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ノンスカラップは、接合部のスカラップ無しで溶接する方法です。スカラップは溶接作業上設けますが、断面欠損するため耐力低下や、応力集中の原因となります。そのため、ノンスカラップ工法を採用するケースが増えています。
今回は、そんなノンスカラップ工法の基礎知識(ディテールや裏当て金の形状)と、改良型スカラップ(複合円スカラップ)との違いについて説明します。スカラップの意味は下記が参考になります。
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ノンスカラップは、「スカラップ無し」で接合部を溶接する工法です。ノンスカラップ工法を採用すれば、梁のスカラップはありません。ノンスカラップ工法にすることで、
という構造的に大きなメリットがあります。
そのため、現在はノンスカラップ工法の採用が増えています。あるいは応力集中が少ない、改良型スカラップが一般的です。
下図をみてください。これはノンスカラップ工法の断面図です。比較しやすいよう、右側にスカラップ工法の断面図を描きました。
上図の直交方向から見た図を下記に示します。
このように、裏当て金を梁のフィレット形状に合わせて製作します(フィレットは曲面である。よって裏当て金の板を曲面加工する)。裏当て金は、柱の鋼管壁と梁のフランジに溶接して留めます。梁ウェブの隅肉溶接部は、裏当て金の下端まで行います。
そもそも、なぜスカラップが必要でしょうか。下図をみてください。溶接線が交差するとき、以前はスカラップを行っていました。
元々溶接は、造船技術の1つです。当時、スカラップを設ける目的は、溶接欠陥や材質劣化を防ぐことでした。しかし現在は、それらの性能・技術が発達し、スカラップの必要性が無くなっています。
それでもスカラップを採用する鉄骨業者が多い理由は、「ノンスカラップ工法よりは、スカラップを設けた方が簡単」ということでしょう。
実際、私が構造設計に携わった物件のいくつかは、「ノンスカラップではなく改良型スカラップにしたい」という要望がいくつもありました。
余談ですが、現在の造船分野ではスカラップは採用されず、スニップカットという方法が行われています。
スニップカットの方が、溶接を行う上でごく自然な考え方のように思います。
さて、スカラップが必要になる理由が溶接線の交差と説明しました。実際の構造部材にそのような箇所が沢山あります。その代表例が、仕口部です。仕口部は、フランジの突合せ溶接とウェブの隅肉溶接が十字に交差します。これまでは、梁にスカラップを設けてフランジの溶接線を通していました。
前述したように、ノンスカラップ工法では、このスカラップが必要ありません。
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前述しましたが、ノンスカラップ工法のメリットとデメリットを整理します。
・応力集中が起きない
・断面欠損が無いため、梁の耐力がフルにとれる
・ロールH鋼の場合、裏当て金をフィレット形状に合わせた製作が難しい(スカラップを設けた方が簡単)
改良型スカラップは、応力集中の影響を少なくし且つ施工性のよいスカラップ形状です。複合円スカラップとも言いますが、下図のように10mmと35mmの複合円のスカラップです。
ノンスカラップ工法よりも性能は落ちますが施工性が良いため、以前として改良型スカラップを採用する鉄骨業者が多いです。
前述したノンスカラップ工法を用いれば、構造計算で特別考慮することは無いです。一方、改良型スカラップあるいはスカラップを設けた場合、梁に断面欠損が生じるため、その分、断面性能を低減します。
実務で行われる方法は、
ことです。厳密にはスカラップだけ耐力は低下するのですが、ウェブの耐力を無視しておけば、応力集中の問題も関係なくなります。
ウェブの耐力を無視した断面係数は、概算的に全断面に対する0.8倍程度でしょう。
今回は、ノンスカラップ工法について説明しました。ノンスカラップ工法の目的やメリット・デメリット、改良型スカラップとの違いが理解頂けたと思います。構造的に言えば、ノンスカラップ工法が最良の選択だと覚えておきましょう。また下記の記事も併せて参考にしてください。
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