラブ(基礎として用いる底版)、底版(底盤)ともいいます。
フーチングは上部構造の荷重を地盤に伝えるために必要です。
では、なぜフーチングは柱と比べて「幅を広げている」のでしょうか?
答えは簡単です。幅を広げた方が大きい荷重に抵抗できるからです。下図をみてください。幅の狭いフーチング、幅の広いフーチングを比較します。
フーチングの幅を広くした方が、広い面積で荷重に抵抗できます。つまり、フーチングを広げると荷重を分散させて地盤に伝える効果があるのです。
実際に計算しましょう。荷重を100kN、基礎Aのフーチング面積を1000cm2、基礎Bのフーチング面積を3000cm2とするとき、単位面積当たりの荷重は
です。上記の通り、基礎を広げた基礎Bの方が荷重を分散できている(単位面積当たりの荷重が小さくなる)ので、地盤の沈下等を防ぐことに貢献するでしょう。
この「荷重を分散する」という効果は身近なところから実感できます。立つときにかかとを付けて立つ場合と、つま先立ちする場合で、足にかかる負荷を実感してください。
当然、つま先立ちをする方が足の指に力が集中するので大変なはずで、かかとを付ける方が楽に立てるでしょう。
上記と同じ原理で、つま先立ちのような状態にならないようにフーチング(基礎下部を広げた部分)をつくるのです。
というイメージです。
ちなみに元々フーチングは和製英語で、英語では「footing(足の裏)」という意味があります。
確かに足の裏に似た形状ですね。前述したように、建物には沢山の重量が作用します。この重さを支えるためには、幅の狭い基礎より広い基礎がしっかりする、と思いませんか?
構造的に言えば、接地圧(フーチング下に作用する圧力)を地耐力(地盤の強さ)より小さくするためにフーチングを設けます。
同じ重さでも、面積が小さい基礎より大きな基礎の方が、力が分散されて効果的に支えられそうですよね。
つまり、フーチングを設ける理由を簡単に言えば「フーチングは、建物の重量を分散して、効果的に支えるため」といえます。
接地圧、地耐力の意味は下記をご覧ください。
接地圧とは?1分でわかる意味、単位、基礎、計算式との関係、地反力との違い
フーチングと基礎形式(べた基礎、布基礎、独立基礎)の関係について説明します。
建物には様々な重量が作用しています。机や椅子、家具、床、人間など沢山の重さが掛かりますね。
この重量を支えるものが「基礎」です。住宅の基礎は下記の3つの基礎形式が採用されています。
1つがベタ基礎です。ベタ基礎は、床を厚く、強固にすることで床自体を基礎とした形式です。
2つめが布基礎です。布基礎は前述した模式図の形状で、これが柱間に渡って途切れることなく存在します。
3つめは独立基礎です。形状は布基礎と同じですが、柱の下に独立して設けます。独立基礎は、あくまでも柱直下にしかありません。
フーチングとは、基礎梁(基礎柱)より大きい幅の部分(薄赤色部分)を指しています。よってベタ基礎にフーチングはありません。
フーチングの寸法(断面)は下記の条件で決定します。
フーチングの寸法と地耐力の関係を説明します。実は、比較的最近まで住宅基礎のフーチング形状は、曖昧な規定しかありませんでした。
それが平成12年から、フーチング幅を数値として規定するようになったのです。下表をみてください。
これはフーチング幅と地耐力、建物種別との関係を示したものです(平成12年建告1347号第4二号より)。
上表を初学者の方向けに簡単にまとめると下記となります。
地耐力とは地盤の強さと思ってもらえばOKです。良い地盤であれば地耐力は高く、悪い地盤は地耐力が小さい傾向にあります。
つまり
という意味です。
さらに、木造や鉄骨造のフーチングは小さくて済みますが、その他の建築物(鉄筋コンクリート造やレンガ造など)はフーチング幅が大きく必要です。
これは木造又は鉄骨造に比べ、重量が大きいことが理由です。
まとめると、
ですね。
地耐力の詳細は、下記が参考になります。
それでは前述したフーチングの寸法を決定する要素を詳しく解説します。
建物の重さはフーチングの寸法に大きく関係します。建物の重さが大きいほど、フーチング基礎には大きな荷重が作用します。
大きい荷重により基礎が沈下等しないようにするためには、フーチングの幅を大きくして荷重を分散させる必要があるでしょう。
地耐力は地盤の強さです。地盤がかたいほど地耐力は大きく、地盤が柔らかいほど地耐力は小さいです。
地盤が固ければ、荷重が大きくても地盤が耐えられるので、フーチングの寸法をそこまで大きくしなくても問題ないでしょう。
逆に地耐力の値が小さければ、できるだけフーチングを大きくして荷重を分散させる必要があります。
フーチングの形状は、建物ごとの諸条件で決定する施工性、構造的な合理性から決定されます。
また、フーチングの形状は荷重の分散に寄与する場合もあれば、荷重を集中させる場合もあります。
たとえば敷地境界線が近い場合、基礎柱とフーチング芯を偏心させる必要があります。
荷重は柱を介してフーチングに作用するので、柱とフーチングの中心位置のずれ(偏心)により、付加曲げモーメントが生じます。
この付加曲げモーメントはフーチングに作用させる荷重を集中させる効果があり注意が必要です。
付加曲げモーメントを考慮して地盤が沈下しないよう、フーチングの幅や長さを計算で決定します。
独立フーチング基礎とは、柱ごとに独立してフーチングを設けた基礎です。
住宅の基礎としてはあまり見ませんが、非住宅建築物ではごく一般的な基礎形式で頻繁に用います。
複合フーチング基礎はフーチングが連続して配置された基礎です。住宅ではよく用いる基礎で、柱が無い箇所にもフーチングが設定されています。布基礎、連続基礎ともいいます。
複合フーチング基礎(布基礎)の関係規定は、建築基準法の平成12年建告1347号に明記されています。下記に示します。
○建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件 (平成十二年五月二十三日) (建設省告示第千三百四十七号) 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第三十八条第三項及び第四項の規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を次のように定める。 中略 4 建築物の基礎を布基礎とする場合にあっては、次に定めるところによらなければならない。 一 中略 二 底盤の幅は、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度及び建築物の種類に応じて、次の表に定める数値以上の数値とすること。ただし、基礎ぐいを用いた構造とする場合にあっては、この限りでない。 中略 三 鉄筋コンクリート造とする場合にあって、前号の規定による底盤の幅が二十四センチメートルを超えるものとした場合には、底盤に補強筋として径九ミリメートル以上の鉄筋を三十センチメートル以下の間隔で配置し、底盤の両端部に配置した径九ミリメートル以上の鉄筋と緊結すること。
今回はフーチングについて説明しました。
今回紹介したフーチング形状に合致しているのか確認しておきたいですね。フーチングと併せて、直接基礎や布基礎、地耐力の計算方法など理解したいですね。
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