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転倒モーメントとは?1分でわかる計算、重心の関係、アンカーの算定

転倒モーメントは、構造物又は物体を転倒させようとするモーメントです。転倒モーメントは、設備機器や塔状比の大きな建築物で計算します。今回は、転倒モーメントの計算と重心位置の関係、設備機器の転倒をイメージしてアンカーの算定を行います。

転倒モーメントとは?

転倒モーメントは、建物や構造物を転倒させようとするモーメントです。普通、建物に地震力が作用しても、幅や長さが大きいため転倒することは無いです。よって、敢えて転倒モーメントを計算しません。


ただ細長い建物は倒れやすいので、転倒モーメントを計算し建物が転倒しないことを確認します。※詳細は下記の記事が参考になります。

塔状比4以上の建物 設計の留意点

転倒モーメントは、地震力又は風圧力の水平力によるモーメントです。※モーメントについては、下記の記事が参考になります。

力のモーメントってなに?本当にわかるモーメントの意味と計算方法

転倒モーメントの計算

下図をみてください。実際に、このような設備機器はよくあります。この設備機器の転倒モーメントを計算します。

設備機器の転倒モーメント

転倒モーメントは、要するに力のモーメントを計算すればよいです。力のモーメントは、腕の長さ×力で計算できました。力はPですが、腕の長さLをどの距離とするかが大切です。


色々なやり方があるかと思いますが、上図のように、屋上スラブと一体化した屋上基礎にアンカーされた設備機器なら、機器の重心位置からスラブ芯までを腕の長さと考えます。


以上より、転倒モーメントMは

です。

転倒モーメントと重心位置の関係

転倒モーメントの計算には、設備機器の重心位置が必要です。もし設計段階で不明なら、安全側に設備機器の頂部からスラブ芯までの距離を、腕の長さとして良いでしょう。重心位置は、設備業者あるいは設備設計者に確認します。

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転倒モーメントと安定モーメントの関係

転倒モーメントMtよりも安定モーメントMaが大きければ、構造物は転倒しません。転倒モーメントと安定モーメントは下記の関係があります。

・Mt<Ma 安定

・Mt>Ma 転倒


とてもシンプルな考え方ですね。では、安定モーメントはどうやって検討するのでしょうか。設備機器の安定モーメントは、


安定モーメント=アンカーの引き抜き抵抗力×アンカー芯間距離


でよいでしょう。ただ、このような計算は一般的ではないです。普通は、

より引抜軸力を計算します。Nは引抜軸力、Mは転倒モーメント、Lはアンカー芯間距離です。このNに対して、引抜抵抗力Naが大きければ転倒しないことが確認できます。


また転倒モーメントに対して、基礎重量で耐える考え方もあります。転倒モーメントによる基礎の反力分布を下記のように考えます。

転倒モーメントによる反力分布

この偶力によるモーメントが、そのまま安定モーメントです。なお上図の反力分布で、引抜方向の反力がでていますが、これは長期時の圧縮反力により打ち消されることを確認します。

転倒モーメントとアンカーの計算

実際に転倒モーメントによる、アンカーの計算をします。下図のように設備機器が、基礎上にアンカーされています。このときの必要なアンカー径を算定しなさい。なお、引抜き力により基礎が破壊されることは無いとする。

アンカー計算例

転倒モーメントは下記です。


アンカーボルト間距離は、2.0mなのでアンカー1本当たりに作用する軸力Nは、

です。忘れてならないのが、せん断力です。各ボルトに作用するせん断力Qは、


アンカーM16を使います。A=8*8*3.14*0.75=150(0.75とはネジ部の欠損部を考慮)。


β=N/A/ft+ Q/A/fs=3.0*1000/150/235+5.0*1000/150/135=0.34

β'=√β=0.58<1.00


となり、M16のアンカーボルトを用いればOKだと分かりました。実際はもっと細かい計算します。頭の片隅にいれてください。ただ、計算の流れは概ねこの通りで、

・転倒モーメントを計算する

・引抜力を計算

・引抜抵抗力と引抜力を比較して問題ないことを確認する

を確認します。

まとめ

今回は転倒モーメントについて説明しました。転倒モーメントの計算方法、重心位置の関係、安定モーメントの意味など理解頂けたと思います。転倒しやすい構造物は、転倒モーメントを計算してみましょう。

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