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溶接欠陥とは?本当にわかる9つの種類とブローホールとピットの違い

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溶接は鋼材を一体化させる便利な接合方法です。一方で、溶接欠陥に注意します。溶接欠陥にはブローホールや、ピットなど似た溶接欠陥があります。今回は、それらの違いや溶接欠陥の9つの種類、溶接部の補修方法について説明します。


ショートビードにすると、溶接欠陥が起きやすいです。溶接欠陥により、溶接の強度が低下しないよう注意しましょう。ショートビード、溶接強度の詳細は下記が参考になります。

溶接部の強度とは?溶接部の耐力の計算方法と許容応力度、材料強度

ショートビードとは?1分でわかる意味、定義、組立溶接、鉄骨

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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溶接欠陥とは?

溶接欠陥とは、溶接部に生じた何らかの欠陥(耐力的に好ましくない状態)です。


溶接部は、様々な要因が重なって溶接欠陥が生じます。1つは、溶接が完全自動でなく人の手で行われるためです。


また溶接の製作工程に異常が起き、溶接欠陥に繋がることもあります。溶接欠陥は、後述するように沢山の種類があります。


これらの欠陥を起こさぬよう注意すること、また各欠陥の特性をよく理解します。

溶接欠陥の種類

今回は、代表的な溶接欠陥を9種類説明します。各溶接欠陥の特徴や原因をよく理解しましょう。

1.ピット

ピットとは、溶接金属中に発生した気泡(ガス)が浮かび上がるときにつくる「くぼみ孔」です。

ピット

ピットの原因はガスによる気泡で、これは水素を含む物質が原因です。水素を含む物質は、水(湿気)、油、さびがあります。これらの不純物が溶接金属に入らないよう注意します。溶接棒やフラックスの乾燥が大切です。

2.オーバーラップ

オーバーラップは、溶接金属が母材に融合しないで重なる現象です。下図をみてください。溶接金属と母材が一体化していませんよね。この状態がオーバーラップです。

オーバーラップ

オーバーラップは、削取り補修します。

3.余盛始端部の形状

余盛始端部が適切な角度でない場合(母材と溶接金属が滑らかにつながっていない)、余盛始端部に応力集中が生じます。


部材の塑性変形能力が損なわれること、疲労強度の低下など好ましくない問題がおきます。

4.アンダーカット

アンダーカットは、溶接始端部の母材が溶けすぎて欠損した状態です。下図のように、余盛など適切ですが、母材が少し削れています。

アンダーカット

アンダーカットは母材の耐力低下に繋がるため、補修が必要です。

5.クレーター

クレーターとは、溶接部が凹んだ状態になることです。クレーターがあると、溶接部の断面欠損につながります。適切な溶接形状となるよう補修します。

クレーター

またクレーターは割れが起きやすいため、補修も注意します。

6.余盛(余盛の過不足)

余盛の過不足は、応力集中が生じます。下図をみてください。母材に比べて余盛部が過大だと、そこに応力が集中して耐力低下につながります。余盛の詳細は、下記が参考になります。

余盛とは?1分でわかる溶接の余盛と杭の違い、読み方

余盛(余盛の過不足)

完全溶け込み溶接、隅肉溶接ともに気をつけます。また、下記の記事も併せて参考にしてください。

溶接部の強度とは?溶接部の耐力の計算方法と許容応力度、材料強度

溶接の種類と、隅肉溶接、突き合わせ溶接の特徴

サイズの許容値については、下記の記事が参考になります。

のど厚の基礎知識と、溶接サイズとの関係

溶接部の脚長とは?サイズとどう違う?脚長の基礎知識

7.割れ

割れとは、溶接部に生じるひび割れのことです。下図は縦割れを描きました。他にも横方向に割れが生じます(横割れ)。

割れ

溶接部の割れは、熱せられた溶接金属が凝固(冷える)する過程で収縮し起きます(熱応力が発生)。前述したクレーター部は割れが起きやすいです。組立溶接部など、溶接金属を拘束する部分は、割れに注意します。

8.融合不良

融合不良は、溶接金属と母材が溶け合ってない状態です。溶接部としての機能が全く保持されないため、溶接をやり直します。

9.ブローホール

ブローホールとは、溶接金属内に残留した気泡の孔です。気泡は小さな球状、細長い形状もあります。ブローホールは、溶接金属内のCO2が主な原因です。

ブローホール

ブローホールとピットの違い

前述したように、ブローホールとピットは似ています。ピットは水素が原因となる「小さな孔」で、ブローホールは溶接金属内に残った気泡の孔です。ブローホールはCO2が主原因であることも覚えておきたいですね。

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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溶接部の補修

前述した溶接部の欠陥は、どのように補修すべきでしょうか。ここでは各溶接欠陥の補修方法を説明します。

1.余盛

過大な余盛は応力集中の原因となるため、適切な高さと形状に整形します。グラインダーを使うと良いでしょう。※余盛の許容値は下記の記事が参考になります。

余盛とは?1分でわかる溶接の余盛と杭の違い、読み方


また余盛が不足する場合は、耐力が足りておらず補修溶接します。

2.アンダーカット

アンダーカットの深さが1.0mm以下の場合、グラインダで母材を削り過ぎないよう滑らかに仕上げます。これは、小さなピットを補修溶接すると、母材の劣化に繋がるためです。


1.0mmを超える深さは、アンダーカットを除去した後、補修溶接を行います。

3.オーバーラップ

オーバーラップは応力集中の原因となるため、グラインダーで削除します。あるいは、オーバーラップを削除した後、補修溶接します。

4.ピット

ピットの周囲を削除した後、補修溶接を行います。

5.割れ

割れの補修はやっかいです。割れの位置、長さ、深さを特定します。後に割れ部を削除して補修溶接します。


割れ部の特定は、浸透探傷試験など特別な試験が必要です。

6.融合不良・ブローホール

溶接金属内部の欠陥であるため、超音波探傷などで欠陥位置を特定します。例えばブローホールの位置を特定し、ブローホールを除去、補修溶接します。

まとめ

今回は溶接欠陥について説明しました。間違えやすいブローホールとピットの違いが分かって頂けたと思います。また、今回紹介した9つの溶接欠陥は最低限覚えておきましょう。併せて溶接欠陥の補修方法を簡単に理解するとよいです。


溶接欠陥が起きやすいショートビード、余盛の関係、溶接部の強度も併せて勉強しましょう。

余盛とは?1分でわかる溶接の余盛と杭の違い、読み方

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