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降伏比が簡単にわかる2つのポイントとは?

降伏比とはなんでしょうか。普段あまり耳にしない言葉かもしれませんが、実は重要な概念なのです。


特に、塑性設計が当たり前に組み込まれている昨今では、降伏比の理解は当然といえるでしょう。今回は降伏比が簡単にわかる2つのポイントについて説明します。


降伏比ってなに?

降伏比とは下式で算定されます。

rは降伏比、Aは降伏強度、Bを引張強度といいます。降伏強度とは、部材が弾性領域から塑性領域へ移行するときの強度です。引張強度は、降伏した後破断するまでの最大強度のことです。


降伏比はこれらの比率で表します。では、降伏比は本質的に何を意味するのか?

次の項目で考えてみます。


降伏比が簡単にわかる2つのポイント

ここでは降伏比が本質的に何を意味するのか。降伏比は、そもそもなぜ規定されているのか説明します。


なぜ降伏比が決められているの?

前述したように、降伏比は下式で表します。

この式を少し噛み砕いて考えます。


例えばガラスやFRPのような弾性材料は、降伏しません。降伏せず、弾性を保ったまま最大荷重を迎えて破断します。よって降伏強度という概念自体無いのですが、弾性材料は降伏した瞬間に引張強度に達すると仮定しましょう。すると、

です。よって降伏比は次の値となります。


図に表すと下図の状況です。

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次に鋼材のように、降伏強度と引張強度が一致しない材料を考えます。鋼の降伏強度と引張強度を下記に示します。

つまり降伏比は、

です。これを図で表すとこのようになります(今回は降伏強度と引張強度の関係を簡易な模式で示しました。本当の挙動とは異なります)。

要するに降伏比とは、「引張強度という最大値に対して、降伏強度の割合が何%あるか」を示しています。上記の場合ですと、引張強度に対して約60%が降伏強度です。


さて、2ケースの降伏比を示しました。両者の図を見比べると、もう1つの事実が浮びます。それは「降伏比の値が大きい場合より、小さい方がエネルギーの吸収できる範囲が大きい」ということ。


降伏比が60%の場合、弾性領域が6割で塑性化領域が4割という見方もできます。塑性化状態は強度の上昇は緩やかになり変形が進みます。実は、この塑性した状態は案外エネルギーを吸収してくれるのです。


これが塑性設計において最も重要なポイントです。「部材が塑性化することで地震力のエネルギーを吸収する」という発想に繋がります。


つまり降伏比を規定する理由は、「部材が塑性化してエネルギー吸収できるようにしておけよ」ということです。


降伏比が規定されている鋼材とは

実は降伏比の規定は、比較的最近の決め事です。それまで一般的だったSS400材は降伏比の規定はなく、降伏強度と引張強度の最小値を規定しただけでした。


これでは万が一、降伏強度が235どころか400に近い値になったとき、まさに弾性材料のような壊れ方をします。


何度も言いますが、塑性設計が一般的な昨今では、地震のエネルギーを部材の塑性化により吸収する考え方が一般的です。


降伏比が規定されない材料は、その設計手法に馴染まないのです。下記に、降伏比が規定された鋼材を示します。

以上のように、SN400B材やC材は降伏比が規定されています。さらに、降伏比の上限は80%以下ですね。SS400やSN400Aといった材料は降伏比は規定されていません。


まとめ

今回は降伏比について説明しました。式自体は簡単ですが、考えてみると案外奥が深いものです。


塑性設計が一般的な昨今では降伏比の理解は必須とも言えるので、この機会にぜひ覚えて頂ければと思います。

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