この記事の要点
有効断面積比(α)とは、接合部の有効断面積(Ae)を母材軸部の全断面積(Ag)で除した値(α=Ae/Ag)で、部材の靭性を判断する指標である。
保有耐力接合の条件(Ty<Tu)から、降伏比(σy/σu)<有効断面積比(Ag/Ae)を満たす必要がある。
有効断面積比の計算では、ボルト孔欠損と突出脚の無効部分(ボルト本数に応じた控除)を引いた有効断面積を全断面積で割る。
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有効断面積比(ゆうこうだんめんせきひ)とは、接合部の有効断面積と母材軸部の全断面積との比です。鉄骨部材の靭性を判断する指標です。今回は有効断面積比の意味、計算方法、降伏比、有効断面積との関係について説明します。降伏比、有効断面積の意味は、下記が参考になります。
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有効断面積比とは、接合部の有効断面積を母材軸部の全断面積で除した値です。下式に示します。
α=Ae/Ag
αが有効断面積比、Aeが有効断面積、Agが全断面積です。有効断面積、断面積の意味は、下記が参考になります。
断面積とは?1分でわかる求め方、長方形と円の公式、単位、計算方法
有効断面積比は、「ゆうこうだんめんせき」と読みます。関係用語の読み方は、下記です。
断面積 ⇒ だんめんせき
降伏比 ⇒ こうふくひ
有効断面積比を実際に計算します。下図をみてください。ボルトが5本配置される接合部です。母材はアングルでL-90x90x7、高力ボルトはM20です。断面積は12.22cm2とします。
接合部の有効断面積は、軸部の全断面積から「ボルト径」や無効となる「突出脚部分」の断面積を控除します。アングル材の有効断面積の考え方は、下記が参考になります。
よって有効断面積は、
Ae=12.22-2.2×0.7-0.25×9×0.7=9.105cm2
です。「2.2×0.7」は、ボルト径分の断面積です(cmに単位変換済み)。ボルトの呼び径がM20なので、ボルト径は22mmです。「0.25×9×0.7」は、突出脚の無効となる断面積です。下図をみてください。有効となる断面積を示します。
上記より有効断面積比は、
α=9.105÷12.22=0.745
です。
有効断面積比は、部材の靭性の有無を判断できます。さて、一度、有効断面積比の計算式を忘れてください。
鉄骨造の接合部は、母材が降伏するまで破断してはいけません。これを保有耐力接合といいます。接合部が破断するまで母材が降伏し、よく伸びることで地震力を吸収できるからです。保有耐力接合の意味は、下記が参考になります。
接合部が破断するときの耐力をTu、母材が降伏するときの耐力をTyとします。上記の関係を計算式にすると、
Ty<Tu
です。上式を満足すれば、部材は靭性があるといえます。
TyとTuの計算式は、下記です。
Ty=Ag×σy
Tu=Ae×σu
Agは軸部の全断面積、σyは降伏強度、Aeは接合部の有効断面積、σuは破断強度です。前述の式にあてはめます。
σy/σu < Ag/Ae
です。「Ag/Ae」は有効断面積比、「σy/σu」は降伏比です。よって、降伏比より有効断面積比が上回っていれば、靭性があるといえます。
混同しやすい用語
有効断面積比(α)vs 降伏比(σy/σu)
有効断面積比は「有効断面積÷全断面積(Ae/Ag)」で接合部の断面効率を表す値。降伏比は「降伏強度÷破断強度(σy/σu)」で材料の粘り強さを表す値。保有耐力接合の条件「降伏比<有効断面積比」を満たすかどうかを確認する際に両方が登場するため混同しやすい。
今回は有効断面積比について説明しました。意味が理解頂けたと思います。有効断面積比は、有効断面積を全断面積で除した値です。有効断面積比の計算方法を理解しましょう。特に、アングル材やチャンネル材の有効断面積の計算方法は覚えてくださいね。下記の記事も参考になります。
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試験での問われ方|管理人の一言
保有耐力接合の確認では「σy/σu < Ae/Ag(=α)」が成立するかを検討します。αが大きいほど(有効断面積が全断面積に近いほど)有利です。ボルト本数を増やして突出脚の控除を減らし、αを高める設計が実務のポイントです。