1. HOME > 鉄筋コンクリート造の基礎 > 耐震スリットってなに?耐震スリットの意味と目的、構造スリットとの違い

耐震スリットってなに?耐震スリットの意味と目的、構造スリットとの違い

耐震スリットをご存知でしょうか。建築物の構造図を見たことがある方は当たり前かもしれませんが、RC建物の多くは「耐震スリット」と呼ばれる緩衝材が入っています。


※構造図に関しては下記の記事が参考になります。


もちろん、目的があってスリットを入れています。また耐震スリットと似た「構造スリット」という言葉もありますよね。今回は、耐震スリットと構造スリットの違い、耐震スリットの目的について説明します。


耐震スリットってなに?

耐震スリットとは、鉄筋コンクリート造の壁の柱端、あるいは梁上に設ける緩衝材です。そもそも昔は、スリットを設けていませんでした。過去に起きた地震により耐震スリットが必要だ、と判断されたのです。


下図を見てください。これは、あるメーカーのスリットです。このように、鉄筋コンクリートの壁端に取り付けて、壁と柱又は梁とを切り離します。「切り離したら危なそう」と思われるかもしれません。しかし、そう単純な話ではありません。これは後述します。


耐震スリットの意味と目的

RC建物に耐震スリットを設けるという概念は、新耐震設計法が1981年に施行されて以降決められました。当時、それまでは耐震スリットを設けないRC建物が設計されてきましたが、大地震時に設計者が予測していなかった破壊や、腰壁及び垂壁が取り付く柱でせん断破壊が多く起きたのです。


これにより、腰壁や垂壁、袖壁のようないわゆる雑壁も「きちんと柱や梁の断面に評価するべきだ」という認識が広がりました。


しかし、建物の形のまま雑壁を評価して計算すると、ある箇所に応力が集中したり、先程書いたように柱の長さが短くなるために、せん断破壊が起きやすくなるという現象が発生します。なぜ、雑壁が取り付くことで応力が集中するのかというと、部材の剛性が関係しています。


部材の剛性は、材料定数Eと断面形状によって決まります。下図のように、一般的な正方形の柱と比べて、正方形の柱+壁では、X方向に力が作用した場合、明らかに後者の方が断面二次モーメントが大きくなります。


剛性に関しては下記の記事が参考になります。


スポンサーリンク
 

また、雑壁が取り付くことで、柱長さが短くなり、せん断破壊が起きやすくなる原因ですが、これも簡単に説明がつきます。下図のように垂壁、コシ壁が取り付くと、柱は梁までの端部ではなく、壁の端部まで拘束されていると考えられます。



つまり、柱の長さは短くなります。構造力学の基礎で勉強しましたが、部材の長さが短いほどせん断力は大きくなりますね。Q=M/Lの関係です。これにより、せん断力が大きくなるため短柱ではせん断破壊という脆性破壊(粘りの無い破壊、避けるべき破壊形式)が起きます。


以上のように、雑壁というのはRC構造物にとって非常に面倒な存在です。いっそのこと全て耐震壁とできればいいのですが、意匠上の理由から、必ず開口ができるため、そうはいきません。前置きが長くなりましたが、ここで重要となるのが「耐震スリット」です。


耐震スリットの意味は下図のように壁際に設け、「柱と壁が繋がっていない状態にする」ことにあります。構造的に言えば「柱の剛性を大きくしないため」となります。



上述で書いたように、雑壁が取り付くことで発生した面倒な剛性の関係が、耐震スリットを設けることで全て処理できます。

以上のように現在のRC建物では、ほとんどスリットを設けた建物として設計されています。また、開口が空かない壁は耐震壁となるため、スリットを設ける必要はありません。耐震壁については、下記の記事が参考になります。


耐震スリットと構造スリットの違い

耐震スリットと構造スリットの違い、ですが実は全く同じ意味です。構造的に必要だから、「構造スリット」という言い方もありますし、耐震上必要だから「耐震スリット」とも言います。


まとめ

今回は、耐震スリットについて説明しました。少々、専門的な説明になりましたが耐震スリットの意味や目的が分かって頂けたと思います。


鉄筋コンクリート造は、剛性が急激に高くなる要因が沢山あります。増し打ちも、その1つです。※増し打ちやパラペットに関しては下記の記事を参考にしてください。

以上、今回の記事が参考になれば幸いです。

▼この記事を今すぐSNSでシェアする▼


▼こちらも人気の記事です▼

▼人気の記事ベスト3▼

▼いつでも構造力学の問題が解ける!▼

構造ウェブ問題集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

スポンサーリンク

検索

カスタム検索

プロフィール

おすすめ特集

note始めました 構造ウェブ問題集

人気の記事ベスト3

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

  1. HOME > 鉄筋コンクリート造の基礎 > 耐震スリットってなに?耐震スリットの意味と目的、構造スリットとの違い