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構造計算ルート2とは?適用条件・剛性率・偏心率の検討と鉄骨建物への応用

この記事の要点

中規模建築物の構造設計で「ルート1でいくかルート2にするか」を判断する場面がある

ルート2はルート1より検討項目が増えるが、ルート3(時刻歴応答解析等)より手間が少ない。

バランスの検討が追加される分、建物の偏りに関する確認が必要になる。

剛性率0.6以上・偏心率0.15以下という数値を把握しておくと、ルート2が適用可能かどうかを早期に判断できる。

計算ルート1と3の中間的な規模の建物に適用します。

この記事では、構造計算ルート2とは何か、ルート1・ルート3とどう違うのか、鉄骨造での計算はどうするのかを整理します。

※構造計算ルート2の根拠は施行令第82条の6です。法令上の扱いは下記が参考になります。

ルート2(許容応力度等計算)の法令規定(令第82条の6)はこちら

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構造計算ルート2は、計算ルート1(建物に十分な耐力を持たせる設計法)に「層間変形角、剛性率、偏心率、塔状比」の制限(※端的にいうと建物のバランスに関する制限)が考慮された設計法です。

31m以下、かつ、前述した"制限"により「平面的、立面的にも整形な建物」について、構造計算ルート2が適用できます。

なお、鉄筋コンクリート造の構造計算ルートでは、計算ルート2は「計算ルート2-1、2-2、2-3」に細分化されています。


構造計算ルートは、大まかにいうと「建物の規模」で区分されます。

大規模な建物では計算ルート3を適用し、小規模な建物には計算ルート1、中規模の建物では計算ルート2を適用できます。

各計算ルートの設計法は、計算ルート1が最も単純で、計算ルート3が最も難しく、計算ルート2は「計算ルート1の設計法に細かな規定が追加されており、やや面倒」という具合です。


以上のように、計算ルート2は中途半端な設計法で、個人的には使いどころが少ないように思います。

実際、私は計算ルート2で構造設計した経験がありません。

後述しますが、計算ルート2は基本的に適合性判定の対象となります。

小規模な建物であれば適判を避けるため計算ルート1で設計しますし、中規模以上の建物であれば、構造的に工夫して剛性率、偏心率の規定を満足させて計算ルート2を選択するメリットが「保有水平耐力計算をしなくても良い」だけです。


さて、前述したように、構造計算ルート2が適用するためには、鉄骨造、鉄筋コンクリート造で共通する下記の規定を満足する必要があります。


・地震力に対する短期時の層間変形角1/200以下とする

・各階の剛性率を0.60以上とする

・各階の偏心率を0.15以下とする

・塔状比を4以下とする


ルート2を適用したい場合、層間変形角は1/200以下にします。層間変形角を小さくするためには、主に鉛直部材(柱、壁)などの断面を大きくして剛性を高めます。

層間変形角とは?層間変位の計算・1/200の制限を図解で解説


また、剛性率と偏心率の規定があります。バランスの悪い建物は、ルート2を適用できません。構造部材のバランスが良くなるよう(剛性のバランス)、部材配置や部材断面の大きさに注意します。剛性率、偏心率の意味は、下記が参考になります。

剛性率ってなに?剛性率の意味と、建物の耐震性

偏心率とは?重心・剛心・偏心距離との関係と計算方法

構造計算ルート2とルート3の違い

構造計算ルート2とルート3の違いを、下記に示します。なお、具体的な規定の違いは、下記の書籍を参考にしてください。

建築物の構造関係技術基準解説書(2015年版)


・計算ルート2 ⇒ 計算ルート1、ルート3の中間的な建物に適用される計算方法。

計算ルート1より規模は大きいが、比較的整形でバランスの良い建物に適用可能。


・計算ルート3 ⇒ 規模の大きな建物に適用できる計算方法。

大地震時には、部材の塑性化によるエネルギー吸収を考慮した計算(Dsの評価など)を行う。

不整形な建物や、バランスの悪い建物にも適用可能。


計算ルート1の意味は、下記が参考になります。

構造計算ルート1とは?ルート1-1とルート1-2の違いと適用条件(鉄骨造・RC造)

構造計算ルート2と適判、ルート2主事の関係

構造計算ルート2は、


・基本的に適判が必要


と考えてください。

ただし、現在はルート2の審査に対応した機関が、確認申請対応を行えば適判は不要となります。

ルート2主事とは、ルート2の審査を行える主事のことです。

民間の確認審査機関では、ルート2の審査を行える専門家が多いですが、特定行政庁ではいないこともあります。


例えば、計画通知でルート2主事がいない場合、適判が必要です。

鉄骨造の構造計算ルート2

鉄骨造の構造計算ルート2(昭55建告第1791号 第2)では、下記の検討等を要します。


・筋交いの応力割増:筋かい(地階を除く)の水平力分担率に応じて、地震時の応力を割増しして許容応力度計算を行うこと。

・筋交い部の接合部の破断防止:筋かいの端部および接合部を、保有水平耐力接合とすること。

局部座屈の防止:部材の幅厚比が制限値を満足すること。

・柱脚部の破壊防止

・冷間形成角形鋼管柱の耐力比確保:冷間形成角形鋼管(t≧6㎜)を柱に用いた場合、はり崩壊(全体崩壊)メカニズムが確実になるように、耐力比等について、規定の検討を行うこと。


詳細は、書籍をご確認ください。

建築物の構造関係技術基準解説書(2015年版)

鉄筋コンクリート造の構造計算ルート2

鉄骨造の構造計算ルート2(昭55建告第1791号 第3)では、下記の検討等を要します。


・計算ルート2-1の場合 ⇒ ∑2.5αAw+∑0.7αAc≧0.75ZWAi、かつ、部材のせん断設計

・計算ルート2-2の場合 ⇒ ∑1.8αAw+∑1.8αAc≧ZWAi、かつ、部材のせん断設計

・計算ルート2-3の場合 ⇒ 靭性のある全体崩壊メカニズムの確保

根拠・参考

  • 建築物の構造関係技術基準解説書

実務では、設計条件・仕様書・適用する規準により確認してください。

確認事項限界値意味
層間変形角1/200以下地震時の各階の水平変形量の制限
剛性率0.6以上各階の剛性が全階平均の60%以上であること
偏心率0.15以下重心と剛心のずれ(平面的なバランス)の制限
塔状比4以下建物高さと最小幅の比率制限

まとめ

今回は構造計算ルート2について説明しました。

構造計算ルート2は、計算ルート1(建物に十分な耐力を持たせる設計法)に「層間変形角、剛性率、偏心率、塔状比」の制限(※端的にいうと建物のバランスに関する制限)が考慮された設計法です。

計算ルート1と3の中間的な規模の建物に適用します。

ルート1より規模の大きな建物に適用できますが、比較的整形でバランスよく部材配置する必要があります。

下記も併せて学習しましょう。

構造計算ルートとは何か?

構造計算ルート1とは?ルート1-1とルート1-2の違いと適用条件(鉄骨造・RC造)

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理解度チェック

Q.

構造計算ルート2とはどんな設計法で、どんな建物に適用しますか?

答えを見る

計算ルート1(建物に十分な耐力を持たせる設計法)に「層間変形角・剛性率・偏心率・塔状比」というバランスに関する制限を加えた設計法です。高さ31m以下かつ平面的・立面的に整形な建物に適用でき、ルート1とルート3の中間的な規模の建物に使います(根拠:建築基準法施行令82条の6)。RC造ではルート2-1・2-2・2-3に細分化されます。

Q.

ルート2を適用するための数値規定は?

答えを見る

鉄骨造・RC造共通で、地震力に対する短期時の層間変形角1/200以下、各階の剛性率0.60以上、各階の偏心率0.15以下、塔状比4以下を満足する必要があります(根拠:施行令82条の6・昭55建告1791号)。バランスの悪い建物はルート2を適用できません。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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