この記事の要点
余盛とは溶接部において母材表面より盛り上がった部分のことで、過小・過大のいずれも溶接欠陥につながるため適切な大きさに管理する必要がある。
余盛が過大だと応力集中が生じ、過小だとのど厚が不足するため、製品検査での確認が重要である。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
余盛は、溶接部の欠陥になりやすい箇所です。余盛は過小・過大のいずれも駄目で、適切な大きさが望ましいです。今回は、そんな余盛の意味や、余盛の読み方、応力集中について説明します。また似た用語で杭の余盛があります。この違いも説明します。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
余盛は「よもり」と読みます。名の通り、「余分に盛る」ことが由来です。余盛には、後述する溶接部の余盛と杭の余盛があります。両者とも「よもり」と読みます。ここでは主に、溶接部の余盛について説明します。
溶接部の余盛とは下図の部分です。また、母材ルート部から45°方向の溶接金属の高さを余盛高さといいます。
余盛が過小・過大の場合、下記の問題が起きます。
余盛が過小 溶接部の耐力が足りない
余盛が過大 余盛部(溶接部)に応力集中する
これらを避けるために、溶接部の余盛は滑らかにつくります。具体的にはJASS6により、許容値(管理許容値、限界許容値)が設定されています。余盛と併せて、脚長、サイズ、のど厚について理解しましょう。※下記の記事が参考になります。
溶接欠陥とは?本当にわかる9つの種類とブローホールとピットの違い
余盛高さの計測では、下図の距離を計測します。この高さ(母材ルート部から45°方向の溶接金属の高さ)を計測する専用のゲージがあります。
計測した余盛高さa'と設計のど厚aを引いた値をΔaとします。これらは下式の関係にあります。
適切な余盛高さであるか確認するためには、Δaの管理許容差、限界許容差を満足する必要があります。許容値は、隅肉溶接と完全溶け込み溶接で異なる値です。※溶接種類については、下記が参考になります。
隅肉溶接部の余盛高さの許容差は下記です。
・管理許容差 0≦Δa≦0.4SかつΔa≦4mm
・限界許容差 0≦Δa≦0.6SかつΔa≦6mm
完全溶け込み溶接の余盛高さの許容差は下記です。
・管理許容差 0≦Δh≦3mm(B<15mmの場合)
・限界許容差 0≦Δh≦5mm(B<15mmの場合)
前述した許容差を満足しない溶接部の余盛は、応力集中が起きます。余盛に限らず、応力は大きな部材に集まる傾向があります。余盛は、母材よりも膨らんだ形状をしていますね。この形状が母材に対して過大すぎると、力が集まってくるわけです。※下記の記事も参考になります。
溶接欠陥とは?本当にわかる9つの種類とブローホールとピットの違い
場所打ち杭は、現場でコンクリートを打設する杭です。既製杭と比べて、現場での品質管理が大きな問題です。特に杭頭部は欠陥が起きやすい箇所です。※場所打ち杭、杭頭については、下記が参考になります。
場所打ち杭とは?1分でわかる意味、コンクリート強度、鉄筋かご、杭径
場所打ち杭は、杭下端からコンクリートを打設します。初めに打設したコンクリートは不純物(スライム)が混じっており、設計杭頭レベルで打設を終了すると、杭頭部は耐力に不安があります。
そこで、杭頭部は余分に盛って、良質なコンクリート部を杭頭にもってきます。これが、杭の余盛です。
杭頭レベルは設計で決めているので、余盛分はカット(杭頭を切断)します。公共建築工事の標準仕様書によれば、余盛高さは下記の値です。
・A種(無水堀り) 500mm以上
・B種(それ以外) 800mm以上
混同しやすい用語
杭の余盛(場所打ちコンクリート杭)
場所打ちコンクリート杭でも「余盛」という言葉を使うが、これはコンクリート天端を設計天端より高く打設する施工管理上の処置であり、溶接の余盛とは全く異なる概念である。
同じ「余盛」という言葉でも、溶接では溶接部の盛り上がり量、杭では余分に打設するコンクリートを指すため混同しないよう注意が必要。
余盛を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 余盛過大 | 余盛部に応力集中が生じる | ひび割れの原因となる |
| 余盛過小 | 設計のど厚が確保できない | 溶接耐力の不足につながる |
| 杭の余盛 | 場所打ち杭で余分にコンクリートを打設 | A種500mm以上・B種800mm以上 |
今回は余盛について説明しました。溶接部の余盛は、注意しないと過小・過大になりやすい箇所です。余盛が過大だと応力集中が起きます。過小の場合、設計のど厚が足りません。鉄骨造の製品検査の参考にしてください。下記も併せて学習しましょう。
溶接欠陥とは?本当にわかる9つの種類とブローホールとピットの違い
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
一級建築士試験では、溶接余盛の過大・過小による不具合(応力集中・のど厚不足)や、余盛の削り取り(グラインダー処理)の要否が出題される。余盛は原則として削り取らないことを覚えておこう。