建築学生が学ぶ構造力学

  1. HOME > 鋼構造の基礎 > 降伏比が簡単にわかる2つのポイントとは?

降伏比が簡単にわかる2つのポイントとは?

この記事の要点

降伏比とは降伏強度を引張強度で割った比率です。SN材では80%以下と規定されており、部材が塑性化してエネルギーを吸収できるよう設けられた指標です。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット


降伏比とはなんでしょうか。普段あまり耳にしない言葉かもしれませんが、実は重要な概念なのです。特に、塑性設計が当たり前に組み込まれている昨今では、降伏比の理解は当然といえるでしょう。今回は降伏比が簡単にわかる2つのポイントについて説明します。


今回の記事を読む前に、下記も併せて勉強しましょう。

降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ

引張強さとは?1分でわかる意味、計算法、単位、降伏点、読み方、記号

100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事

降伏比ってなに?

降伏比とは下式で算定されます。

rは降伏比、Aは降伏強度、Bを引張強度といいます。降伏強度とは、部材が弾性領域から塑性領域へ移行するときの強度です。引張強度は、降伏した後破断するまでの最大強度のことです。


降伏比はこれらの比率で表します。では、降伏比は本質的に何を意味するのでしょうか?次の項目で考えてみましょう。なお、降伏強度、引張強度は下記が参考になります。

降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ

引張強さとは?1分でわかる意味、計算法、単位、降伏点、読み方、記号

降伏比が簡単にわかる2つのポイント

ここでは降伏比が本質的に何を意味するのか。降伏比は、そもそもなぜ規定されているのか説明します。

なぜ降伏比が決められているの?

前述したように、降伏比は下式で表します。

この式を少し噛み砕いて考えます。


例えばガラスやFRPのような弾性材料は、降伏しません。降伏せず、弾性を保ったまま最大荷重を迎えて破断します。よって降伏強度という概念自体無いのですが、弾性材料は降伏した瞬間に引張強度に達すると仮定しましょう。すると、

です。よって降伏比は次の値となります。

図に表すと下図の状況です。

降伏比

次に鋼材のように、降伏強度と引張強度が一致しない材料を考えます。鋼の降伏強度と引張強度を下記に示します。

つまり降伏比は、

です。これを図で表すとこのようになります(今回は降伏強度と引張強度の関係を簡易な模式で示しました。本当の挙動とは異なります)。

要するに降伏比とは、「引張強度という最大値に対して、降伏強度の割合が何%あるか」を示しています。上記の場合ですと、引張強度に対して約60%が降伏強度です。


さて、2ケースの降伏比を示しました。両者の図を見比べると、もう1つの事実が浮びます。それは「降伏比の値が大きい場合より、小さい方がエネルギーの吸収できる範囲が大きい」ということ。


降伏比が60%の場合、弾性領域が6割で塑性化領域が4割という見方もできます。塑性化状態は強度の上昇は緩やかになり変形が進みます。実は、この塑性した状態は案外エネルギーを吸収してくれるのです。


これが塑性設計において最も重要なポイントです。「部材が塑性化することで地震力のエネルギーを吸収する」という発想に繋がります。


つまり降伏比を規定する理由は、「部材が塑性化してエネルギー吸収できるようにしておけよ」ということです。

降伏比が規定されている鋼材とは

実は降伏比の規定は、比較的最近の決め事です。それまで一般的だったSS400材は降伏比の規定はなく、降伏強度と引張強度の最小値を規定しただけでした。


これでは万が一、降伏強度が235どころか400に近い値になったとき、まさに弾性材料のような壊れ方をします。


何度も言いますが、塑性設計が一般的な昨今では、地震のエネルギーを部材の塑性化により吸収する考え方が一般的です。


降伏比が規定されない材料は、その設計手法に馴染まないのです。下記に、降伏比が規定された鋼材を示します。

以上のように、SN400B材やC材は降伏比が規定されています。さらに、降伏比の上限は80%以下ですね。SS400やSN400Aといった材料は降伏比は規定されていません。※SN400A、SN400Bの特徴は下記が参考になります。

SN400Bとは?1分でわかる規格、SS400との違い、重量、H形鋼との関係

SN400Aとは?1分でわかる意味、規格、溶接性、特徴、h形鋼との関係

混同しやすい用語

引張強度

引張強度(引張強さ)とは材料が破断するまで耐えられる最大の引張応力度です。

引張強度が破断直前の最大強度であるのに対して、降伏比は降伏点と引張強度の比率であり、この比率が低いほど塑性変形能力(エネルギー吸収能力)が高くなります。

試験での問われ方|管理人の一言

建築士試験ではSN材(SN400B・SN490B等)で降伏比が80%以下に規定されていることが問われます。SS400には降伏比規定がない点も覚えておきましょう。

降伏比を整理した表を示します。

項目内容備考
降伏比の定義降伏強度÷引張強度×100(%)塑性変形能力の指標
SN材の規定値80%以下(SN400B・SN490B等)エネルギー吸収確保のため
SS400との違い降伏比の規定なし塑性設計には不向き

まとめ

今回は降伏比について説明しました。式自体は簡単ですが、考えてみると案外奥が深いものです。塑性設計が一般的な昨今では降伏比の理解は必須とも言えるので、この機会にぜひ覚えて頂ければと思います。下記も併せて勉強しましょう。

塑性変形能力とは?すぐに分かる意味と塑性ヒンジとの関係

降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ

引張強さとは?1分でわかる意味、計算法、単位、降伏点、読み方、記号

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

この記事の内容を○×クイズで確認する

この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。

意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

ゼロ所長の構造力学問題集で確認する


▼スポンサーリンク▼

▼用語の意味知らなくて大丈夫?▼

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

建築構造がわかる基礎図解集

【無料】ゼロ所長が解説!建築士試験の構造を効率よく学ぶ

・試験に出るポイントをわかりやすく解説

・今すぐnoteで学ぶ ⇒  ゼロから学ぶ建築士試験の構造

わかる1級建築士の計算問題解説書

計算の流れ、解き方がわかる!1級建築士【構造】計算問題解説集

わかる2級建築士の計算問題解説書!

【30%OFF】一級建築士対策も◎!構造がわかるお得な用語集

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集
pdf版の学習記事

更新情報

プロフィール

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

Topへ >>

  1. HOME > 鋼構造の基礎 > 降伏比が簡単にわかる2つのポイントとは?
  2. 1級の過去問(計算)解説
  3. わかる建築構造の用語集・図解集
  4. 1頁10円!PDF版の学習記事