建築物の設計では、コンクリートの比重を2.3で扱います。水の比重が1.0なので、水の2倍程度ですね。但し、コンクリートの比重は設計基準強度の大きさで変化します。さらに、コンクリートと鉄筋コンクリートの比重は違います。
今回は、そんなコンクリートの比重について説明します。
コンクリートの比重は、2.3を使います。比重とは、ある物体の質量と同体積の水(4℃)との質量比です。コンクリートの比重は下記で計算します。
コンクリートの比重=2.3(t/m^3)/1.0 (t/m^3)=2.3(単位無し)
上式をみて明らかなように、コンクリートの単位体積重量(密度)と比重は同じ値です。ですから数値としては、「比重=単位体積重量(密度)」となります。
実務では、比重よりも「単位体積重量」という用語を使うことが多いです。
コンクリートの比重は2.3ですが、バラツキがあり2.1〜2.5の値(気乾状態)です。実はコンクリートの単位体積重量(比重)は、設計段階では分かりません。但し、これまでの経験則(規定)から下記の値が使われています。
また単位体積重量はSI単位系で表します。例えば「t/m^3」は「kN/m^3」です。
注目したいのは、Fcの値が増えるにつれ、コンクリートの比重も大きくなる点です。Fcは設計基準強度といいます。Fcに関しては下記の記事が参考になります。
また、軽量コンクリートの単位体積重量は下記となります。
なお、軽量コンクリートに関しては下記の記事が参考になります。
では、コンクリートの比重と鉄筋コンクリートの比重では何が違いのでしょうか。これは、簡単です。鉄筋コンクリートの方が、1kN/m^3だけ重いのです。例えば普通コンクリートによる鉄筋コンクリートでは、下記が比重です。
鉄筋コンクリートの比重は「24.0」と覚えておけば、ほとんどの場合大丈夫です。高強度コンクリートを使うときは、比重が大きくなるので注意しましょう。
前述したように、設計段階ではコンクリートの比重は分かりません。その理由は、コンクリートがセメント、水、細骨材、粗骨材などを混合してできる材料だからです。極端に言うと、配合が違うだけで比重が違います。
そのためJASS5では、骨材の品質を規定しており、品質の低い骨材は使うことができません(例えば、中身が詰まってないスカスカの骨材は使えない)。細骨材、粗骨材共に、絶乾比重が2.5g/cm^3以上必要です。
JASS5については下記の記事が参考になります。
今回は、コンクリートの比重について説明しました。コンクリートの比重は、設計基準強度と関係しているので、関係性を理解したいですね。