建築学生が学ぶ構造力学

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応力集中とは?応力集中係数Ktの意味と溶接・切欠きでの評価方法

この記事の要点

応力集中とは、部材の穴・切欠き・段差など形状が急変する箇所で、周辺より応力が局所的に大きくなる現象です。

応力集中係数Kt(理論応力集中係数)は「最大応力/公称応力」で定義されます。

建築鉄骨では、ボルト孔(Kt≈3)・溶接止端・断面変化部が応力集中箇所です。

繰り返し荷重が作用する部位では疲労破壊のリスクが高まるため、溶接品質の確保・切欠きの緩和(フィレット付与等)が設計上重要です。

補足:応力集中係数α=最大応力/平均応力で表し、円孔の場合はα=3になります。

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応力集中とは、応力がある部分に集中することです。


応力集中は、部材が不連続になる箇所等で生じます。たとえば、鋼材の接合部に高力ボルトを留めるため孔を空けた周辺等が該当します。


応力集中や、応力集中の度合いを示す応力集中係数は、接合部周りの応力度の大きさを知る上で役に立ちます。


今回は、応力集中係数の意味や求め方、応力集中の意味について説明します。


※応力、応力度については、下記が参考になります。

応力とは?意味・種類・記号と求め方、応力度との違い

応力度とは?種類・計算方法・応力との違い

応力集中とは?

例えば、切り欠きのある鋼材を引張ると応力は均一ではなく、切り欠き周辺に集中します。また、円孔が空く鋼材も同様に、円孔周りに応力が集中します。


円孔の空いた鋼材


このように、応力が均一ではなくある部分に集中することを「応力集中」と言います。


また、建築分野では「鋼材の切り欠き、円孔」のようなミクロな視点の応力集中もあれば、柱や梁などのマクロな視点での応力集中も話題にします。これは後述します。

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応力集中係数の意味と計算方法

応力集中係数とは、下式で計算します。



ただ問題は、「最大応力をどのように計算するのか」ということです。


今回は円孔のあく平板に引張力が作用するときの、最大応力の計算方法と、応力集中係数を求めます。※引張力については、下記が参考になります。

引張力と圧縮力の違いとは?符号・強度・記号(σt・σc)を解説


下式をみてください。これは、円孔の空く平板の応力度を求める式です。σは応力度、aは円孔の半径、yは縦軸の未知数、σxはx軸の未知数(つまり応力度)です。



下記で示すように、上式はσxを求める関数です。yに数値を代入すれば、その位置での応力が分かります。円孔近傍の応力を知りたいので、半径aをyに代入します。


y=aのとき


σx=σ(1+( a2/2a2) +(3a4/2a4))

  =σ(1+1/2+3/2)=3σ


です。このとき「3」を応力集中係数といいます。yを大きくするに従って、「3」は「1」に近づきます(平均応力度に近づく)。

接合部の応力集中を、構造力学の視点から考える

接合部の応力集中を、構造力学の視点から考えます。同様に円孔の空く平板を例にしましょう。構造力学では、力が流れるか否かを考えます。


引張力が作用するとき、円孔が空いている部分は応力が流れません(当たり前ですが、中空なので力は伝達しない)。下図をみてください。


力の伝達メカニズム


つまり力が伝達しない円孔の応力は、別の箇所に流れる必要があります。


このとき力の流れは「最も近い位置に流れる」のが普通です。つまり、円孔の近傍に伝達しない応力が作用します。


元々の応力度がσとするなら、円孔周りにはσ'(σより大きい値)が作用します。


円孔に作用する荷重は、どのように伝達されるのでしょうか。仮に、円孔近傍を固定支点と考えると、片持ち形状とみえます。


円孔の空く鋼板を構造力学的にモデル化

片持ち梁には曲げ応力度が作用します。曲げ応力度は圧縮と引張側に応力度が作用します。


元々は引張側にのみ応力度が発生しているので、2つを合算すると下図の応力度図になります(もちろん正しくはありません)。


※片持ち梁、曲げ応力度については、下記が参考になります。

片持ち梁とは?固定端・自由端・曲げモーメント・たわみをわかりやすく解説

曲げ応力とは?1分でわかる意味、公式と演習問題、単位、曲げ応力度との違い


鋼板の応力度


つまり、難しい数式を知らなくても「どこに応力が集中するのか?」大体の見当は付くのです(実際の円孔周りの応力度は下図となる)。


円孔周りの応力


耐震要素の応力集中と、接合部の応力集中

前述した円孔や切り欠きの話題は、実は建築であまり問題にしません。細かい部品を厚保かう機械工学の分野です。建築では巨視的な視点の、応力集中を問題にします。


下図をみてください。これは平面的に耐震要素を示しました。左側のみ耐震壁があり、あとは柱と梁だけです。


部材の応力集中


地震力が作用するとき、どこに応力が集中するでしょうか?答えは「耐震壁」です。


剛性の大きな部材に力が集まる原則を知っていれば、ごく当たり前のことです。


建築を勉強するなら、前述した応力集中や応力集中係数よりも、耐震要素のどこに応力が集まるのか、理解した方が良いでしょう。


剛性、剛比については、下記が参考になります。

剛性とは?変形しにくさの意味・強度との違い・計算式・単位を解説

剛比とは?3分でわかる剛比の意味と計算方法


地震力、耐震壁については、下記が参考になります。

地震力の算定方法と、簡単にわかるZ、Rt、Ai、Coの意味

耐震壁とは?耐力壁との違い・役割・EW記号をわかりやすく解説

混同しやすい用語

応力集中

部材の不連続部(円孔・切り欠き等)で応力が局部的に大きくなる現象。

応力集中係数α

最大応力度÷平均応力度で求める係数。

円孔の場合はα=3。

平均応力

部材断面全体を均一に分布すると仮定したときの応力。

応力集中の基準となる値。

応力集中係数を整理した表を示します。

項目内容備考
応力集中係数α最大応力度÷平均応力度円孔ではα=3
発生箇所円孔・切り欠き・不連続部の近傍中空部は力を伝達しないため周辺に集中
建築での応力集中剛性の大きな耐震壁等に力が集中剛性比に応じて力が流れる

まとめ

今回は応力集中と応力集中係数について説明しました。応力集中係数の計算方法も大事ですが、


「どこに応力が集中するのか」把握する考え方を身に付けましょう。下記も併せて学習しましょう。

応力とは?意味・種類・記号と求め方、応力度との違い

応力度とは?種類・計算方法・応力との違い

繰り返し応力とは?S-N曲線・疲労限と建築鉄骨の疲労設計への影響

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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