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降伏比とはなんでしょうか。普段あまり耳にしない言葉かもしれませんが、実は重要な概念なのです。特に、塑性設計が当たり前に組み込まれている昨今では、降伏比の理解は当然といえるでしょう。今回は降伏比が簡単にわかる2つのポイントについて説明します。
今回の記事を読む前に、下記も併せて勉強しましょう。
降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ
引張強さとは?1分でわかる意味、計算法、単位、降伏点、読み方、記号
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降伏比とは下式で算定されます。
rは降伏比、Aは降伏強度、Bを引張強度といいます。降伏強度とは、部材が弾性領域から塑性領域へ移行するときの強度です。引張強度は、降伏した後破断するまでの最大強度のことです。
降伏比はこれらの比率で表します。では、降伏比は本質的に何を意味するのでしょうか?次の項目で考えてみましょう。なお、降伏強度、引張強度は下記が参考になります。
降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ
引張強さとは?1分でわかる意味、計算法、単位、降伏点、読み方、記号
ここでは降伏比が本質的に何を意味するのか。降伏比は、そもそもなぜ規定されているのか説明します。
前述したように、降伏比は下式で表します。
この式を少し噛み砕いて考えます。
例えばガラスやFRPのような弾性材料は、降伏しません。降伏せず、弾性を保ったまま最大荷重を迎えて破断します。よって降伏強度という概念自体無いのですが、弾性材料は降伏した瞬間に引張強度に達すると仮定しましょう。すると、
です。よって降伏比は次の値となります。
図に表すと下図の状況です。
次に鋼材のように、降伏強度と引張強度が一致しない材料を考えます。鋼の降伏強度と引張強度を下記に示します。
つまり降伏比は、
です。これを図で表すとこのようになります(今回は降伏強度と引張強度の関係を簡易な模式で示しました。本当の挙動とは異なります)。
要するに降伏比とは、「引張強度という最大値に対して、降伏強度の割合が何%あるか」を示しています。上記の場合ですと、引張強度に対して約60%が降伏強度です。
さて、2ケースの降伏比を示しました。両者の図を見比べると、もう1つの事実が浮びます。それは「降伏比の値が大きい場合より、小さい方がエネルギーの吸収できる範囲が大きい」ということ。
降伏比が60%の場合、弾性領域が6割で塑性化領域が4割という見方もできます。塑性化状態は強度の上昇は緩やかになり変形が進みます。実は、この塑性した状態は案外エネルギーを吸収してくれるのです。
これが塑性設計において最も重要なポイントです。「部材が塑性化することで地震力のエネルギーを吸収する」という発想に繋がります。
つまり降伏比を規定する理由は、「部材が塑性化してエネルギー吸収できるようにしておけよ」ということです。
実は降伏比の規定は、比較的最近の決め事です。それまで一般的だったSS400材は降伏比の規定はなく、降伏強度と引張強度の最小値を規定しただけでした。
これでは万が一、降伏強度が235どころか400に近い値になったとき、まさに弾性材料のような壊れ方をします。
何度も言いますが、塑性設計が一般的な昨今では、地震のエネルギーを部材の塑性化により吸収する考え方が一般的です。
降伏比が規定されない材料は、その設計手法に馴染まないのです。下記に、降伏比が規定された鋼材を示します。
以上のように、SN400B材やC材は降伏比が規定されています。さらに、降伏比の上限は80%以下ですね。SS400やSN400Aといった材料は降伏比は規定されていません。※SN400A、SN400Bの特徴は下記が参考になります。
SN400Bとは?1分でわかる規格、SS400との違い、重量、H形鋼との関係
SN400Aとは?1分でわかる意味、規格、溶接性、特徴、h形鋼との関係
今回は降伏比について説明しました。式自体は簡単ですが、考えてみると案外奥が深いものです。塑性設計が一般的な昨今では降伏比の理解は必須とも言えるので、この機会にぜひ覚えて頂ければと思います。下記も併せて勉強しましょう。
降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ
引張強さとは?1分でわかる意味、計算法、単位、降伏点、読み方、記号
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